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スタッフブログ

  • 2024.07.04

    文化村AIR 令和5年度ふりかえりレポート

    AIRとはArtist In Residenceの略で、アーティストが一定期間その土地に滞在し、普段と環境下で作品制作を行い、発表などを行うことをいいます。
    なら歴史芸術文化村 滞在アーティスト誘致交流事業(=文化村AIR)では、毎年アーティストを公募して招聘し、文化村を拠点としたリサーチ・制作・発表を行っています。
     
    令和5年度は、長野県を拠点に活動する杉原信幸(すぎはらのぶゆき)さんと中村綾花(なかむらあやか)さんのユニットを招聘しました。
    これまでおふたりは、民俗、考古などさまざまなテーマで土地の歴史や文化のリサーチを行うことで、土地の文化を学び、記憶の欠片をつなぎ合わせるように制作を行ってきました。
     
     
    2023年10~12月に文化村で行った滞在制作では、天理市岩屋町の昔話に登場する「あからがしら獅子」を起点に、川や地形の繋がり、災害の歴史や民族学、山間部に残る獅子舞などをリサーチし、制作を展開していきました。
     
    リサーチ写真  
    オリジナルのあからがしらを制作するというアイデアを軸に、その素材として地域の方々から不要になった着物や浴衣、帯、反物、旗などを募ったところ、予想を上回るたくさんの布をいただくことができました。

    着物や反物
    集まったものを手で縫い合わせ、1枚の大きな布を作成するワークショップを随時開催し、地元の方々から土地のお話やそれぞれの記憶について伺いながら、少しずつ着実に制作が進んでいきました。

    ワークショップ

     

     
    成果発表としては、文化村にて10日間の展示と、最終日にはパフォーマンスを行いました。
    ワークショップで一緒にあからがしらを手縫いした地元の方々も、大勢観に来てくださりました。
    パフォーマンスは儀式を思わせるものでした。中村さんは振り返って「お話をお聞きしながらひと針ひと針縫いあげた着物たちに宿るものを纏い動かすことでその魂を振り起すイメージが重なり合う」と記述しています。

    パフォーマンス

     
    杉原さん・中村さんへのインタビューとパフォーマンスの様子をまとめた記録映像はこちら。



    先の中村さんの記述をはじめ、活動の様子をまとめた記録集(2冊組)もPDFで公開しています。 

       A:テキストを中心に構成    B:日々の記録、記録写真

     
     
    そして現在、今年度の滞在アーティストの募集を行っております。
    歴史も自然も豊かな奈良県での滞在制作、制作費・宿泊費・交通費も支給されます。
    みなさまからのご応募をお待ちしております!

    募集画像

    ■募集期間
    2024年6月25日(火)~8月4日(日)(必着)

    ■滞在期間
    2024年10月1日(火)~11月30日(土)

     

    ■  詳細はこちら

  • 2024.05.11

    幼児アートプログラム 「そざい あそび まなび展 vol.2」を開催しました。

    2024年3月19日~4月7日に「そざい あそび まなび展 vol.2」を開催しました。


    奈良県では、奈良っ子はぐくみ条例に基づき幼児向けアートプログラムを行っています。

    作品を完成させることを一番の目的にせず、創る過程で子どもが何をしたいのか、どんな発見があるのかという心の動きを尊重して、その子どもがもっているものを引き出すことを大切にしています。

    幼児向けアートプログラムでは「そざいきち」「て でかんがえる」の2つの事業を行っています。

    「そざいきち」は0-6歳の未就学児を対象に、自然の素材や身近なものなどを使用し、素材との出会い、あそびを楽しみ、「て でかんがえる」は就学前の5-6歳の子どもたちが、奈良の文化や素材に触れ、みんなで相談し、考えながら探究や創作活動を行います。


    今回の展覧会では、作品や写真を通して1年間の子どもの様子を展示するとともに、職員が日々の活動をまとめ、読み解いたドキュメンテーションの展示を行いました。また、会場内に来場者が挑戦・発見ができるような「やってみよう」コーナーを設けました。

