事例
引越事業者に依頼して引っ越した際、母の形見の桐のタンスの扉にへこみが生じ、家具を二階に運ぶ際に、階段の壁にも傷がついた。
引越事業者に申し出て補償を求めたところ、責任を認めて弁償すると言うが、事業者が提示した金額は少額で、納得できない。
アドバイス
◆破損や紛失があった場合、荷物の引き渡し後3カ月以内に申し出ないと事業者の責任が消滅します。引っ越し完了後は、すぐに荷物の状態を確認しましょう。
◆引っ越しの契約には、国が定めた標準引越運送約款か、国土交通大臣の認可を得た事業者独自の約款が使用され、契約内容は原則、契約した際の約款の記載に従うことになります。
◆損害賠償が受けられる場合も、購入時の価格が補償されるわけではありません。
◆トラブルを避けるために、桐のタンスのような取り扱いに配慮を要する荷物については、事前に申告しておくようにしましょう。
解説
引越しサービスの契約に関する相談には、「急に都合が悪くなり、キャンセルしたところ、高額なキャンセル料金を請求された。」といった相談もあります。
標準引越運送約款では、事業者は利用者の都合による解約又は延期の場合に、解約手数料又は延期手数料を請求することができ、引っ越しの当日は運賃及び料金の50%以内、前日は30%以内、前々日は20%以内と定められています。
そして、解約手数料とは別に、事業者はすでに実施、あるいは着手した附帯サービスに要した費用について、見積書に明記したものに限り、受け取れることになっています。(ただし、事業者が荷物の受取日の3日前までに、見積書の記載内容に変更等がないかどうか確認を行った場合に限る) また引越業者に、エアコンの取り外しや取り付け、ピアノの搬送、電気、ガス、水道の手続き代行など、引っ越しに附帯するサービスも併せて依頼する場合がありますが、「附帯サービスの代金は、引っ越し代金に含まれると思っていたら、別途料金を請求された。」という相談も寄せられています。
トラブルを防ぐため、引越業者に見積もりを依頼した際には、附帯サービスの内容や口頭で打ち合わせた内容についても、きちんと見積書に記載してもらいましょう。