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葛城市は歴史にゆかりのところがたくさんありますが、山下市長からご紹介いただけますか。
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山下 |
そうですね。
記紀・万葉では、やはり大津皇子の墓がある二上山は外せません。
昔から信仰の対象で、雄岳と雌岳が男女や父母、または乳房に見立てて母性を表すとされてきました。
そして、仏教が伝えられ、西方浄土の思想が芽生えると、太陽が隠れる山の向こうを浄土と考え、
古い天皇の墓は二上山の向こうにつくられました。
その思想を今に伝えて体現しているのが當麻寺(たいまでら)で、独特の練供養は、恵心僧都源信が教えを劇にして見せたのが始まりとされています。
平成24年で1008回目を数えますが、今日まで菩薩講の方々が中心となって守ってこられました。
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大陸の文物を伝えるという意味では、日本で一番古い竹内街道(たけのうちかいどう)の終点は、葛城市の長尾神社付近ですね。
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山下 |
竹内街道は、『日本書紀』にも613年に大道を造ったと記されており、来年で開通1400年となります。本来の意味での、「国道第1号」です。
今、奈良県や大阪府、国土交通省にも協力を仰ぎ、記念イベントを考えているところです。
その他にも、葛城市には、今まであまり全国にアピールできなかった歴史的な魅力がまだまだあります。
先に紹介した當麻寺には国宝が八つあり、日本で唯一、古代に建立された東西の三重塔がともに創建時のままで現存する寺でもあります。
また、真言宗と浄土宗が並立する点でも珍しいお寺です。
その他、中将姫伝説で蓮の糸を五色に染めたとされる「染め井」や、北花内には、日本初の女帝ではないかとも言われる飯豊(いいとよ)王の陵墓があります。
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その他にも、葛城はいろいろな文化の発祥の地と言われていますが。 |
山下 |
一つは、製鉄文化ですね。司馬遼太郎さんの「街道を行く」にも書かれていますが、大陸から来た忍海(おしみ)氏が鉄器を持ち込み、それを鋳直したのが製鉄文化の始まりで、その時の火の神様を祀ったのが笛吹(ふえふき)神社だと言われています。
また、『古事記』に、伊久米伊理毘古伊佐知命(いくめいりびこいさちのみこと・垂仁天皇)の前で當麻蹴速(たいまのけはや)と野見宿禰(のみのすくね)が力比べをしたと書かれているのが、日本で初めての相撲と言われています。
そういう歴史から、これまで巡業を自粛していた大相撲が再開のスタートを切る場所として葛城市が選ばれ、2012年4月2日に相撲巡業が行われました。
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