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  • 2023.01.10

    多坐弥志理都比古神社本殿の修理現場を見学!

    多神社

     

    現在、なら歴史芸術文化村の歴史的建造物修復工房では、奈良県文化財保存事務所が田原本町に位置する多坐弥志理都比古神社本殿(おおいますみしりつひこじんじゃほんでん)(県指定文化財)の修理を行っています。

    先日、文化財保存事務所の方にご案内いただき、多坐弥志理都比古神社(通称、多神社)の修理現場を見学してきました。

    現在、拝殿の奥にある本殿は素屋根に覆われて解体修理が行われています。

    素屋根

      

    写真は今年の6月に撮影したもの。

    屋根の銅板葺(どうばんぶき)を剥がすと野地板(のじいた)が見えてきます。

    (左奥が解体中の銅板、右手前が野地板。)

    野地板

      

    さらに野地板を解体すると、旧野垂木(のだるき)と旧野地板が見えてきました。

    見学させていただいた時は、この旧野地板の解体作業をしているところでした。

    旧野垂木

     

    本殿の屋根は昭和52年(1977)に桧皮葺(ひわだぶき)から銅板葺に改変されており、桧皮葺屋根の下地である旧野地板や裏板が一部残っていることを確認できました。

    この旧野地板や裏板に、桧皮を固定する竹釘が残っているところも見せていただきました。

    修理では、このように部材の年代を調査・記録しながら解体を進めていきます。

     

    また、第一・二殿は墨書から享保20年(1735)に建てられたことがわかりましたが、第三・四殿は建立年代がわかる資料が見つかっておらず不明です。

    発掘調査によって、昔は現在の拝殿の場所に旧本殿があったことが明らかになっています。

    拝殿は宝暦9年(1759)に建てられましたので、第三・四殿は享保20年から宝暦9年の間に建立されたと考えられるそうです。

     

    現本殿を建てる時に、旧本殿の部材を転用している可能性があり、特に第三・四殿には転用材が多く使われていることがわかりました。

    写真中央の四角い穴がある材は、現在、本殿の肘木として使われていますが、この穴は活かされていないため、別の建物の転用材と考えられるようです。

    転用材

     

    部材をよく見ると、一つひとつに白いラベル(番付札)が貼られています。

    文化財の修理では、できる限り部材を再使用することが原則ですので、解体後に元の場所に戻せるよう場所を記載した番付札を貼ります。

    現本殿は各殿とも約160種類もの部材で構成されているようです。

    全てに番付札を貼り、図面も書いていく作業はとても大変な作業であることが想像できます。

    番付札

      

    ちなみに、部材の一部が傷んでいる場合はその部分のみを補修して使います。

    一方、再使用できない部材は新しい部材に交換し、今回の修理で取り替えたことがわかるよう焼印を押します。

    この方法は奈良県では明治30年ころから実践していますが、今では文化庁としてのルールになっているようです。

     

     

    修理に携わる方からの解説を直接聞くことができて、あっという間に見学時間が終わり、多くのことを学ぶことができました。

    ここでご紹介できたものはほんの一部ですので、ぜひ修復工房見学ツアーにご参加いただき、お伝えできればと思います。

    また、文化村の工房内では主に年代などを調査し記録する作業が実施されています。

    ぜひご来村ください!

     

     

    ※2022年11月23日に修理現場を見学するバスツアーが開催されましたが、現在は多神社本殿の一般公開はしておりません。

    ※各修理団体の休業日(主に土日祝日)には、原則として修理技術者が不在となります。

    なお、作業日においても常時作業が見学できるわけではなく、作業内容によっては修理技術者が不在となる場合があります。あらかじめご了承いただきますようお願いいたします。

     

  • 2022.11.27

    幼児向けアートプログラムvol.1「和紙」

    【幼児向けアートプログラム てでかんがえるvol.1和紙】

     

    9月に開催された全6回のプログラム。

    同じメンバーで「和紙」という素材と向き合い、子どもたちは大人が想像する行動を超えて、見る・触る・匂う・試す、それぞれの方法で和紙を確かめ、発見したことを声に出して伝えてくれました。

