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  • なら歴史芸術文化村 滞在アーティスト誘致交流事業「文化村AIR」

    開催期間

    2025年11月2日~12月21日()

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    申込不要無料


    ▶滞在アーティストが決定しました

    なら歴史芸術文化村では、奈良の豊かな歴史・芸術・文化を体験し、地域との交流を深めながら、新しい視点と切り口で作品制作を表現する国内在住アーティスト1名(組)を公募・選考した結果、招聘するアーティストを下記の者に決定いたしました。今後、文化村を中心とした地域(天理市・桜井市)にて、作品制作のリサーチなど行いながら新作を制作します。
    子どもや地域の方と楽しむワークショップも行い、土地の文化や人との出会いを大切に活動します。これからの活動にご期待ください。


    招聘アーティスト 早崎 真奈美 はやさき まなみ (東京都)


    ■略歴
    大阪府生まれ、東京都在住。
    京都市立芸術大学美術学部日本画科卒業
    ロンドン芸術大学 チェルシー・カレッジ・オブ・アート&デザイン卒業。


    ■アーティストステイトメント
    私は自然科学史と人間社会の関係性、生物の生態系に着目し「生と死」「善と悪」「美と醜」などの二項対立を通し て、人間の本質を問い直す作品を制作しています。
    科学的に整合しているように見える体系の中にも、矛盾や微細なエラ ーが潜んでおり、そこに人間特有のエゴや執着、偏見といった感情が滲み出ると考えています。
     例えば、「在来種」と「外来種」といった生物分類の枠組みは、生態系を守るための実用的概念である一方で、社会にお ける排他性や境界意識とも密接に重なります。私はこうした自然と人間の間に現れる曖昧な領域に着目し、それを視覚化 することを試みています。
     主な手法は、紙を用いたインスタレーションです。切り出した紙片は平面的でありながら、空間に配置されることで影を 落とし、二次元と三次元のあいだを揺らぐ存在となります。その姿は、分断されたはずの対立項が、実は明確な境界を持たず、共存・交差しているという私のテーマを象徴しています。


    ■文化村での活動提案
    奈良での滞在制作では、古墳や山の辺の道など自然と人の営みが交差する風景をリサーチし、墨と切り絵を組み合わせた新たなインスタレーションを発表予定。地域の子どもや学生を対象とした墨や影絵のワークショップも計画している。


    ■審査評
    西尾 美也 (美術家/東京藝術大学 准教授)
    本事業も年を重ね、応募者のプランには奈良という土地の歴史的・文化的文脈を踏まえつつ、それぞれの表現を発展させようとする意欲が多く見受けられました。今年度は例年にも増して多様なテーマが寄せられ、挑戦的な企画を採択したい気持ちもありましたが、早崎真奈美さんの提案がそれらと比較して決して評価が劣ることはなく、結果的に早崎さんが選出されました。その意味で、本事業が今後も多様なアプローチを歓迎しうるものであることは強調しておきたいと思います。
     早崎さんは、自然科学史と人間社会の関係性に着目し、二項対立を超えた曖昧な領域を作品化してきたアーティストです。黒い紙の切り絵や墨のドローイングを用いたインスタレーションは、二次元と三次元のあいだを揺らぎながら、対立項の共存や交差を象徴的に示す点で独自性があります。奈良の古墳や祭祀跡、山の辺の道といった文化的景観に強い関心を寄せ、自然と人工が重なり合う風景をリサーチの出発点とする姿勢は、本事業の趣旨に即しており、当地での滞在制作にふさわしいものです。地域との交流活動についても、墨を使った描画体験や影絵づくりを構想しており、応募条件を踏まえた上で、自身の表現手法と結びつける工夫が見られる点が特徴的です。さらに、書や画の源流を奈良に位置づけ、専門家や市民との交流を通して自身も学ぶ意欲を示していることは、参加型の活動として大いに期待できるところです。土地の歴史や自然と響き合いながら、早崎さんのテーマが奈良でどのように深められていくか、その成果を楽しみにしています。


