景行天皇陵
次に向かったのは崇神(すじん)天皇陵。こちらは大和朝廷を築いた天皇の陵墓だけに規模も大きく、堂々たる風格である。参拝を済ませると、息子は濠の周囲にぐるりとめぐらされた土手を楽しげに歩いていく。ついて行くと風景は一変、のどかな田畑が広がった。間近に山が迫り、まさに山の辺に道が続いている。東海自然歩道としてもよく歩かれる道なので、休憩所やトイレなどもあり、子連れでも安心して歩ける。道沿いの家の軒下には、柿やみかんが並べて売られ、ところどころに農作物の無人販売もあり、ついつい道草したくなる。息子はおばあちゃんが座っているあぜ道の販売所で立ち止まり、みかんを買い求めた。景行天皇陵の脇の道端で休憩がてら、みかんをいただいた。すれ違う人たちも手に買い求めた農作物をぶら下げている。田畑が広がる道を抜け、住宅地に入ったところに珠城山(たまきやま)古墳群がある。このまま山の辺の道から少し外れ、纒向(まきむく)遺跡へ向かう。
纒向遺跡はJR巻向駅を中心に半径約2キロメートルに広がる遺跡群。中でも駅のすぐ西側では、平成21年11月に3世紀後半のものと思われる大型の建物跡が見つかり、邪馬台国の宮殿跡かと話題になった場所である。駅の北側の踏切を越えれば建物跡の発掘現場にたどり着く。しかし調査が終われば、もとの状態に埋め戻されるという。古代史を塗り替えるかもしれない地に立ち感慨にひたっているかたわらで、息子は和菓子屋の店先で焼かれるみたらし団子のにおいに吸い寄せられている。子供と一緒のときは先をあせらず付き合うことも必要だ。和菓子屋で一服したあと、こちらも一部では卑弥呼の墓ではないかという説がある箸墓(はしはか)古墳(倭迹迹日百襲姫命陵)へ向かう。先ほどの崇神・景行両天皇陵と同じような規模なのに、こちらは住宅地の中にあるのでより大きく感じてしまう。