     

    そざいきち

    「みち・あと」:室内に仕掛けられた柱や紙管、フックなどにスズランテープやリボンを通したり、引っかけたりして自分の「みち」を作り、痕跡を残すプログラム。

    「いろいろぬるぬる」:見て質感を想像し、触れて確かめ、絵の具を通して現れる表現を楽しむ、感触を意識したプログラム。

    「みち・あと」コーナーでは、スズランテープを工夫して「みち」を作るもまだ物足りない様子。会場内を見渡し「調べる道具」として置いていたメジャーがひもになることに気がつき、みちを増やすことができました。

    「いろいろぬるぬる」コーナーでは、布で覆われた中身を手の感触で考えたり、自分の好きな触り心地を探したりする姿がありました。

     

    て でかんがえる

    「vol.3 和紙」「vol.4 蚊帳生地」:素材の特性を知り、自分が興味を持った事について探求し、仲間と発見や体験を共有したことを大人に発表をしました。和紙は吉野町で作られている宇陀紙、蚊帳生地は天理市で作られているものを使用しました。

    「蚊帳生地」コーナーでは、繊維に興味を持ち1本ずつ引っ張ることに夢中な姿があり、生地を触る感触と繊維を丸めて触る感触の違いに気がつきました。

    「和紙」コーナーでは、身近にある紙(コピー用紙や画用紙)と感触が違うことを発見し、ちぎる時にいつもより力が必要で何度も試す様子がありました。

     

     

    また、来場者が蚊帳生地や和紙をつなぎ合わせた「つなぐ」の作品では、素材同士を結ぶ・道具を使い捻る・挟む等、様々な表現がありました。


    県内外から一般の方はもちろん、教育関係者の方もたくさんご来場いただき、取り組みについて貴重なご意見もいただくことで職員も学びの多い期間となりました。

    疑問に思ったことも検索すればすぐに答えが見つかる時代。子どもに聞かれて、すぐに答える場面もあるかもしれませんが、まずは子どもと一緒に考える時間を作ること。成功すると達成感につながり、挑戦して失敗してもこの経験がしっかりと自分の糧になって、生きる力の「根っこ」がどんどん大きくなると思います。

    この展覧会を通して、子どもも大人も探求することの楽しさや面白さを一人でも多くの方に感じていただけていれば嬉しく思います。


    5月1日(水)から7月28日(日)まで、そざいきち「ぎゅっとする にゅっとでる」を開催しています。

    また、教育関係者向けに実践事例紹介を予定しています。たくさんの方と交流ができることを楽しみにしています。


  • 2024.04.20

    幼児向けアートプログラム ヴァイオリン体験成果発表会

    20231216日(土)ヴァイオリン連続講座の成果発表会を開催しました。

     

    当村では、就学前の音楽体験がミエリネーション(神経等の発達を促すこと)に大きな影響を及ぼすといわれています。「音」を楽しむことを通じて、子どもたちの個々の感性と表現能力をはぐくむ取り組みとして、当村では幼児向けヴァイオリン体験講座を令和4年度から実施しています。

     

    連続講座5回の練習を経て、臨んだ成果発表会。

        当日は天理中学校弦楽部との共演があり、練習時間には中学生のみなさんが

    一人ずつ子どもたちに付き添って、教えてくれました。

    「緊張するなあ」「ドキドキしてきた」と本番前は少し硬い表情の子どもたち。

    「ここにいる中学生のお兄さん、お姉さんはみんなの仲間だから」と講師の安野英之さんと上田真紀郎さんからの励ましもあり、次第にステージ上の子どもたちの表情も和らいでいきました。

     

        

    本番では、全員が積極的にステージに上がり、堂々とした演奏を披露しました。

    その姿に保護者のみなさんもホッとした表情。

    「みんなに聴いてもらって嬉しかった」「楽しかった」「難しかったけど楽しかった」

    と話す子どもたちの表情は、自信に満ち溢れていました。

     