    風間 勇助 (奈良県立大学 地域創造学部 講師)
    初めて審査委員を務めるにあたり、奈良という土地の歴史や文化に対して、多くのアーティストのみなさんから、リサーチと交流を軸にした魅力的なプランを提案いただき、大きな刺激を得ました。レジデンス・プログラムは、それぞれに目的や特徴があるものだと思いますが、なら歴史芸術文化村AIRは、アーティストと地域の人々との交流を大きな柱のひとつとしています。
     そのなかで早崎真奈美さんのプランは、奈良にも多くある古墳のような「人の手が加わった痕跡を感じさせる風景」や「自然と人工が共存する場」に関心を向けながら、ご自身の表現素材のひとつである「墨」についてのリサーチがあげられていました。奈良墨でも知られる通り奈良の墨の歴史は深く、また地域の方々にとっても馴染みある素材や表現です。しかし、意外なことにこれまでのレジデンス・アーティストにはほとんど取り上げられてこなかったものでもあり、早崎さんに来ていただくことで、見慣れた風景や素材に対して、新たな価値を探ってくださるのではないかと感じました。
     このプログラムはアーティストと地域の人々との交流を軸としていますが、そのためには何よりもアーティストにとって刺激にあふれ、創造性を回復・深化させる機会であってほしいと思います。時に「よくわからない」アーティストの関心や振る舞いも、その生き生きとした姿が、結果的に地域のみなさんの創造性を誘発し、活気ある地域の源になっていくことを願います。


    山本 雅美 (奈良県立美術館 学芸課長)
    4年目を迎える本事業に始めて審査員として関わった。応募条件が幅広く設定されているため、多様なジャンル、多様なキャリア、多様な年齢のアーティストの応募があった。特に、ヴィジュアルアートだけでなく、パフォーマンスやサウンドを取り扱うアーティストもおり、アーティスト・イン・レジデンスの幅広い可能性を感じた。
     今回、選出された早崎真奈美さんは、日本の精神文化の源泉を奈良の歴史に求め、特になら歴史文化芸術村の近隣の石上神宮や山の辺の道、古墳群などのへの憧憬があるという。また、黒い切り絵のインスタレーションから、墨を使ったドローイングに展開している現在、あらためて墨という素材に向かい合うために奈良に来るという。そういった、個人的な関心と奈良という土地が幸福に結びついたのが、今回のレジデンスのプランになるのだろう。中之条ビエンナーレや越後妻有・大地の芸術祭などへの参加した経験も、土地と地域の人とのかかわりから作品を生み出す力量を示していて、このたびの滞在では奈良で どんな実りを得るのかが楽しみである。


    ■活動予定・滞在制作期間 2025年11月2日(日)~2025年12月5日(金)
    ・制作場所   なら歴史芸術文化村 芸術文化体験棟3Fスタジオ301・302
    ・成果発表展  2025年12月6日(土)~2025年12月21日(日)
    ・場  所   なら歴史芸術文化村 芸術文化体験棟3Fスタジオ301
     

    ▼詳細はこちらから
    https://www3-cms.pref.nara.jp/bunkamura/air/

    イベント概要

    • 日時

      制作期間  2025年11月2日~12月5日
      成果発表展 2025年12月6日~12月21日

    • 時間(詳細)

      制作期間・成果発表展共に 10:00~17:00

    • 会場

      なら歴史芸術文化村 芸術文化体験棟3Fスタジオ302

    • 主催

      なら歴史芸術文化村滞在アーティスト誘致交流事業実行委員会
      (なら歴史芸術文化村・天理大学・天理市・桜井市)

  • クサビで丸太を割ってみよう!~昔の製材加工編~

    開催期間

    2025年7月12日(土)

