室生寺の本堂は、「潅頂堂(かんじょうどう)」というお堂。ここは、真言宗の重要な儀式である潅頂が行われる。潅頂とは、仏様と縁を結ぶための儀式のこと。壇の上に曼荼羅を敷き、樒(しきみ)の葉を持って目隠しをし、曼荼羅の上に落とす。その葉が落ちた位置に描かれている仏様と、縁が結ばれるというものだ。
一般の人が行う潅頂を「結縁潅頂(けちえんかんじょう)」、僧が修行をはじめる際に行うのは「受明潅頂(じゅみょうかんじょう)」、僧が修行を終える際に行う「伝法潅頂(でんぽうかんじょう)」など、潅頂にはさまざまな種類がある。この儀式を行うため、「潅頂堂」には明かりとりの窓がなく、正面の蔀戸(しとみど)をおろすと、お堂内はほとんど暗闇となる構造になっている。