クーリング・オフとは
クーリング・オフとは英語で「頭を冷やす」という意味です。
これは、消費者が自宅など営業所以外の場所で契約した場合、よく考え直して契約をやめたいと思えば理由を説明することなく、一方的に申し込みの撤回、契約の解除ができるという制度です。
ただし、たとえ口約束でも契約を守るのが原則です。いったん有効に成立した契約を、一方的に撤回・解除するには、クリアしなければならない様々な条件があります。
クーリング・オフできる条件
クーリング・オフできる主な商取引と期間は下記のとおりです。
■訪問販売(自宅・勤務先等)
クーリング・オフ期間 |
8日間
(法定の申込書面が交付された日(が1日目)から8日以内に発信) |
適用対象 |
商品サービスは全て
権利は指定権利のみ
店舗外での取引
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法律(略称) |
特定商取引法9条
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■電話勧誘販売
クーリング・オフ期間 |
8日間
(法定の申込書面が交付された日(が1日目)から8日以内に発信) |
適用対象 |
商品サービスは全て
権利は指定権利のみ
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法律(略称) |
特定商取引法24条 |
■特定継続的役務提供
クーリング・オフ期間 |
8日間
(法定の申込書面が交付された日(が1日目)から8日以内に発信) |
適用対象 |
エステ・英会話等の語学教室・学習塾・家庭教師(電話指導等を含む)・パソコン教室・結婚相手紹介サービス・一部の美容医療7種類
※中途解約制度あり
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法律(略称) |
特定商取引法48条 |
■連鎖販売取引(マルチ商法・ネットワークビジネス)
クーリング・オフ期間 |
交付された日(が1日目)から20日以内に発信(再販売型契約に限り書面受領後に商品受領の場合は商品受理20日以内) |
適用対象 |
全ての商品・権利・サービスの取引
※中途解約制度あり
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法律(略称) |
特定商取引法40条 |
■業務提供誘引販売取引(在宅ワーク・内職商法・モニター商法)
クーリング・オフ期間 |
20日間
(法定の申込書面が交付された日(が1日目)から20日以内に発信) |
適用対象 |
仕事の提供を約束して、仕事に必要な物品等の対価や登録料等の金銭負担をさせる取引
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法律(略称) |
特定商取引法58条 |
■訪問購入
クーリング・オフ期間 |
8日間
(法定の申込書面が交付された日(が1日目)から8日以内に発信) |
適用対象 |
原則すべての物品
【対象外のもの】
自動車(二輪を除く)、大型家電、家具、有価証券、書籍、CD・DVD・ゲームソフト類、消費者自ら自宅での契約を請求した場合、いわゆる「御用聞き」「常連取引」や転居に伴う売却の場合
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法律(略称) |
特定商取引法58条の8 |
■クレジット(ローン)契約※クレジットは対象外
クーリング・オフ期間 |
8日間または20日間
(法定の申込書面が交付された日(が1日目)から8日(または20日以内)に発信) |
適用対象 |
特定契約(特定商取引法でクーリング・オフできるもの)に関する個別クレジット契約
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法律(略称) |
割賦販売法
35条の3の10
35条の3の11
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■預託等取引契約
クーリング・オフ期間 |
14日間
(法定の申込書面が交付された日(が1日目)から14日以内に発信) |
適用対象 |
3ヶ月以上の特定商品・施設利用件の預託取引
※中途解約制度あり
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法律(略称) |
預託取引法8条
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■投資顧問契約
クーリング・オフ期間 |
10日間
(法定の申込書面が交付された日(が1日目)から10日以内に発信) |
適用対象 |
金融商品取引業者との投資顧問契約
※報酬等支払義務あり
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法律(略称) |
金融商品取引法37条の6
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■宅地建物売買契約※賃借権は対象外
