伝統の技を今に生かした蚊帳ふきん。季節にちなんだ絵柄も楽しい(丸山繊維産業)

 

 

伝統の蚊帳生地を現代に。

かつて夏の必需品だった蚊帳。

時代の流れの中で蚊帳は暮らしの中から消えてしまいましたが、蚊帳生地は現代生活の中にしっかり生きています。

伝統工芸品ショップで素敵な蚊帳生地製品を見つけました。

多彩な蚊帳製品をそろえた常設コーナー

 

蚊帳ふきんで起死回生。

 

吸水性、速乾性に優れた蚊帳生地を何枚も重ねてつくられた「蚊帳ふきん」は、奈良の蚊帳生地産業に大きく貢献した起死回生の立役者。

 

その使い心地を実感し、リピーターになる人も多いようです。

 

そして、蚊帳ふきんのもう一つの魅力が、豊富な絵柄。季節感のあるものや、奈良にちなんだデザインなど、プレゼントにもぴったりですね。

奈良にちなんだ絵柄も豊富(岡井麻布商店)

 

巻いて、おしゃれに快適に。

 

夏の大人気商品が「ウォーキングタオル」。

蚊帳ふきんと同じく、蚊帳生地を重ねたタオルが汗をしっかり吸収してくれます。

 

山の辺の道ウォークの途中に立ち寄った人が購入し、その場で首に巻いて出発していく姿も。

 

優しい色合いのリバーシブルタイプと麻や柿渋、備長炭の自然の色合いを生かしたタイプがあります。

 

自然の色合いと相性ぴったりなのが蚊帳生地。奈良の蚊帳生地を奄美大島の草木泥染めで染めたストールは男性にも人気です。

汗をさらりと吸収する「ウォーキングタオル」(丸山繊維産業)

 

日差し除けの役割とおしゃれのアクセントの両面から人気を集めているのが「万葉の風スカーフ」。

 

幅約25センチ、長さ110センチというサイズが「短め好き」な人から好まれています。

 

あさくれない(ピンク)、みずあさぎ(水色)など全色揃えるファンも。

気軽に巻ける「万葉の風スカーフ」(岡井麻布商店)

 

 

朝顔横軸ライン

 

 

「各メーカーの方が『ここは特に蚊帳生地製品が良く売れる』とおっしゃいます。」と手ごたえを話すのは別所有可さん。

 

 

伝統工芸品ショップでは、製造者から学んだことをスタッフノートに書いて全員で共有しています。蚊帳生地製品への反響もきっと、「奈良の製品の価値をしっかりと伝えたい。」と頑張るスタッフさんの愛のたまものなのではないでしょうか。

 

 

<奈良晒の展示>

伝統工芸品ショップではこの夏、奈良の伝統産業「奈良晒(ならさらし)」にまつわる展示も行なわれています。

 

奈良晒は室町・鎌倉時代につくられ始めたとされる高級麻織物。当初は神職や僧侶が着る法衣の素材でしたが、奈良を訪れた徳川家康に絶賛されたことから産業として大きく発展し、江戸時代には奈良の人口の7~8割が奈良晒にかかわる仕事についていたといいます。

 

千利休に茶巾として好まれ、江戸時代には武士の正装である裃の素材ともなった奈良晒。

 

伝統工芸品ショップの展示コーナーでは伝統の道具や織り上がった布などを通して、何段階もの繊細な手作業工程を経て出来上がる奈良晒の世界を紹介しています。

 

また、文化財修復・展示棟1階のデジタルギャラリーでは奈良晒の製造工程などに関する動画も見ることができます。

伝統の道具や素材などが並ぶ奈良晒の展示コーナー

(2023年7月~期間限定)