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    要申込無料

    文化財修復・展示棟内の歴史的建造物修復工房では、奈良県文化財保存事務所が文化財建造物の修理を行っています。普段は入ることのできない工房の中で、学校では教えてくれない伝統的な道具などを体験するワークショップも行っています。今回は、遙か昔から用いられてきた木材の製材加工方法の"打ち割り"を使って、丸太から建物の材料になる過程を体験してみましょう!普段見ることのない打ち割り用の道具や昔ながらの大工道具を実際に体験できる貴重な機会ですので、ぜひご参加ください。

    お申し込みはこちらから。※下記ご希望の時間帯をクリックしてください。            

    ①10:30~                                                

    ②13:30~

    イベント概要

    • 日時

      2025年7月12日(土)                           ①10:30~                                ②13:30~

    • 時間(詳細)

      集合時間:①10:20、②13:20                        所要時間:各1時間30分程度

    • 会場

      集合場所:文化財修復・展示棟 1階ロビー                会場:歴史的建造物修復工房

    • 講師

      濵口 大就 さん                                豆越 祐也・辻 勝樹(奈良県文化財保存事務所)

    • 料金

      無料

    • 定員

      各回10名(保護者の人数を含みます。保護者の方もお申し込みください)                                     対象:小学校高学年以上(中学生以下は保護者同伴)                                                                       

    • 申し込み

      締め切り:7月4日(金)16:00                             ※応募者多数の場合は抽選となります。抽選結果は7月8日(火)17:00までに送信します。

    • その他

      ※汚れてもよい服装でご参加ください。

    • 主催

      奈良県文化財保存事務所

  • なら歴史芸術文化村滞在アーティスト誘致交流事業「文化村AIR」

    開催期間

    2024年10月1日~11月27日()

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    申込不要無料

    ▶滞在アーティストが決定しました
    今年度の滞在アーティストである大槻唯我さんは、被写体となる土地のリサー チに基づき写真作品を制作しています。神話や古填が多く存在する天理市・桜井市という地を歩き、自身が持つ「場所を撮る」「死から生を捉え直す」という制作コンセプトに雷ねた考察から生ま れる作品に期待が高まります。


    招聘アーティスト 大槻 唯我 おおつき ゆいが (東京都)


    ■略歴
    1990年生まれ
    2014年武蔵野美術大学造形学映像学科卒業
    2023年東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博士後期課程修了。


    ■アーティストステイトメント
    被写体となる⼟地の詳細なリサーチ、フィールドワークに基づいた写真作品を制作している。主なコンセプトは、「死から⽣を捉え直す」、「⾵景ではなく場所を撮る」、「思考する隙間を提供する」。現代における絶対的な価値を持つ⽣ではなく、死と⽣の連関や循環の⼀部として再考する。また、単に視覚情報として成⽴する表層的な画⾯ではなく、視覚から広がる⼟地の情報から歴史の端緒を掴み、⾵⼟や⼈の営み、地質や歴史などを有する場所として⼟地を捉え、普段⾒落とされがちなことや焦点が当たりにくいことについて制作を展開している。最近では、現代の⾃然との関わりや過疎の進む地⽅の⾏⽅についてのリサーチを兼ね、国内外のレジデンスに参加し、活動の場を広げている。


    ■文化村での活動提案
    奈良というと数々の⽂化財は思い浮かぶけれど、その⽂化財それぞれの詳細な歴史や物語は⼤して知らず、その点と点を何が埋めているのか、京都以上に古いものが残り、脈々と保存されてきたものがあるにも関わらず具体像が浮かばないことに気づいた。その場所を写真におこしてみたい。特に道と、⾜で歩いて移動することを重視しており、⼭辺の道とその周辺のリサーチを⾏いたい。場所を知るということは、古代の⼈々が歩いた道を実際に歩き⾵景の変化と距離感を掴み、そして⾃分の居場所を知るということであり、⼟地と結びついた営みを把握することでもあると考えている。