    成果発表会後は、第2部として天理中学校弦楽部によるミニコンサートを開催。

    間近で見る迫力のある演奏に、子どもたちも最後まで目を輝かせて聴いていました。

     

     

    難しかった、緊張したけれど最後まで頑張ることができたという体験。

    修了後、保護者の方からは、「きれいな音を出せる楽しみを知り、ヴァイオリンが大好きになり、クラシック音楽にも興味を持つようになりました。人前で演奏することで自信がついたのか、とても積極的になってきました」

    「思うようにできない悔しさや、教えてもらうことでできる喜びを経験し満足しています」という感想をいただきました。

     

    今回感じたことが10年後、20年後子どもたちを支える力になることを信じています。

    今年度もヴァイオリンに触れるベントを企画しています。

    詳細は随時、文化村HPに掲載いたしますので、お楽しみに。

     

     
  • 2024.02.26

    「現地講座 大和古墳群・柳本古墳群を歩く」を開催しました!

     2024年2月10日(土)に、現在開催中の令和5年度地域連携展「山辺の古墳文化 大和古墳群と柳本古墳群」の関連講座として、現地講座「大和古墳群・柳本古墳群を歩く」を開催しました。文化村から目的地の黒塚古墳展示館まで歩きながら、考古学の専門家が古墳の解説を行いました。

     

     当日は時折日差しが届きながらも気温が低い状況でしたが、参加された皆さんはめげずに歩かれ、随所での解説を熱心に聞いてくださいました。解説のたびにするどい質問が投げかけられ、スタッフを含む全員で大和古墳群と柳本古墳群に関する知見を深めていました。

     

     コースの終盤では櫛山古墳の上に実際に上り、現在まで残る段築と主体部、東端部の造出を観察する機会があり、皆さん興味深そうに頂上から覗いておられました。

     

     

     今回、文化村主催としては初めての試みとなる現地講座でしたが、ご参加いただいた皆さんからは「丁寧に詳しい説明をしてくれてありがたかった」「次は石室の中にも入ってみたい」と次回開催に向けて非常に励みになるお言葉を多くいただきました。本当にありがとうございました!

     なお、展示は3月3日まで開催しています。天理市を代表する古墳時代前期随一の超大型古墳群、大和古墳群と柳本古墳群に興味のある方は是非、文化財修復・展示棟地下一階までお越し下さい。

  • 2024.01.25

    だれもがみんなアーティスト!成果展行ってます!!

    だれもがみんなアーティスト!

    スタッフブログ 2024.1.25

    「だれもがみんなアーティスト!」

    年齢や障害の有無にかかわらず、だれもが芸術文化活動に参加しやすい環境を提供し、アートの楽しみを発見していただければと思い、2022年から行っています。

    2023年は、様々なアート体験を提供するために、2つのワークショップを開催しました。一つ目は、「紙製キットで作る楽器をみんなで演奏しよう」です。参加者たちは、1音だけが鳴る紙製楽器「ピフポフ」を制作し、その楽器を使って独自のパフォーマンスを楽しんでいただきました。

    もうひとつは、「VRアートをつくろう」です。このワークショップでは、VRゴーグルを装着し、仮想空間でアート作品を制作する体験をしていただきました。

    VRゴーグルを装着すると参加者の皆様全員が時間を忘れて身体を動かし続けるお姿がとても印象的でした。

    仮想空間の中で自由に絵を描き、立体的なアート作品を創造する体験は、参加者にとって新たな世界を開くものであっていただければなによりです。

    現在は、「VRアートをつくろう」の成果発表展を2024128()まで開催しています。

    最終日の28日は、成果展と併せて実際にVRゴーグルをつけてVRアートの世界を体験していただける催しを行いますので、少しでもご興味をお持ちの方は、ふらりとお立ち寄りください。

    「だれもがみんなアーティスト!」では、今後もアートの力を通じて人々がつながり、共感し、新たな可能性を見出す場所として、これからもさらに多くのイベントと体験を提供してまいります。どうぞお楽しみに。

