町家は通常、「鰻の寝床」と例えられるように「間口が狭くて、奥行きが広い」場合が多い。しかし宇陀松山地区では、「間口も奥行きもどちらも広い」という町家がほとんど。これは、まちをつくる際に、近隣の大きなまちから有力な商人を集め、税金の免除も実施していたから。間口が広いという特徴により、通常の出入り口のほかに「座敷玄関」と呼ばれる出入り口が設置されている家もある。また、格子戸の種類が多いのも、この地域の町家が持つ特徴。太格子、親子格子、切子格子、千本格子など、格子に使われる角材の加工はさまざま。一軒一軒、これらの特徴を確認しながら歩くと、町家歩きは一層楽しくなる。