     

    触る

    「ざらざら」「けばけば」「ずっとさわっていたい」

    ちぎる

    「ホコリみたいなのがでてきた」「さらさらしてる」

    画用紙と比べる

    「あたたかい」「ちょっと和紙とはちがう」

    色水を垂らしてみる

    「あながあきそう」「なんであかないんだろう?」「かわくとパリパリになる」

     

    子どもたちからは「なぜ?」と「発見」を繰り返す姿が見られました。

     

    和紙1

     

    5歳のNくん

    「和紙ってかみだからとんでいきそう」といって紙飛行機を折り、その後も畳んだり丸めたり、ちぎったりして和紙を確かめていました。

    4日目は、お気に入りの和紙を選んで外へ。

    「ういてる」「なぜ?」「とんだ」「くっついた」

    Nくんが部屋に戻ってからも風を楽しめるように、と思いサーキュレーターを準備。

    サーキュレーターを見つけるとすぐに方向を変えたり、持ち上げたりして、「和紙と風」を楽しんでいました。

    和紙だけでなく他の素材も飛ぶのかどうか実験し、量りを使って重さを確かめる姿も見られました。

     

    和紙2和紙3和紙4和紙5和紙6

     

    4歳のHちゃん

    和紙を触ったときに、「ずっとさわっていたい」「よごれてるようにみえる」と言っていました。

    2日目に白楮(しろこうぞ)が室内に置いてあることに気が付き、触ってみてどうだった?と聞くと「かさねてみればちょっとしかきもちよくないけど、かさねなかったらきもちいい」と応えていました。

    和紙を汚れているように見えると言っていたのはどこかな?と聞くと、楮の木をしばらく見つめてから「もしかしたらこれかな?」と指を差していました。

     

    和紙7和紙8

     

    また、各週の子どもたちの気持ちを繋ぐために和紙をお持ち帰りして、Hちゃんはエビフライを作ってくれました。

    「しっぽはあかいマジックでぬったけど、ここ(衣の部分)はちょっときいろだからそのままにした」と言って和紙は真っ白ではなく、色があることを発見していました。

     

    和紙9

     

     

    子どもたちは日を重ねるごとに、自分の疑問と向き合い、「はっけんはっけん!」「みんなみて!」など物凄いことを発見したんだという自信に溢れた姿が増えました。

    最終日には、和紙はみんなにとって何?と投げかけると「最強!」と応えてくれた子どもがいました。

     

    和紙10和紙11

     

     

    10月には『てでかんがえるvol.2粘土』を実施し、子どもたちが疑問を持ち、発見する姿のほか、たくさんの成長が見られました。

    そざいきちは12月から1階体験学習室に移動し、13日(火)~27日(火)に『つむ・ならべる・つながる』のプログラムを行います。

    ぜひご参加ください!

  • 2022.10.13

    大事なものを失ったときのエピソード~アートコミュニケーターの活動

    「もしよかったら、大切なものをなくしたエピソードを教えてもらえませんか」

    文化村に滞在し(2022年8月~9月)作品を制作したアーティストの中尾美園さんの成果展の会場で、学生さんが話しかけます。

    エピソード

     これは、なら歴史芸術文化村が取り組んでいるアートコミュニケーターの活動の一端です。文化村に来ていただいた方に、アートをより身近に楽しんでもらうための架け橋の役割を、現在、奈良芸術短期大学の14名の学生さんが担ってくれています。

     中尾さんは、解体される家にのこされた様々なものを拾い上げ、四角形に切り取り、日本画の技法で模写し作品化しました。今、私たちの身の回りで失われていくもの。それが、百年後千年後には、貴重な文化財になるかもしれない。ものに対する視点、気づきがテーマの一つです。
     アートコミュニケーターの活動は、アーティストが伝えたいことを、来村者にどうアプローチするかが難しいところです。「大切なものをなくしたエピソード」は、中尾さんのアドバイスを受けながら学生さんが企画しました。
    アドバイス 学生さんの問いかけに、この日は3時間ほどの間に10人の方がそれぞれのエピソードを文章にしてくれました。ある方は、古い建物で拾ったという石をこすり絵で表現してくださいました。「作品について深まった」「もう一度作品を観にいきます」など好評でした。

