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  • 2023.03.30

    文化財をもっと身近に!なら歴史芸術文化村の体験型ワークショップ

     なら歴史芸術文化村では、来村者のみなさんに文化財を身近に感じてもらうために、様々な体験型ワークショップを開催しています。今回は中でも「下張り文書 解体ワークショップ」と、「見る 知る 学ぶ 仏像のつくり方」をご紹介します。

     

     令和4年12月27日に「下張り文書 解体ワークショップ」を開催しました。屛風や衝立に下張りとして使われている古文書をはがすワークショップです。今回のワークショップで使用した衝立は、奈良県内のとある旧家に伝えられたものです。家屋の解体にともなって衝立を文化村で引きとり、下張り文書を取り出すためワークショップを行うことになりました。

     講師として、現在なら歴史芸術文化村の絵画・書跡等修復工房で日々装潢文化財の修理をおこなっておられる株式会社文化財保存の今田淳さんをお招きしました。はじめに模型を用いながら衝立の構造について理解を深め、その後実際に衝立の骨組みに張り重ねられている下張り文書をはがしていきます。さまざまな古文書が何層にも重ねられており、1枚1枚はがすのはとても大変です。講師の方の丁寧なご指導のもと、参加者のみなさんは黙々と取り組んでおられました。

     はがした古文書に書かれている内容については奈良県文化財保存課の山田淳平主査より解説を行いました。下張りとして用いられていたのは「豊心丹(ほうしんたん)」と呼ばれる薬の包み紙や、薬の効能、販売先などが記されている文書であることが分かりました。豊心丹は西大寺の叡尊(えいそん)が創製したと伝えられる伝統的な薬です。

     ワークショップの参加者からは「文書をはがすのに没頭できて楽しかった。」「知らないうちにほかの参加者と協力しながら作業ができた。」などの声を多くいただきました。

     

    解体のようす

     

    古文書

     

     「見る 知る 学ぶ 仏像のつくり方」は令和5年2月23日に開催しました。奈良県内には多種多様な仏像が数多く伝わっていますが、その材料やつくり方に関しては知らないことも沢山あるのではないでしょうか?

     午前中は日本彫刻史の大家であり、とくに仏師研究に成果をあげられている根立研介さん(奈良県学芸政策顧問/京都大学名誉教授/公益財団法人美術院理事長)をお招きして、仏像制作の歴史や構造・技法について理解を深めるための講座を行っていただきました。

     午後は、国内外の彫刻文化財を対象とした文化財の技法材料や保存修復に関する研究をおこなっておられる東京藝術大学文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室の岡田靖さん(准教授)と同大学院の博士後期課程を修了され、現在は奈良で活動されている重松優志さんに塑像の構造・技法についての解説と制作実演をしていただきました。塑像は土でできた仏像のことをいいますが、縄を巻いた心棒に何層にも重ねて土を盛り上げていきます。工程が進むにつれて盛り上げる土の種類も変わります。参加したみなさんも実際に使われる土に触れながら、その手触りの違いを感じとっていました。参加者からは「実際に材料にさわったり、道具を使ったりすることができて面白かった。」「仏像制作に興味がわきました。」などの声をいただきました。

     

    講義

     

    塑像

     

     

     

    下張り文書 解体ワークショップ(仮名称)」は連続講座として令和5年度夏に、「見る 知る 学ぶ 仏像のつくり方(仮名称)」は参加者様ご自身で仏像制作を体験していただく連続講座として令和5年度下半期にそれぞれ開催予定です。詳細が決まり次第ホームページのイベント欄でお知らせいたします。みなさまのご参加を心よりお待ちしております。