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  • 2022.06.21

    ヤギがお待ちしています。「ー間(あいだ)のことー RIMI TAKAGAKI」

    芸術文化体験棟では、奈良ゆかりのアーティスト交流プログラムvol.1「­-間(あいだ)のこと-­RIMI  TAKAGAKI」を開催しています。(~626日(日))

    会場では、奈良県橿原市在住の彫刻家・高垣リミさんの作品が展示されています。

     

    搬入、展示の舞台裏、鑑賞のポイントを紹介します。  

     5月31日(火)、高垣さんのアトリエで梱包。
    この日は朝から小雨がパラパラ。
    アトリエから輸送トラックまで屋外を通るので、空模様を心配しながらの作業です。
                     

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    nekkuresu  この「東と西の間」というヤギの作品は、漆を精製するときの綿で制作されたものです。全部で32頭からなり、今回、そのうち28頭を展示させていただいています。

     この日は、 映画『ホームアローン』のように置いてきぼりにならないよう、高垣さんが事前にヤギたちの首にナンバーを記したネックレスをつけてくださいました。(ありがとうございます)


        tennzi1 トラックへの積み込み時には、心配していた雨も上が り、芸術文化体験棟に、28頭が無事搬入されました。

    このように横たわっている姿は、このときだけのもので、壮観です。
     一番奥に脚を上げているヤギがいます。なにやら体操しているようで、くすっと笑ってしまいます。高垣さんによると、この作品は、「ひーくん」という名前だそうです。会場では、窓ぎわの先頭にいます。ぜひ「ひーくん!」と声をかけてあげ てくださいね。


     鑑賞ポイントの一つ、ヤギたちの眼(まなこ)にぜひご注目ください。

     高垣さんが絵付けした磁器がはめ込まれており、一頭一頭それぞれ異なります。
     ヤギが見た光景が、高垣さんの感性で抽象化され表現されています。
     ヤギたちはどんな光景を見て、どんなことを考えているのでしょう。

     今回の交流イベント、6月19日(日)に行われたアーティストワークショップ「あのときの眼をつくる」では、参加者それぞれが、これまで自分の眼に焼き付いた光景を透明半球に立体造形しました。

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    雲が波間に映る沖縄の海、高垣さん、ヤギ などなど。

    まぶたは、文化財修復工房からいただいたヒノキのかんなくずを利用しています。

     

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    美しい景色とともに、お待ちしております。

    ぜひ、お越しください。




    奈良ゆかりのアーティスト交流プログラムvol.1「ー間のことーRIMI  TAKAGAKI」

    会期:2022年6月26日(日)まで(月曜休館)

    時間:9:00~17:00

    会場:なら歴史芸術文化村 芸術文化体験棟3階

    主催:なら歴史芸術文化村

     



                                                              

                                                            

     

     

     

     

     

     

     

  • 2022.06.01

    企画展「観音のいます地 三輪と初瀬」開催中です。

    文化財修復・展示棟の展示室では第1回企画展「観音のいます地 三輪と初瀬」を開催しております。

     

    奈良県桜井市の三輪・初瀬地域は、大和国が形成される中心地であり、古来神が宿る地として篤い信仰を集めてきました。本展では桜井市に伝わる著名な十一面観音菩薩像である、長谷寺十一面観音像と聖林寺十一面観音像に注目しています。
    今回は特に長谷寺十一面観音菩薩像の歴史と、本展示の見どころをお話します。
     

    長谷寺本尊十一面観音菩薩像は、古来霊験あらたかな像として名声を集めてきました。奈良時代の造立当初より幾度もの災禍に見舞われ、現在の像は八代目です。長谷寺本尊像は、ほかの十一面観音像にはみられない特徴を持っており、その姿を模した像が多数つくられ信仰されました。

     

    長谷寺本尊十一面観音菩薩像の特徴
    ① 方形の台座に立つ
    ② 錫杖(しゃくじょう・杖状の法具)を持つ
    ③ 脇侍に難蛇(なんだ)龍王と雨宝(うほう)童子を配する

     