    ■審査評
    西尾 美也 (美術家/東京藝術大学 准教授)
     本事業も3年目となり、これまでに滞在したアーティストが残してきた具体的な成果も影響してか、今回の応募者のプランには、リサーチや交流に基づき奈良の環境で自身のテーマを探求する、事業の趣旨に適う内容が多く見受けられました。当初から一貫して応募者の表現メディアに多様性が見られることも、本事業の大きな特徴だと思いますが、その分、お一人に絞ることは難しい作業でもありました。
     その中で今回選出された大槻唯我さんは、「歩き、撮影する」というシンプルな場所への介入、また、写真という身近な手法によって表現を展開されてきました。大槻さんの場所や写真へのアプローチの特異性は、過去作に一貫して表れています。特に「自殺の名所」をリサーチした作品では、その着眼点と、死から生を捉え直す視点が秀逸です。奈良と掛け合わされるとき、「歩く」のに最適な山辺の道があり、「死と生」を考えさせられる神話や古墳があることを考えると、大槻さんがどのような考察や作品を生み出すか、その成果が大いに期待できるところです。
     シンプルな介入であるからこそ、出会っていく人々との日常会話を重視している点も印象的でした。過去作で写真とともに掲示されているテキストからも、歩く写真家の思考や出会いの軌跡が感じられました。その意味で、地域交流計画で提案されていた、中学校での授業参加や座談会のアイデアが、大槻さんの今回の滞在制作を支える重要な要素になるのではないかと期待が膨らみます。


    服部 滋樹
    (graf代表/クリエイティブディレクター/2025年日本国際博覧会協会CDCアドバイザー/京都芸術大学 教授)
     年々、地域での役割や、その専門性が様々な要素を引き出している。奈良県の歴史的背景や自然環境が、アーティストに新たな視点とインスピレーションを提供し創造性を揺さぶっている。これが既に魅力的な環境として、歴史芸術文化村の利点の一つだと思う。奈良の古代文化から繋がる豊かな自然は長き歴史の延長線上に生育した繋がりの中にある。彼等の創作は文化形成を繋ぐ間に存在し、そしてまた起点ともなる種を植えることになる。
     リサーチや交流によって見いだされる意味を、より一層考える必要があるのではないだろうか?それぞれ個々のリサーチ方法が異なり、新たな発見が土地の姿形、輪郭を露わにしてくれる。まるで、作家との交換のように関係性が深くなればなるほど、その互いの証しとして、技巧的表現へと定着されていく。
     何か宿ってきたモノとの交換。天理市、桜井市は飛鳥時代−奈良時代に挟まれた古墳時代のエリアでもある。近隣の身近に接する情報はこの古墳時代からの情報と考えても良い。これから始まる「対話」は、まだ私たちが見いだせていない何か時間経過によって育まれてきた時間軸の事柄や現代の関係性そして、これからあるべき姿へのヒントとなる事を願っています。
     未来を見いだすに難しい世の中だから。先を選択する為に無数のアイデアが必要な時代なのです。作家を通して見いだされる、新たな見解は角度を変えて土地を見ると言うことなのです。ここで生まれてくる様々なヒントを手繰り寄せ、未来への道を探る。そんな仲間として、対話を重ねていきましょう。関係を深めましょう。