クーリング・オフ期間 |
8日間
(クーリング・オフ制度の告知の日(が1日目)から8日以内に発信) |
適用対象 |
宅地建物取引業者が売主である宅地建物の売買で、店舗外での取引
※手付解除制度あり
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法律(略称) |
宅建業法37条の2
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■ゴルフ会員権契約
クーリング・オフ期間 |
8日間
(法定の契約書面が交付された日(が1日目)から8日以内に発信) |
適用対象 |
50万円以上のゴルフ会員権で、新規販売の契約
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法律(略称) |
ゴルフ会員契約適正化法12条
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■保険契約(生命保険・損害保険・医療保険・個人年金等)
クーリング・オフ期間 |
8日間
(法定の契約書面が交付された日と申込をした日との、いずれか遅い日(が1日目)から8日以内に発信) |
適用対象 |
保険期間1年を超える保険契約
※保険支払い義務あり
※特定早期解約制度あり
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法律(略称) |
保険業法309条
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※連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引、特定継続的役務提供は、店舗で契約してもクーリング・オフできます。
●パソコン教室・結婚相手紹介サービスは、平成16年1月1日から特定継続的役務提供に追加されました。
●平成24年の改正で訪問購入が追加されました。(平成25年2月21日施行)
●一部の美容医療は、平成29年12月1日から特定継続的役務提供に追加されました。
●特定継続的役務提供は、クーリング・オフ期間が過ぎても、一定の条件のもと、中途解約ができます。
クーリング・オフできない場合
◆健康食品、化粧品等の消耗品の一部を使用した場合(布団・学習教材・下着などは消耗品ではありません)
◆3,000円未満のものを現金で買った場合
◆通信販売(インターネット取引含む)広告に明記されている返品特約(「10日以内は返品できます」「返品はご容赦ください」 など)に従います。
返品特約の表示がない場合は、商品が届いた日から8日以内であれば返品することができ ますが、返品送料は消費者の負担となります。
※上記以外にもクーリング・オフできない場合がありますので、詳しくは相談窓口で相談してください。
※上の条件は特定商取引に関する法律で定められた条件ですが、この他に他法令、業界の自主規制、個別の業者の約款でクーリング・オフが設けられている場合がありますので、契約した際にはよく契約書を確認しましょう。
クーリング・オフの効果
契約がなかったことになり、契約者、販売業者ともその債務を履行する義務はなくなります。
当然、契約者は損害賠償や違約金を払う必要はありません。
販売業者は受け取った代金がある場合は、その全額を返還しなければならなくなり、契約者が商品を既に受け取っている場合は、販売業者の負担で引き取ってもらえます。
クーリング・オフの手続き
クーリング・オフの手続きは、はがきなどの書面で行います。
送る前に、はがきの裏表をコピーし特定記録郵便や簡易書留郵便など発信の記録が残る方法で出しましょう。
封書で内容証明郵便で出すとより確実です。
< ハガキで通知する場合 >
●下図のような書面を作成し、コピーをとって、それを保管してください。
●作成したハガキを持って郵便局に行き、特定記録郵便や簡易書留で出してください。
※代金の支払いをクレジット契約にした場合は、販売業者とクレジット契約会社の両方に送りましょう。
< 内容証明郵便で通知する場合 >
●下図のような書面を3部作成し(字数は、縦書きの場合、1行20字、1枚26行以内におさめ、1部作成し、それをコピーしても可)、印鑑は認印でかまいません。
●集配業務を行っている郵便局に持って行き、内容証明郵便の手続きをしてください。
※郵便局に持っていくとき、印鑑と宛名を書いた封筒を一緒に持っていってください。
※代金の支払いをクレジット契約にした場合は、購入契約業者とクレジット契約会社の両方に送ってください。
< メールで通知する場合 >
●まず契約書面を確認し、電磁的記録によるクーリング・オフの通知先や具体的な通知方法が記載されている場合には、それを参照して通知してください。
●通知後は送信したメールや、ウェブサイト上のクーリング・オフ専用フォーム等の画面のスクリーンショットを保存しておいてください。
※記載方法の詳細についてよくわからないときは、当センターなどお近くの消費相談窓口に、おたずねください。