葛城山東麓を縦走する葛城古道に、古代豪族のロマンを感じて
ルート概要
日本神話のふるさと・御所(ごせ)市を南北に走る葛城古道(かつらぎこどう)。葛城山のふもと、のどかな田園風景の中に点在する遺跡や社寺を訪れる散策路だ。国道24号線を走るバスを風の森で降車し、西の葛城古道へと入る。古代豪族・鴨一族にゆかりのある高鴨神社を過ぎ、さらに山手の高天彦(たかまひこ)神社を目指す。山道を抜けた先には、奈良盆地から見下ろす高台の神社が荘厳な空気の中佇んでいる。神社の右手には集落が広がり、その中を北の橋本院へと歩を進める。美しく静まりかえった野道は、まさしく神話的な雰囲気。橋本院を過ぎると道は森の中に入り、完全な山道となる。その後、道なりに極楽寺、住吉大社を過ぎると名柄集落に入る。一言主(ひとことぬし)神社、九品寺(くほんじ)に立ち寄り、道標をたよりに北上すると、ゴール地点・猿目橋バス停近くの六地蔵にたどり着く。
スタート:奈良交通 バス停 風の森>船宿寺(せんしゅくじ)>高天彦神社(たかまひこじんじゃ)>中村家住宅>一言主神社(ひとことぬしじんじゃ)>葛城高原>六地蔵>ゴール:奈良交通 バス停 猿目橋
スポット紹介
船宿寺(せんしゅくじ)
真言宗の古刹で、関西花の寺二十五ヵ所の第二十二番札所。広い境内では、4月から5月にかけて1000株ものヒラドツツジやキリシマツツジが咲き誇る。他にもクリンソウ、シャクナゲオオデマリなどの花が美しく、秋には紅葉も見事である。大和地方にはあまり見られない、裏山を借景にした池泉回遊式の庭園も見どころで、境内から見る金剛山や葛城山は必見。
【住】御所市五百家484
【電】0745-66-0036
【時】8:00~17:00
【休】なし
【¥】4~6月 拝観料 大人300円※前もって申し込むこと
※住職在寺の場合、希望者には花説法(無料)あり
高天彦神社(たかまひこじんじゃ)
祭神は天孫降臨のため出雲へ使者を送る高天原の高祖神・高皇産霊神(たかみむすびのかみ)。高天彦はその別名で葛城王朝を築いた古代豪族、葛城氏の祖神という。境内は老杉が立ち、深閑とした雰囲気に包まれる。古道沿いには飲食店や自動販売機も少なく、飲み物やお弁当は持参がおすすめ。また、ここには屋根付きの休憩所もあるので、昼食をとるには最適。
【住】御所市高天
【電】0745-62-3346(御所市観光協会)
【時・休】境内自由
中村家住宅
名柄は、名柄街道と水越街道の交差点として古くから開かれ、堂々たる街並みが残る。中村家はその中心とも言える邸宅。慶長年間(1596~1615)建築という年代の古さや、代官をつとめた家柄であるなど、特殊な例として貴重だということで、国の重要文化財に指定されている。切妻段違い本瓦葺き(きりづまだんちがいほんがわらぶき)で、全面と両側面に本瓦および桟瓦(さんがわら)のひさしをつける。
【住】御所市名柄339
【電】0745-62-3346(御所市観光協会)
【時・休】非公開
一言主神社(ひとことぬしじんじゃ)
大和葛城山の東南麓にあり、東向きに鎮座する。祭神の一言主神は『古事記』や『日本書紀』において、雄略天皇が葛城山で狩をしている際に天皇と同じ装束で現れた葛城の神として登場。地元民からは、願いを一言だけ聞いてくれる「いちごんさん」として親しまれる。境内には能の「土蜘蛛」で知られる伝説の蜘蛛塚がある。また、樹齢1200年を越える大きなイチョウもあり、秋には見事な黄葉が見られる。
【住】御所市森脇432
【電】0745-66-0178
【時・休】境内自由
葛城高原
河内と大和を分ける金剛・葛城連山。水越峠をはさんで北にそびえるのが葛城山で、山頂は広大な草原地帯となっている。特に南側斜面にかけての高原一面は、春にはツツジの花で埋め尽くされ「一目百万本」と称えられるほど。四季折々の自然が豊かで、山野草やバードウォッチングが楽しめる。葛城登山口駅から葛城山上駅までは、葛城山ロープウェイで行ける。
【住】御所市櫛羅(くじら)
【¥】往復ロープウェイ:大人1220円、小人610円
【休】なし
六地蔵
近鉄御所駅から葛城山に向かって歩くと、集落のはずれに六地蔵が彫られた大きな石が見えてくる。この地域は古代から中世にかけて、兄川(あにがわ)の出水で度々被害を受けた。伝承によるとこの巨石も、室町時代の土石流で流れ着いたもので、村人が仏教の六道をもって衆生を救い極楽浄土を願って、その石に六地蔵を刻んだという。また「櫛羅(くじら)」の地名は、葛城山を急激に下る土砂崩れの「崩れ」に由来するといわれている。
【住】御所市櫛羅(くじら)
【時・休】見学自由