    森本さん益子さんエピソード10石
    学生さんも「みなさん、エピソードがあっていろいろ聞かせてもらえてうれしかった」「時間のない方もいるので「今お時間いただいていいですか」からはじめるとスムーズだった」「正面に立つのではなく横や斜め後ろに立つ」など、コミュニケーションを通して得ることが多いようです。
     アートコミュニケーターは、主体的なプレイヤーです。これまで、来村者と会話を楽しみながらの作品鑑賞や鑑賞ポイントに関連したワークショップなど、学生さんならではのアイデアを活かした様々な活動を行ってきました。

     芸術文化体棟で展示などが行われている期間中の土日祝日を中心に活動しています。文化村に来られた折には、アートコミュニケーターとの対話を楽しんでいただけたらと思います。この看板が目印です。

    看板


     

     
  • 2022.09.26

    ”アートの架け橋” 学生の「アートコミュニケーター」活躍中!

     なら歴史芸術文化村では、対話や体験を通して気づきを広げ、新しいことを知る楽しさへとつなげていくことを活動の理念としています。芸術文化においても、来村者が作品をより深く知ることでアートを楽しめるよう、アーティストや作品と来村者をつなぐ担い手としての「アートコミュニケーター」を育成する事業に取り組んでいます。
     今年度は、奈良県唯一の芸術系大学である奈良芸術短期大学の学生さんが参加し、意欲的に活動を行っています。
    ただいま実施している、中尾美園さん(なら歴史芸術文化村令和4年度前期滞在アーティスト)の作品展示でも下記のとおりアートコミュニケーターの皆さんが活動します。
     “アートの架け橋”として活躍している学生のみなさんとの、アートを通じた交流に是非ご参加ください。

                            

    1.活動日時:10月1日(土)、10月2日(日)
    今後も展覧会にあわせて活動予定

    2.場所:なら歴史芸術文化村 芸術文化体験棟3階

    3.活動するアートコミュニケーター

    10月1日(土)奈良芸術短期大学美術科デザインコース2年生2名 日本画コース   1年生1名

    ・10月2日(日)奈良芸術短期大学美術科日本画コース 1年生1名 クラフトデザインコース 1年生1名
    4.参加方法:事前予約不要、参加費不要
      現地のアートコミュニケーターに気軽にお声がけください。

  • 2022.08.16

    企画展「文化財研究中!―なら歴史芸術文化村×連携4大学―」開催中!

     

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    文化財修復・展示棟の地下1階展示室では第2回企画展「文化財研究中!―なら歴史芸術文化村×連携4大学―」を開催しております。

     

    なら歴史芸術文化村は大学と連携し、文化財の調査研究をはじめ保存や活用、次世代を担う人材育成にかかる取り組みを行っており、現在は天理大学、立命館大学アート・リサーチセンター、奈良県立大学、東京藝術大学の4大学と連携協定を結んでいます。

    本展では各大学の特色ある文化財の調査研究やなら歴史芸術文化村との取り組みについて紹介しています。

     

    天理大学 「発掘調査の裏側見せます」

     調査道具や映像などを通して発掘調査をリアルにお伝えします。

     明治時代に廃寺となった内山永久寺を、絵図を元に再現した模型も展示中!

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    立命館大学アート・リサーチセンター「アジア仏教寺院のデジタルアーカイブと可視化」

     當麻寺西塔の3次元計測データを用いて制作した模型や、構造を透視して見ることができる映像等を展示中!

     また、今は見ることができないボロブドゥール寺院のレリーフをタッチパネルで自由にご覧いただけます。

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    奈良県立大学「仏像のアナログ化」

     普段触ることができない文化財や訪れにくい場所にある文化財を3Dプリンタで再現した複製を展示しています。

     写真の「仏足跡」(手前)とレリーフ(奥)は触ることができます!