吉野山と熊野を結ぶ修験の道、南奥駈道

ルート概要

大峯山脈の北端・吉野山と南端・熊野の二大聖地を結ぶ約180キロメートルの尾根道は、大峯奥駈道と呼ばれ、6本ある熊野古道の中でも最も古い信仰の道である。修験者の開祖・役行者が拓いたといわれるこの奥駈道には霊場が点在し、行者たちにとっては今なお、最高の修行場となっている。山中には、熊野本宮大社の証誠殿を第一靡とし、吉野山の北にある柳の宿の第七十五靡まで、75か所の行場・拝所がある。また、熊野から吉野へのルートは「順峯」、吉野から熊野へのルートは「逆峯」と呼ばれる。スタート地点である玉置神社は第十靡で、ここから熊野本宮大社までは吉野山から続いた険しい修験道のクライマックスである。山在峠、吹越峠、七越峠の3つの峠を越えると、やがて本宮大社の旧社地である大斎原が見える。杉の森に囲まれぽっかりと大きく開いた空間には、神聖な空気が漂う。ここまでくれば本宮大社まではすぐである。

作家が歩いた道
スタート:玉置神社>五大尊岳>金剛多和>吹越の宿跡>七越の峯>大斎原(おおゆのはら)>ゴール:熊野本宮大社

スポット紹介

玉置神社

玉置神社大峯山脈南部を代表する霊峰・玉置山(1076メートル)の山頂近くにある神社。鬱蒼とした巨杉群に囲まれた境内は、参詣者や登山者が絶えない。神社は約2000年前の崇神天皇の御代に創建されたと伝わり、大地創造の神である国常立尊(くにとこたちのみこと)が主祭神。役行者もこの地で修行したといわれる。弓神楽のお守りは心願成就にご利益があるとされ、買い求めていく参拝者が多い。
【住】吉野郡十津川村玉置川 1
【電】0746-64-0500 
【時】8:00~17:00
【休】年中無休
【¥】襖絵拝観料300円、弓神楽のお守り500円

五大尊岳

五大尊岳尾根を通う奥駈道に突き出した見晴らしのいいピークで、七十五靡(なびき)の第七靡。山頂では、修験者が供えた碑伝(行者札)を見つけることができる。五大尊とは、密教で不動明王を中心に四方を守る明王たちのことで、山頂には不動明王の石像が祀られている。
【住】田辺市本宮町上切原
【時・休】見学自由

金剛多和

金剛多和	七十五靡の第六靡で、石積みの祠の中に役行者の石像が祀られている。また、この辺りは西に流れる熊野川と東に流れる篠尾川の集落を結ぶ峠で、六道の辻とも呼ばれている。六道とは生前の行いによって分けられる冥界の種類で、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天を表し、彼の世への入口を連想させる。仏教用語が古道沿いの地名に付けられているのが興味深い。
【住】田辺市本宮町上切原
【時・休】見学自由

吹越の宿跡

吹越の宿跡杉林に囲まれた舗装路から一段高くなった石垣の上に、小さな行者堂が建てられている。江戸時代後期までは、奥駈で修行する修験者たちが泊まる参籠所があったという。目の前は広く整地されているので、長らく細い尾根道をたどってきた体には、ちょうどよい休憩所にもなる。
【住】田辺市本宮町上切原
【時・休】見学自由

七越の峯

七越の峯大峰山から数えて7つめの峰にあたるとされたことから、七越峰と呼ばれるようになったといわれる。眼下には、熊野川、そして目指す本宮大社や大社の旧社地大斎原が見渡せるビュースポットで、熊野本宮名勝八景のひとつ。また西行が熊野を訪れた際、月夜に輝く七越の峯を「立ち上のぼる 月のあたりに雲消えて 光重ぬるななこしの峯」と歌っていることでも有名。
【住】田辺市本宮町高山
【時・休】見学自由

大斎原(おおゆのはら)

大斎原(おおゆのはら)熊野川、音無川、岩田川の合流点にできた、たまご型の中洲。明治22年の大洪水の際に社殿の一部が流失し、現在の場所に遷されるまで本宮大社があった旧社地である。現在は小さな石祠が2基あるだけだが、背の高い杉の森に覆われぽっかりと空まで大きく開いた空間には、聖地独特の気配が漂っている。また、この旧社地入り口には日本一大きな鳥居がある
【住】和歌山県田辺市本宮町本宮
【電】0735-42-0009(熊野本宮大社)
【時】6:00~19:00
【休】見学自由