    VRアート作成中

  • 2023.12.22

    文化村クリエイション vol.4 山本糾  第3回 現場レポート

    文化村クリエイション vol.4 山本糾
    第3回 現場レポート 2023.11.29

     

     

     10時文化村集合。山本さん、撮影の奥田さん、遠山の3名です。前回すでに一度撮影を行った吉野川へ、より良いものを求め改めて出向きました。吉野川に惹かれたのは、山からの距離が比較的離れている区間があり、陽の光が均一に川面に映ること。作品の画面がフラットになるよう曇天で撮影をする、という点は今回も同様です。

     

    吉野川

     

     前回撮影した地点に到着してみると、川の水量が少なく撮影できそうにないとのこと。川を下りつつ撮影できそうな場所を探し、少し撮影をしましたが、思うようにはいかなかったようです。普段の撮影では1週間以上車で方々を回っても撮りたい場所が見つからないこともあり、同じ場所でも水量や天候に大きく左右されるため、何日も待機をしたり、何回も訪ねながら撮影することも珍しくない、とお話しされていました。

     何が作品になるか、撮影できるかできないか、言葉にはできないけれども明確な判断基準が山本さんの中にあることが見えた一日でした。

     

     文:遠山きなり
    (なら歴史芸術文化村アートコーディネーター、文化村クリエイション企画者)

     

     

    「文化村クリエイション vol.4 山本糾」について
    写真家・山本糾(やまもと ただす)さんを招聘し、7~10月に数回の撮影と、2024年1~2月になら歴史芸術文化村(=文化村)で、新作を含む展覧会を開催する予定です。
    「文化村クリエイション」は新作の創作を行うと同時に、創作を開いていくことを試みています。創作の過程には、必ずしも作品に表れない発想のかけらや逡巡があります。一見無駄とも思える部分へ宿る豊かさに、触れるきっかけとなることを目指しています。
    山本さんの創作を開く方法として、今回はドキュメンタリー映像を制作しています。映像作家・奥田しゅんじさんが初回の撮影から同行し、その様子を映像撮影しています。
    山本さんは一貫して様々な形態の水をモノクロで撮影し、宇宙の大きな力を捉えようとしてきました。これまで全国各地で撮影をしてきた山本さんは、奈良でどのような作品を制作するのでしょうか。

    展覧会「宇宙の中心にある水」
    2024年1月23日(火)~2月25日(日)

     

     
  • 2023.09.30

    文化村クリエイション vol.4 山本糾  第2回 現場レポート

    文化村クリエイション vol.4 山本糾
    第2回 現場レポート 2023.9.22

     

    「文化村クリエイション vol.4 山本糾」について
    写真家・山本糾(やまもと ただす)さんを招聘し、7~10月に数回の撮影と、2024年1~2月になら歴史芸術文化村(=文化村)で、新作を含む展覧会を開催する予定です。
    「文化村クリエイション」は新作の創作を行うと同時に、創作を開いていくことを試みています。創作の過程には、必ずしも作品に表れない発想のかけらや逡巡があります。一見無駄とも思える部分へ宿る豊かさに、触れるきっかけとなることを目指しています。
    山本さんの創作を開く方法として、今回はドキュメンタリー映像を制作しています。映像作家・奥田しゅんじさんが初回の撮影から同行し、その様子を映像撮影しています。
    山本さんは一貫して様々な形態の水をモノクロで撮影し、この世界にはたらく大きな力のようなものを捉えようとしてきました。これまで全国各地で撮影をしてきた山本さんは、奈良でどのような作品を制作するのでしょうか。

     

    第1回現場レポートはこちら

     

     

    9時文化村集合。メンバーは前回と同様、山本さん、撮影の奥田さん、遠山の3名です。
    今回は、葛城市の二上山と當麻寺を訪ねました。
    カメラと三脚を持っての登山は体力の消耗が激しく、登頂は断念しましたが、石切場では少し撮影をすることもできました。
    途中で伺ったお話を少しご紹介します。

      

