2023/05/28に大阪で「語り合い、響き合う 旅するMOSAICO」シンポジウムが開催され、
私たち職員が1年間企画、実践した「幼児向けアートプログラム」の事例紹介をしました。
世界各地で巡回展が行われている、レッジョ・チルドレンの展覧会「もざいくー描くこと、言葉、素材が紡ぐ物語りー」の監修をおこなったレッジョ・チルドレンの Educator(元、ディアーナ幼児学校教師、
ドキュメンテーションセンター長、現在国際広報・研修担当)Marina Castagnetti氏を講師にお迎えし、
展覧会が世界を巡回する意味を日本国内での実践事例なども交えながら語り合う場となりました。
「幼児向けアートプログラム」では「そざいきち」「てでかんがえる」2つの事業を行っています。
「そざいきち」では0-6歳の未就学児を対象に、自然の素材や身近なもの などを使用し、素材との出会い、あそびを楽しみます。
「てでかんがえる」では就学前の5-6歳の子どもたちが、奈良の文化や素材に触れ、みんなで相談し考えながら探究や創作活動を行います。
2022年度の「そざいきち」では「ひかりとかげ」「いろらぼ」「つむ・ならべる・つながる」の3プログラムを開催しました。
3ヶ月間開催した「つむ・ならべる・つながる」ではサイズの違う塩化ビニールパイプを用意しました。
期間中に6回参加した2歳のAちゃん。当初はパイプを並べる、積む、崩す遊びをしていました。 最初は難しかった「パイプを繋ぐ」ことに何度も何度も挑戦し「できた」と呟きました。
同じテーマを長期間提供すると、何度も参加する子どもがいて、難しいことにも挑戦し少しづつ遊び方が変容します。 またスタッフと子どもとの関係や、環境にも変化が生まれました。
「てでかんがえる」では奈良県の素材を活用し、vol.1では「和紙」、vol.2では「粘土」を使用しました。
vol.2「粘土」の事例です。
6日間同じメンバーで「粘土」で何ができるか相談しながらすすめました。
粘土の形状が変わることを発見、共有した子どもたちは、粘土に「ふつう」「ドロドロ」「かたい」「かたくない」「ふわふわ」「つるつる」など名前をつけて「どんな粘土で何をしたか」を発表しました。
年度末にはプログラムを振り返る「そざい あそび まなび展」を開催しました。
来館者に子どもの姿や表情、言葉を共有してもらうために、写真や動画に重点を置いた展示です。
プログラムをミニ体験できるスペースも設けました。
私たちが大切にしていること。
・奈良県の素材を活用し子どもの頃から親しむ。
・子どもが何をするか、事前に想像して道具や環境を準備する。
・子どもの実際の行動を見て、翌日以降の道具、環境を用意する。
・子どもの学ぶ機会を奪っていないか。
・選択、失敗、挑戦する場所になっているか。
多くの方に文化村の取り組みを紹介することができ、沢山の貴重なご意見をいただきました。
これからも、日々どのように子どもと向き合うか、どうすべきだったのかを話し合い、
改めて子どもと向き合っていきたいと思います。
そして今後は、奈良県内の保育士、幼稚園教諭、教育関係者の方々と意見交換や情報共有の場も設け、一貫した課題と価値観を共有し、取り組みを継続したいと考えています。