事例
中古車店に立ち寄ったところ、探していた車種が入荷していた。
店員から「人気の車種なので、すぐに売れます。」と言われ、車の状況の詳細の説明も受けていなかったが、焦って仮押さえ金2万円を支払った。
しかし、支払い総額も聞かないまま、急いで決めすぎたと後悔している。
契約したことになるのか。
アドバイス
◆契約は成立していません。
◆日本中古自動車販売協会連合会(中販連)の会員会社が原則として採用している注文書裏面約款では、「①登録②改造・架装・修理に着手③引渡しのうち、最も早い日に契約が成立する」としています。
◆当該店が、中販連の加盟店かどうか、確認して下さい。加盟店であれば、内金は返金されます。
(加盟店でない場合でも、この見解をもとに交渉することになります。)
◆購入の意思がなくなったのであれば、少しでも早く、販売店に購入しないことを伝えましょう。解説
中古車の契約に関する相談では、契約の成立や解約に関する相談の他に、車両の品質や不具合、またその修理対応に関する相談も寄せられています。
業界団体が採用している標準約款では、契約成立時期を、現金販売の場合は、「①自動車の登録がなされた日、②注文により販売会社が修理・改造・架装等に着手した日、③自動車の引渡しがされた日のいずれか早い日」、また、クレジット販売の場合は、「信販会社の申込又は信販会社の承諾通知をした日」としています。
そして、契約が有効に成立していた場合は、こちらの都合で解約するのであれば、約款で定められている解約料を支払って解約することになります。
中古車は新車とは違い、前の使用者の使用状態や管理の仕方、事故歴の有無等により、一台一台その品質は異なります。
そのため、中古車選びは、新車を購入する場合より、更に慎重に行う必要があります。
購入者が、個々に異なる中古車の品質を、判断する資料として、(一社)自動車公正取引協議会では、「中古車の表示に関する自動車公正規約」を制定し、「①販売価格、走行距離数、整備の実態、保証の有無、修復歴等を表示すること②特定の車両状態の場合は必要な事項を書面で表示し交付すること③走行距離が、実際よりも少ないかのような表示や、修復歴があるのに無いかのような表示は行わないように」と定めています。
中古車を購入する場合は、車ごとの表示(コンディションノート等)を必ずチェックして、車の品質を確認しましょう。そして、気に入った車が見つかった場合は、自身の目で現物をよく観察し、試乗もして、その車の状態を確かめ、十分検討して判断しましょう。
なお、自動車の契約には、クーリング・オフ(一定期間なら無条件解約ができる)制度が適用されませんので、安易な契約は禁物です。解約することも想定して、解約料等の条件もきちんと確認しておきましょう。