      
    前回のロケハンでも出た「場所」という言葉は、山本さんの制作に通底している大切な考え方であるようです。
    具体的な「場所」ではなく、概念的な「場所」。写真の中の「場所」だけではないけれど、写真がつくる「場所」かもしれない。
    「場所」を提示したい、これまでの作品でも「場所」をつくることをやってきているのだと思う、言葉にすることは難しいけれど、と仰っていました。

    山本さんは、世界を動かす大きな力が可視化されているようなところを撮影したい、とも以前お話しされていました。無限に広く動き続ける世界に、作品という点を打つ、場所をつくる、そんな試みなのかしら、と感じています。

     

     

    写真

     
     
    1日の終わりに、前回奈良で撮影した写真の編集したデータを、少しだけ見せていただきました。
    室生ダム(宇陀市)や鶯の滝(奈良市)など、同じ場所へ行き、撮影する姿を見ていたにも関わらず、それは全く別のもので、山本糾さんの作品になっていました。
    プリントして初めて見える部分もあるかと思いますが、山本さんが撮影・加工・編集を行った写真はすでに、私が見ている世界と、山本さんが見ている世界が如何に異なっているかを実感させるものでした。風景をそのまま切り取るのではなく、自分の作品を作っている、という山本さんの言葉が思い出されました。

        

     

     

    文:遠山きなり

    (なら歴史芸術文化村アートコーディネーター、文化村クリエイション企画者)

  • 2023.08.18

    文化村クリエイション vol.4 山本糾  第1回 現場レポート

    文化村クリエイション vol.4 山本糾
    第1回 現場レポート 2023.7.22-23

     

     
    ■「文化村クリエイション vol.4 山本糾」について
    写真家・山本糾(やまもと ただす)さんを招聘し、7~10月に数回の撮影と、2024年1~2月になら歴史芸術文化村(=文化村)で、新作を含む展覧会を開催する予定です。
    「文化村クリエイション」は新作の創作を行うと同時に、創作を開いていくことを試みています。創作の過程には、必ずしも作品に表れない発想のかけらや逡巡があります。一見無駄とも思える部分へ宿る豊かさに、触れるきっかけとなることを目指しています。
    山本さんの創作を開く方法として、今回はドキュメンタリー映像を制作しています。映像作家・奥田しゅんじさんが初回の撮影から同行し、その様子を映像撮影しています。
    山本さんは一貫して様々な形態の水をモノクロで撮影し、この世界にはたらく大きな力のようなものを捉えようとしてきました。これまで全国各地で撮影をしてきた山本さんは、奈良でどのような作品を制作するのでしょうか。

     

    7月22日~23日、本プロジェクト初回のロケハン/撮影を行いました。メンバーは山本さんと映像・奥田さん、本企画担当の遠山の3名です。
    こちらでは、2日間の様子を遠山がレポートします。


    7月22日(土)晴れ

    9時 文化村集合。
    普段から、撮影したい場所を探すロケハンをしつつ、撮れそうな場所とタイミングがあれば撮影もしていくとのこと。
    これまでの作品でモチーフとして登場したことのある、滝や河川、古墳、森などを中心に、この日は10か所程を車で回りました。

    ○行燈山古墳
    崇神天皇陵といわれる行燈山古墳。文化村周辺には古墳が多数点在しており、こちらも車で10分程のご近所です。景色に覚えがあり、どうやら以前いらしたことがあるとのこと。
    被写体とするかどうかは、場所そのものの良し悪しというよりは、作品にした際にどうか、という観点が強いようです。

    ○箸墓古墳
    撮影は基本的に曇りに行うとのこと。陽の当った部分を強調せず、なるべく全てを均一に捉えたい、と話す山本さん。絵画で言えば、オールオーヴァーのような。
    この日の午前中は快晴。撮影のために再訪するかは持ち帰り検討です。

     

