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  • 2022.06.01

    企画展「観音のいます地 三輪と初瀬」開催中です。

    文化財修復・展示棟の展示室では第1回企画展「観音のいます地 三輪と初瀬」を開催しております。

     

    奈良県桜井市の三輪・初瀬地域は、大和国が形成される中心地であり、古来神が宿る地として篤い信仰を集めてきました。本展では桜井市に伝わる著名な十一面観音菩薩像である、長谷寺十一面観音像と聖林寺十一面観音像に注目しています。
    今回は特に長谷寺十一面観音菩薩像の歴史と、本展示の見どころをお話します。
     

    長谷寺本尊十一面観音菩薩像は、古来霊験あらたかな像として名声を集めてきました。奈良時代の造立当初より幾度もの災禍に見舞われ、現在の像は八代目です。長谷寺本尊像は、ほかの十一面観音像にはみられない特徴を持っており、その姿を模した像が多数つくられ信仰されました。

     

    長谷寺本尊十一面観音菩薩像の特徴
    ① 方形の台座に立つ
    ② 錫杖(しゃくじょう・杖状の法具)を持つ
    ③ 脇侍に難蛇(なんだ)龍王と雨宝(うほう)童子を配する

     

    今回展示している上之坊十一面観音菩薩像(出陳No.4)や一乗寺十一面観音菩薩像(出陳No.6)は、制作当初は一般的な十一面観音像としてつくられたものの、長谷信仰が隆盛を極めるにつれて、錫杖を持たせるようになったと考えられます。


     一乗寺 十一面観音菩薩像 平安時代(12世紀)

      

    また、長谷寺慈眼院に伝わった十一面観音菩薩像(出陳No.1)は、近年の調査によりクスノキでつくられている可能性が高いことが分かりました。本体の頭から体、足まで一つの木で彫りだしているのも大きな特徴です。よくみると足の前に垂れる天衣(細長い布)も本体と同じ木から彫り抜いていることが分かります。一本の木から彫ろうという意識がとても高かったことが分かりますね。

     

    本展示の会期も残り3週間を切りました。この機会にぜひ、十一面観音さまに思いを馳せ、1000年以上続く信仰のありようを感じとっていただけたら幸いです。(中井)
       

      

    【展示概要】
    第1回企画展「観音のいます地 三輪と初瀬」
    会期:令和4年4月29日(金・祝)~6月19日(日)
    会場:なら歴史芸術文化村 文化財修復・展示棟B1階 展示室
    主催:なら歴史芸術文化村
    協力:東京藝術大学、奈良県立大学、桜井市
    午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)、月曜日休館