    松本 耕士(なら歴史芸術文化村 プログラムディレクター)
     今回で3回目となるAIR事業、主催施設のプログラムディレクターとしての立場で選考させていただき、大槻唯我さんを選出いたしました。「神話と古墳の地」と言っても過言ではない山の辺エリアに位置する文化村での滞在制作に、「生と死」をテーマに作品を制作されることに興味を持ちました。「生と死」というテーマには、これまでも様々なアーティストが向き合ってきましたが、場所ともリンクさせることによって、この地ならではの発想が生まれるのではないでしょうか。大槻さんの制作活動は歩くという実体験から始まります。「この地を歩く。」というプロセスによって、住まう方や訪れた方とリアルに繋がります。さらには、古代からも変わっていない歩くという行為によって、古人(いにしえびと)の見ていた風景もイメージ出来ます。私は、様々な方が来訪される当施設の特性を踏まえ、選考基準の一つとして「わかりやすさ」をこれまでも重視してきました。歩くことによって感じたイメージを写真というわかりやすい手法で表現された作品を通じ、この地のプレゼンスが地域の人々にわかりやすく伝わることが、当施設で実施する本事業の成果になってほしいと期待しています。最後に、大槻さんに期待する地域からの声を追記しておきます。・写真というストレートな技法だが、奈良を捉えなおす新たな視点を提示してくれることに期待します。・「場所を残す」ことによって、今後の桜井市、天理市の地域住民の方が芸術に対して身近に感じてくれることに期待します。

    ▼詳細はこちらから
    https://www3.pref.nara.jp/bunkamura/air/

    イベント概要

    • 日時

      制作期間  2024年10月1日~11月15日
      成果発表展 2024年11月16日~11月27日

    • 時間(詳細)

      制作期間・成果発表展共に 10:00~17:00

    • 会場

      第1会場:なら歴史芸術文化村 芸術文化体験棟3F スタジオ302
      第2会場:Art space TARN 天理本通り商店街内

  • なら歴史芸術文化村滞在アーティスト誘致交流事業「文化村AIR」

    開催期間

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    申込不要無料

    ▶滞在アーティストが決まりました
    なら歴史芸術文化村では、奈良の豊かな歴史・芸術・文化を体験し、地域との交流を深めながら、新しい視点と切り口で作品制作を表現する国内在住アーティスト1名(組)を公募・選考した結果、今般招聘するアーティストを下記の者に決定いたしました。今後、文化村を中心とした地域(天理市・桜井市)に滞在し、作品制作のリサーチ活動やワークショップなどを行います。奈良の昔話からインスピレーションを受けた作品に期待が膨らみます。


    滞在アーティスト  杉原 信幸+中村 綾花  すぎはら のぶゆき+なかむら あやか(長野県)


    ■略歴
    【杉原信幸】
    1980年長野に生まれ東京で育つ。
    2007年東京藝術大学大学院絵画科油画専攻修了。
    2010年より木崎湖畔を中心に「信濃の国原始感覚美 術祭」を毎夏主催。
    2016年NPO法人原始感覚舎設立。理事長。
    2019年ACC(アジアン・カルチュラル・カウンシル)のフェローシップで8か月間の台湾原住民文化リーチサを行う。
    2021年北アルプス国際芸術祭2020-2021(長野)参加。
    2022年文化庁新進芸術家海外研修員として1年間 、マレーシア、インドネシア、シンガポルの先住民調査を行う。

    【中村綾花】
    1982年沖縄に生まれ長野で育つ。2004年信州大学農学部卒業、苺農家を経て、帽子作家として活動する。
    2018年クラフトフェアまつもと(長野)
    2020年The Art of Transforma— tion(国立台湾工藝文化館、台湾)参加。


    ■アーティストステイトメント
    生活と結びつく手仕事を行う帽子作家の中村綾花と美術家の杉原信幸のユニットです。民俗、考古などの側面から土地の歴史や文化のリサーチを行い、土地の記憶の欠片を繋ぎ合わせることで、土地に宿っている形を造形化し、その創作行為から生まれる身体による即興の舞を行います。土地の文化を受け継ぎ、生活とアートが分けられる以前の豊かな精神性と身体性を蘇らせることで、生活と美しさのともにある文化を呼び覚まします。
     わたしを超えて、地が語り始めること、それこそが表現です。台湾、インドネシア、マレーシア、カナダと先住民のリサーチを続けることで、先住民が常に祖先と繋がる表現を行っていることに気づき、祖先との繋がりとは何かということを、自らのルーツとしての海の道、縄文文化を辿りながら、船、山、器、面などをテーマに様々な土地の文化を学びながら制作と考察を続けています。