    箸墓古墳

    ○天理ダム
    ダムは他でなかなかない圧倒的なスケールが魅力のひとつとか。今年は梅雨の降水量が少なく、放水しているダムは少ないようです。

    ○桃尾の滝
    暑い日で、子どもたちが水遊びをしていました。滝も水量は少なく。

    ○龍王山
    数百基にのぼる古墳群や城跡が山中に残る龍王山。
    垂直にまっすぐ生える木と倒木の混在する森に関心を持たれたようで、スマートフォンで撮影し、モノクロ加工してイメージを確認されていました。

    ○室生ダム
    午後は室生方面へ。
    室生ダムでは一部放水しており、ちょうど曇ってきたタイミングで、今回初めて山本さんがカメラと三脚を取り出しました。ロケハンでなくても、常に作品となり得る場所は探しているという山本さん。ずっと見つからない時もあれば、通り過ぎた後に気になって少し戻るようなこともあるとのこと。撮影した写真が、必ずしも全て作品になるとも限りません。

     

    室生ダム

    ○龍鎮の滝
    室生赤目青山国定公園内、大きな岩が印象的な一帯です。車道から脇道に逸れ、川沿いをしばし上ると神社と滝がありました。
    森が深く、水のスピードも速いため、このような場合はもう少し明るい方がよいとのこと。

    ○垂仁天皇陵
    奈良市方面へ。
    古墳は、木々の垂直と濠の水平のコントラストが大きなポイント。また、濠が結界としてしっかり隔てているのも魅力のようです。

    ○磐之媛陵、ウワナベ古墳
    山本さんが奈良県内でこれまで撮影されたことがある場所が、垂仁天皇陵と磐之媛陵の2か所です。(2008-09年)作品のつくり方も常に変化していくため、一度撮影した場所に再度取り組む可能性もあるということです。


    7月23日(日)晴れ

     

    9時 文化村集合。

    ○鶯の滝
    車で向かい、奈良奥山ドライブウェイを通っていった先、春日山原始林の中に鶯の滝はあります。奈良市内を流れる佐保川の源流です。
    今回のロケハンでは2回目、カメラを構えておられました。曇っている間にシャッターを切り、陽が射すと手が止まる、雲の動きと息と合わせての撮影が印象的でした。

    ○春日宮天皇 田原西陵
    結界のすぐ手前では畑が営まれており、天皇陵と生活が密接しています。

    ○柳生
    柳生新陰流の発祥の地として知られる柳生。いくつかの場所を見て回りました。


    その場所で何を見て、考えているのか、少しずつ伺うことができました。
    次回の撮影にどのようにつながっていくのか、楽しみです。


    文:遠山きなり

    (なら歴史芸術文化村アートコーディネーター、文化村クリエイション企画者)

     
  • 2023.06.21

    「幼児向けアートプログラム」の実践事例紹介をしました。


    2023/05/28に大阪で「語り合い、響き合う 旅するMOSAICO」シンポジウムが開催され、
    私たち職員が1年間企画、実践した「幼児向けアートプログラム」の事例紹介をしました。

     

    世界各地で巡回展が行われている、レッジョ・チルドレンの展覧会「もざいくー描くこと、言葉、素材が紡ぐ物語りー」の監修をおこなったレッジョ・チルドレンの Educator(元、ディアーナ幼児学校教師、
    ドキュメンテーションセンター長、現在国際広報・研修担当)Marina Castagnetti氏を講師にお迎えし、
    展覧会が世界を巡回する意味を日本国内での実践事例なども交えながら語り合う場となりました。

    「幼児向けアートプログラム」では「そざいきち」「てでかんがえる」2つの事業を行っています。
    「そざいきち」では0-6歳の未就学児を対象に、自然の素材や身近なもの などを使用し、素材との出会い、あそびを楽しみます。
    「てでかんがえる」では就学前の5-6歳の子どもたちが、奈良の文化や素材に触れ、みんなで相談し考えながら探究や創作活動を行います。

     