    今回展示している上之坊十一面観音菩薩像(出陳No.4)や一乗寺十一面観音菩薩像(出陳No.6)は、制作当初は一般的な十一面観音像としてつくられたものの、長谷信仰が隆盛を極めるにつれて、錫杖を持たせるようになったと考えられます。


     一乗寺 十一面観音菩薩像 平安時代(12世紀)

      

    また、長谷寺慈眼院に伝わった十一面観音菩薩像(出陳No.1)は、近年の調査によりクスノキでつくられている可能性が高いことが分かりました。本体の頭から体、足まで一つの木で彫りだしているのも大きな特徴です。よくみると足の前に垂れる天衣(細長い布)も本体と同じ木から彫り抜いていることが分かります。一本の木から彫ろうという意識がとても高かったことが分かりますね。

     

    本展示の会期も残り3週間を切りました。この機会にぜひ、十一面観音さまに思いを馳せ、1000年以上続く信仰のありようを感じとっていただけたら幸いです。(中井)
       

      

    【展示概要】
    第1回企画展「観音のいます地 三輪と初瀬」
    会期:令和4年4月29日(金・祝)~6月19日(日)
    会場:なら歴史芸術文化村 文化財修復・展示棟B1階 展示室
    主催:なら歴史芸術文化村
    協力:東京藝術大学、奈良県立大学、桜井市
    午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)、月曜日休館



  • 2022.05.25

    當麻寺仁王像の修理が始まります

     

    先週、文化村に1体の仏像が運び込まれました。

    當麻寺の入口を守る、仁王像(金剛力士像)のうち阿形(あぎょう)像です。

     

    仁王さんは口を開く「阿(あ)」と、口を閉じる「吽(うん)」の2体一対で、門の左右に配置され、寺院の境内を守っています。

    當麻寺の仁王さんは阿形像の口からニホンミツバチが出入りするようになり、約30年の月日をかけてミツバチが頭の中で巣を作ってしまいました。昨年、1万匹ともいわれるニホンミツバチはお引越しが完了。その様子はテレビなどで多く取り上げられたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

     

    當麻寺仁王像は江戸時代の作で、ヒノキ材の寄木造、眼には玉眼が嵌められています。大阪仏師であった田中主水家に伝わる仏師系図によると、作者は高福(1766年没)という仏師であると書かれています。仁王門は延享二年(1745)の上棟ですので、ほぼ同時期の作と考えられます。

    仁王像は、葛城市の有形文化財に指定されています。

     

    阿形像はニホンミツバチの影響で損傷が激しく、また経年の劣化で矧ぎ目が緩んできているので、解体修理が行われることになりました。これから2年間かけて美術院が文化村工房で修理を行います。

    阿形像の修理完了後、さらに次の2年をかけて吽形像の修理が行われる予定です。

     

    さて、阿形像の搬出作業は、美術院により3日間かけて行われました。

    像高339cm。重量もあるので、チェーンブロックで吊り上げての搬出です。

    お寺や関係者が見守るなか、慎重に門の外へ出します。

     

    阿形像はトラックで文化村へ運ばれました。

     

    月末頃から、文化財修復・展示棟の地下1階で修理の様子を公開します。

    火曜日から日曜日まで毎日開催される修復工房見学ツアーでは、より近くで作業現場を見ていただくことができますので、ぜひご参加ください。

     

    搬出時、通りがかりのご参拝の方が、

    「仁王さん、4年間も一人ぼっちになるなんて寂しいなぁ」

    とつぶやいていらっしゃったのが印象的でした。

     

    仁王さんが寂しくないように、皆さんも當麻寺にぜひお参りくださいね。(竹下)

  • 2022.03.25

    企画展「観音のいます地 三輪と初瀬」のチラシができました。


     

    文化財修復・展示棟の展示室では開村記念特別展「やまのべの文化財」を開催中ですが、次回展示の準備も進めております!

