奈良の食文化 奈良漬・吉野本葛・柿の葉寿司のおいしさとその魅力

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奈良漬

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奈良漬以前は加須津毛


 奈良漬は、その名の通り奈良発祥の漬物で、酒粕にいろいろな野菜や果実を漬けたものです。その歴史は古く、長屋王の屋敷跡から見つかった木簡に「加須津毛瓜(かすづけ うり)」と記したものがあります。また正倉院文書には生姜や瓜の粕漬けが記されています。
この木簡や文書は 8世紀のものと考えられますが、その頃の酒の粕漬けは、今のものとは違って、どろりとした酒粕に瓜などを漬けたもの、つまり「酒ののこり粕に投げ込んで保存した」ものだと考えられています。
また、その頃は、酒は誰でも醸造できるものではなく、造酒司(みきのつかさ)という都の役所で醸造されていました。つまり酒造りは国営事業の一つでした。奈良漬も、都の貴族たちが食べる「高級食品」の一つであったと考えられます。しかし、名前は「加須津毛(粕漬)」で、まだ「奈良漬」ではありません。

加須津毛
(資料:「木簡庫」奈良文化財研究所)


 

              

 



奈良漬の秘密


なぜ奈良漬っていうの?

奈良のお寺の酒造りと奈良漬の深い関係

 

                

都が奈良から移ったあとも、奈良ではお寺で酒造りが続けられました。醸造技術がのこり、お寺では、酒造りのいろいろな工夫が試みられ、奈良のお寺をルーツとする酒は「僧坊酒」とよばれました。そして今のような澄んだ酒「清酒」づくりのもとになる技術「諸白」が開発されていき、奈良の酒造りは、「酒どころ奈良」「奈良酒」として全国に名をはせました。
この酒造りの進歩のなかで、奈良漬づくりも変化していきました。今のような清酒ができあがるのは、室町時代の頃とされます。いまのような奈良漬が、この頃からできていきます。「奈良漬」という名が初めて出てくる文献は、『山科家礼記』(1492年)の「「ミヤゲ、ナラツケオケ一」です。これは京都・宇治でつくられた粕漬を「奈良漬」として、京都の人におみやげとして持っていったことの記録です。奈良の人が自ら奈良漬と称したわけではありません。
この後、江戸時代にかけていろいろな文献に「奈良漬」が登場します。ポルトガルの宣教師が書いた『日葡辞書』(1603年)には「奈良漬は奈良の漬物の一種であり、香の物の代わりに使う」とあり、この頃すでに酒の粕漬全般の名として「奈良漬」が定着していたことがわかります。

              

 

どうやって漬けるの?


保存のチカラを

うまみにかえる伝統と経験

3つのポイント「置き換える」「2つのチカラを利用する」「伝統と経験を生かし、自然の声を聞く」

奈良漬の製造

  
 
                

〇奈良漬の漬け方 3つのポイント
ポイント❶ 置き換える
①塩漬して野菜の水分を塩分と置き換えて、脱水する。(これは、保存のためと、うまみを出すための下ごしらえとしての塩漬けです。)←第1段階の置き換え

②塩漬けした野菜を酒粕に漬ける。(これは塩分を抜いて、そこに酒粕のうまみを置き換える作業。)←第2段階の置き換え。

 

ポイント❷ 2つのチカラを利用する
①塩のチカラ、酒粕のチカラを利用する。(自然のチカラにまかせる。) ←第1のチカラの利用。
②時間をかけて漬け込む。(時間のチカラにまかせる。)←第 2のチカラの利用


ポイント❸ 伝統と経験を生かし、自然の声を聞く
①漬ける素材 (野菜・果実 )や酒粕の状態によって漬け方を工夫する。(第1の自然の声を聞く。)←第1の伝統と経験の生かし方。

②奈良の風土やその年の気候によって漬け方を工夫する。(第2の自然の声を聞く。)←第 2の伝統と経験の生かし方。

              

 

なにを漬けるの?


奈良漬の基本は

奈良時代から「瓜」です。

奈良盆地で栽培された瓜が、奈良漬となったのです。

酒粕も含めて、奈良漬は奈良の「地産地消」の名物です。

 

 

 

              

古文書などでみると、いろいろや野菜や果実が奈良漬の「漬け種」として利用されてきました。それは、奈良が都であったため、大陸からいろいろな野菜が奈良を通じて伝わったためです。木簡に出てくる粕漬の瓜やナスは古墳時代に伝わったといわれます。この他に、キュウリ、ササゲ、ネギ、カブ、ニラ、ジュンサイ、ヒシ、セリ、瓜(マクワウリ)などは古代に伝わったものとされます。桃、スモモ、柿なども古くに大陸から伝わりました。
 それ以降も、いろいろな野菜や果物が世界中から日本に伝わりました。その結果、江戸時代にはいろいろな種類の野菜・果物が奈良漬の漬け種になり、現代もいろいろな種類の奈良漬があります。

              

 

奈良漬の江戸期と現在