    2022年度の「そざいきち」では「ひかりとかげ」「いろらぼ」「つむ・ならべる・つながる」の3プログラムを開催しました。


    3ヶ月間開催した「つむ・ならべる・つながる」ではサイズの違う塩化ビニールパイプを用意しました。

    期間中に6回参加した2歳のAちゃん。当初はパイプを並べる、積む、崩す遊びをしていました。 最初は難しかった「パイプを繋ぐ」ことに何度も何度も挑戦し「できた」と呟きました。 
    同じテーマを長期間提供すると、何度も参加する子どもがいて、難しいことにも挑戦し少しづつ遊び方が変容します。 またスタッフと子どもとの関係や、環境にも変化が生まれました。 

     

     

    「てでかんがえる」では奈良県の素材を活用し、vol.1では「和紙」、vol.2では「粘土」を使用しました。

    vol.2「粘土」の事例です。

    6日間同じメンバーで「粘土」で何ができるか相談しながらすすめました。

    粘土の形状が変わることを発見、共有した子どもたちは、粘土に「ふつう」「ドロドロ」「かたい」「かたくない」「ふわふわ」「つるつる」など名前をつけて「どんな粘土で何をしたか」を発表しました。

     

     

    年度末にはプログラムを振り返る「そざい あそび まなび展」を開催しました。 

    来館者に子どもの姿や表情、言葉を共有してもらうために、写真や動画に重点を置いた展示です。

    プログラムをミニ体験できるスペースも設けました。 

     

     私たちが大切にしていること。

    ・奈良県の素材を活用し子どもの頃から親しむ。 

    ・子どもが何をするか、事前に想像して道具や環境を準備する。 

    ・子どもの実際の行動を見て、翌日以降の道具、環境を用意する。

    ・子どもの学ぶ機会を奪っていないか。

    ・選択、失敗、挑戦する場所になっているか。

     

    多くの方に文化村の取り組みを紹介することができ、沢山の貴重なご意見をいただきました

    これからも、日々どのように子どもと向き合うか、どうすべきだったのかを話し合い、

    改めて子どもと向き合っていきたいと思います。

    そして今後は、奈良県内の保育士、幼稚園教諭、教育関係者の方々と意見交換や情報共有の場も設け、一貫した課題と価値観を共有し、取り組みを継続したいと考えています。 

  • 2023.05.31

    なりきり調査員!馬のハニワで実測体験

    2023年4月16日に、開村一周年記念展「山辺の道」関連ワークショップを開催しました。

     

     

     

    天理市の荒蒔古墳(6世紀)より出土した馬形埴輪は、1年前の開村展「やまのべの文化財-未来に伝えるわたしたちの至宝-」ではチラシの顔となり、展示室入口で我々を出迎えてくれた、思い出深い埴輪です。その馬形埴輪と同じく荒蒔古墳から出土した、馬具の装飾がない(裸馬の)馬形埴輪の実寸大木馬が、今年の春完成しました!
     
    木馬を制作するにあたり、3Dデータを計測したのが奈良県立大学の山田修先生です。今回は、山田先生を講師にむかえ、3Dデータを応用して量産された1/5サイズのレプリカを使って実測作業を体験しました。

     

     

     

    「スコヤ」という自立する金属のものさしを立てて、埴輪の側面の穴の上下と左右の位置を取ります。実測図のシートに縦軸と横軸の目盛りを記入して、レプリカの下に敷いたシートの目盛りと照らし合わせながら、円の接点を記入する仕組みです。埴輪の穴の真横(水平の位置)から見つつ、スコヤの目盛りをミリ単位までとらえるために、ものすごい低姿勢で、目をこらして約90分。そろそろお開きにしようと、こちらから声を掛けても集中し続けている方がいて驚きました。

     

     

    「難しい分達成感があった」「ものさしで測って絵を描くのがおもしろい」というコメントが、アンケートに寄せられました。「ほかのハニワの実測もやってみたい」というご意見は複数あり、作業自体はとても地味ながら、大変好評ということが分かりました。

     

    荒蒔古墳出土の馬形埴輪型木馬は、文化財修復・展示棟の1階ロビーに常駐しています。大人が乗っても大丈夫なので、ぜひまたがって記念写真を撮っていって下さい!