     

    4月29日から開催する企画展「観音のいます地 三輪と初瀬」をご紹介します。

     

    奈良県桜井市にある三輪と初瀬は、大和の信仰の要地でした。

    その周辺に残る十一面観音菩薩像を紹介する展示です。

     

    十一面観音菩薩は、疫病や災難を取り除き、暮らしを幸せにしてくれる仏として信仰されてきました。

     

    長谷寺で最も古い十一面観音像や、平等寺の秘仏本尊、聖林寺十一面観音像の忠実な模刻像などが一堂に会します。

    今回出陳する仏像のなかには初めて展示で紹介される像もあります。

    会期中には長谷寺のお坊さんによる講演、聖林寺ご住職のトークセッション、こども仏像講座などのイベントも開催します(お申し込み方法は近日中にお知らせいたします)。

     

    新緑の季節、文化村で展示を見ていただき、三輪と初瀬の地へお出かけされてはいかがでしょうか?

    皆さまのお越しをお待ちしております!

     

    安楽寺から望む初瀬の山々

     

     

    【展示概要】

    第1回企画展「観音のいます地 三輪と初瀬」

    会期:令和4年4月29日(金・祝)~6月19日(日)

    会場:なら歴史芸術文化村 文化財修復・展示棟B1階 展示室

    主催:なら歴史芸術文化村

    協力:東京藝術大学、奈良県立大学、桜井市

    午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)、月曜日休館

     

  • 2022.03.02

    なら歴史芸術文化村プロモーションビデオを公開中!

    youtube

    https://youtu.be/bObtiQlK0EE 

     

    2022年3月21日(月祝)に「なら歴史芸術文化村」が開村します。
    文化村では五感で感じ、さまざまな人と関わり、体験して、 「なぜ?」という新たな問いを生み出すことを大切に、 知を探求していく楽しさを提供していきます。

    開村に合わせて、プロモーションビデオを作成しましたので、ぜひご覧ください!

  • 2021.10.25

    「墨と炭の世界 ワークショップ」を開催しました。

    10月16日イオンモール橿原で「墨と炭の世界 ワークショップ」を開催しました。

    午前の部は0-3歳の子ども達と保護者。午後の部は4-6歳の子ども達。
    子ども達には一人1セットづつ、墨や炭を用意しました。

    会場には奈良墨 錦光園さんのコーナー他、
    電子顕微鏡、虫眼鏡、すり鉢、ヤスリ、水、長い紙、炭の木琴などのコーナーを準備。


    錦光園さんの「にぎり墨」は粘土とはまた違う質感で
    子ども達は「ぐにぐに」触ったり、ちぎったり。紙に擦るとスーっと線が現れます。
    子ども達は線を確かめるように、目で追っていました。

    墨をヤスリで削ると粉になる事を発見した子。しばらく粉を作って楽しんでいたのですが、
    紙の上に落ちた粉を手で擦ると淡い墨の色が広がりました。
    それに気づいてからは削る、擦るを繰りかえします。
    さらにその紙の上に、にぎり墨の形を変えながらスタンプをして顔を作りました。すごい!

    一方、木炭は堅く、紙に擦ってもあまり線が描けません。
    しかし叩くと高く澄んだ音がする事に気づいた子は、木炭を木琴のように楽しんだり、
    並べ替えて音階を作って遊んでいました。

    全員に同じ素材を用意したのですが、みんな自分のペースで自分の表現を楽しんでいました。
    保護者の方も、子どもが墨を体に塗っても、紙を破いても否定せず、
    子ども達を見守ってくれていました。


    今回の体験を通して奈良の墨の事知ったり、
    形にならなくても、発見する事、挑戦する事って楽しい!と感じてもらえたら嬉しいです。

    文化村では子どもが自分で考えてつくる場を提供したいと考えています。
    皆様、開村を是非楽しみにお待ちください!

  • 2021.10.13

    川上村&吉野国栖に行ってきました!

    先週、視察で奈良県川上村と吉野国栖(くず)へ行ってきました!

