文化村クリエイションは、先進的な取り組みを行うアーティストを招聘し、制作・発表を行うと共に、創作の過程を開いていく試みです。vol.5では画家・伊庭靖子さんをお招きし、奈良県内でモチーフを探し、なら歴史芸術文化村のスタジオにて3ヶ月間公開制作を行いました。本展では新作を中心に展示します。
伊庭さんは自身で撮影した写真を基に、精細な油彩画を描きます。陶器やクッションといった具体的な対象を描きながらも、それらの「質感」が前景化し、鑑賞者の記憶を呼び起こすような作品の制作を試みてきました。モチーフは匿名性が高く日常にありふれたものが選択され、思い入れは意図的に排除されてきました。
約20年ぶりとなる滞在制作、失敗してもよいから色々試したいと話していた伊庭さん。奈良の地域性もあり、モチーフには遺跡から出土した陶片や古墳の風景、近代建築の室内などが選ばれました。歴史や人の気配あるものが否応なく醸す、情緒や物語性を許容するのか、試行期間となりました。ここでの制作を経て、作品は今後どのように変化していくのでしょうか。作家の現在地をぜひご覧ください。
■公開制作 *終了しました
伊庭さんが制作するスタジオの様子を公開します。また公開制作に併せて、近年の風景作品を1点展示します。
日程|2023年12月2日(土)~2024年2月25日(日)の土曜午後・日曜
土曜日 13:00~17:00
日曜日 9:00~17:00
*お休み…12月23日, 24日, 30日, 31日
■スタジオトーク *終了しました
その時々に制作で取り組んでいることや考えていることを、伊庭さんにお話しいただきます。
日程|
2023年12月3日(日), 12月17日(日), 2024年1月7日(日), 1月21日(日), 2月4日(日), 2月18日(日)
時間|13:00〜13:30
定員|5名程度(事前申込不要・当日先着順)
■展覧会
公開制作で制作された新作を中心に展示します。
日程|2024年3月5日(火)〜3月24日(日) *月曜休館
時間|9:00〜17:00
■見かたガイド
公開制作中に配布していたものを掲載しています。
これまでの伊庭さんの取組みを簡単にまとめました。
見かたガイド(PDF)
■プロフィール
伊庭靖子(いば やすこ)
1967年京都市生まれ。
嵯峨美術短期大学版画科専攻科修了。フランス・モンフランカン(ダイムラークライスラーグループアート・スコープ、1999年)、ニューヨーク(文化庁在外研修員、2001-02年)にて滞在制作。
主な個展に、「まなざしのあわい」(東京都美術館、2019年)、「まばゆさの在処」(神奈川県立近代美術館、2009年)。国立新美術館、府中市美術館、横須賀美術館、平塚市美術館、滋賀県立近代美術館など多数の展覧会に参加。神奈川県立近代美術館、資生堂アートハウス、東京都現代美術館、国立国際美術館、The Cleveland Museum of Art(米国)など、国内外の美術館に作品が所蔵されている。
■過去作品
《Untitled 2008-13》 撮影:加藤成文
《Untitled 2009-02》 撮影:加藤成文
《Untitled 2018-02》 撮影:木奥惠三
《Untitled 2023-05》