    地図

    ■匠の聚(川上村)

    文化村でもアーティスト・イン・レジデンスプログラムを行いますが、川上村には20年以上前から「匠の聚(たくみのむら)」という芸術家村があります。川上村の内外から、多様な分野の芸術家が集い、そこに住み、創作活動を行っています。

    匠の聚1「匠の聚」には一般向けの宿泊棟もあり、各部屋には在住アーティストの作品を展示したり、食器を使用できるなど、滞在中に作品に触れることもできます。
    また、陶芸体験や、絶景を望むカフェなど、ふらりと訪れても楽しめる場所です。(カフェの名物は、ダムカレー!)

    匠の聚2
    ギャラリーではこの時、在住する陶芸作家の、鈴木雄一郎氏・鈴木智子氏による展示「暮らしの作用」を開催していました。暮らしに寄り添う陶器のうつわを、調度品や植物と共に見せることで、情景を想像させる空間となっていました。
    (会期:9月25日~10月7日)

    匠の聚3

    ■福西和紙本舗(吉野国栖)

    文化財修復にも使用される、伝統的な和紙漉き技術を継承する、福西和紙本舗さんにお邪魔し、作業の様子も見学させていただきました。

    黙々と、無駄のない動きで作業される姿に、思わず見入ってしまいます。

    福西和紙本舗1このように大きな和紙を漉くには、高い技術が必要だそうです。

    福西和紙本舗2和紙を乾かすこちらの板は、約10kg。2時間ほどで乾くので、出し入れだけでもなかなかの重労働です。

    福西和紙本舗3
    紙漉きは冷たい水の方が上手くできるそう。これから冬に向けて、忙しくなりそうです。

    福西和紙本舗さんの技術については、本ウェブサイトの別ページで詳しく紹介しています。
    ぜひこちらもご覧ください。
    https://www3.pref.nara.jp/bunkamura/washi/

    川上村役場へも立ち寄り、栗山村長にお話を伺いました。
    「匠の聚」をはじめ、川上村ではたくさんの作り手が日々創作に励んでいるとのこと。
    文化村との連携も前向きに検討してくださっています。今後の展開にも、ご期待ください!

  • 2021.08.06

    10月16日(土)・17日(日) 「ならっ子アートスタジオ」inイオンモール橿原 を開催します!

    世界で注目されている教育法「レッジョ・エミリア・アプローチ」を取り入れながら、今回は、奈良の素材の「墨」を使った未就学児対象の幼児向けアートプログラムと幼児教育の専門家 永渕泰一郎さんの講演会を開催します。講演会はオンライン配信も予定しています。
    ご興味のある方はぜひ、体感してみませんか?みなさんのご応募をお持ちしております。

    当日は、なら歴史芸術文化村の紹介パネル展示も行っておりますので、お気軽にお立ち寄りください。

    イベントについて詳しくはこちらから↓
    https://www3.pref.nara.jp/bunkamura/news/

    墨と炭の世界

     
     
  • 2021.06.17

    現在、10月に予定している幼児向けアートプログラムのプレイベントに向けて絶賛準備中です。

    奈良の素材を使った墨と炭のワークショップを企画しております。

    墨と炭にはどんなちがいがあるのか、そのヒミツをみんなで素材をさわって感じられたらと考えてます!

    イベントのお知らせも随時アップしていきますので、どうぞお楽しみに!

    墨と炭

     

    墨

  • 2021.06.17

    なら歴史芸術文化村では、開村後の子どもたちのアートプログラムで使用する素材を探しています。

    今回は、素材のひとつとして、「蓮の花托」(写真参照)を五條市にある蓮で有名な生蓮寺さんからいただいてきました。

    蓮は泥の中から美しい花を咲かせます。その美しい花を咲かせるその姿が仏教では、仏の智慧や慈悲の象徴となっています。

    泥の中に足をとられながら必死に収穫した蓮たち。
    その数は、約300個!
    泥まみれの蓮の花托をゴシゴシと一つ一つ、歯ブラシで丁寧に洗い、その後天日干し。

    カラッカラに乾いた蓮の花托たち。
    開村後のワークショップの素材として使用したいと思います。
    この何ともいえない蓮の花托を前にどのような作品ができるのか、とても楽しみです。

    蓮の花