    ■文化村での活動提案
    なら歴史芸術文化村の複合的な在り方にも興味を持ちました。この土地の民俗、考古、歴史文化のリサーチを行い、この土地に暮らす人と出会い、土地の話を聞きながら、一緒に作品を作ることで、この土地自体が語りだすような制作を行いたいと思っています。


    ■審査評
    西尾 美也 (美術家/東京藝術大学 准教授)
    民俗学や考古学に関心をもつ杉原信幸さんと中村綾花さんによるユニットは、自らの制作の目的について、「生活とアートが分けられる以前の豊かな精神性と身体性を蘇らせることで、生活と美しさのともにある文化を呼び覚ま」す、と表現しています。多くの人がすでに知っている「アート」に比べると、お二人の考え方はすぐには理解し難いかもしれません。ただ、かれらの姿勢や制作学は、なら歴史芸術文化村の「複合的」なあり方に呼応するものでしょう。
     今回のプランでも、①天理の昔話のリサーチ、②着物や帯を縫い繋ぐワークショップ、③楽器や舞で参加してくれる人の募集といった、お二人の特徴が反映された内容になっています。また、お二人のこれまでの活動の中で、天理参考館で見た彫刻や、三輪山の形にインスピレーションを得ている点も重要です。滞在することになる土地、そこで出会う人や素材、そして自らの感性とが、有機的で複合的な関係となって現れてくることが期待できるからです。お二人と出会うことになる市民の方々が、アートという「わからなさ」に一歩踏み出すこと、かれらが目指す「この土地自体が語りだすような制作」に身を委ねてみることの機会を与えられると考えれば、それはアートを通じた本質的な「交流」事業になるはずです。

    服部 滋樹(graf代表/クリエイティブディレクター/京都芸術大学 教授)
    お二人の活動が、この地の魅力を再価値化し、人々に伝えるべく可視化や体験を促して下さるように思えた。AIRの基本には、滞在する地の歴史や受け継がれた状況を対話や交流と様々な条件下でリサーチを行います。その方法論は無数。オリジナルなリサーチ手法によって生み出される作品群に期待をしたい。お二人のキャリアから感じる創造性は互いの手法を駆使し、導き出される空間生と体験だと思う。杉原さんは国内・海外問わず国際芸術祭での発表と、各地での民族学的リサーチによって生み出される基盤と土地、風土への解釈によって紡ぎ出される物語性ではないだろうか。一方、中村さんの手仕事は帽子作家として行われてきた繊細に組み立てられた質量観のあるカタチとして生み出されてきたのだろう。このような作家によって、数千年の歴史のレイヤーを各層事に捲り上げ狭間に起こっていたであろう出来事を私たちの手前へと表してくれるのではないだろうか。そして今までに無い新たな体験を共に歩んで行けそうだ。

    松本 耕士(なら歴史芸術文化村 プログラムディレクター)
    なら歴史芸術文化村は多機能複合施設です。アートは、なら歴史芸術文化村が有するコンテンツの一部ではありますが、全てではありません。本施設のプログラムディレクターである私は、この特性をポジティヴに捉えることを心がけています。
    アートに限らず、本施設を構成する様々な要素が有機的に連携することによって、施設としての可能性をさらに広げていくことが重要だと考えています。
     この思考は、アーティストをはじめ本施設に関わる人々において、さらには周辺地域のポテンシャルにおいても、新たな可能性に繋がるものと確信しています。今回は「杉原伸幸×中村綾花」のユニットが選考されました。「『わたしを超えて、地が語りはじめること、それこそが表現』と語るお二人にこそ、『この地』を素材として提供したい。」と思いました。構想においては、どのようなこだわりを持って『この地』をリサーチされるのか。制作においては、どのようなアプローチで『この地』を表現されるのか。今から楽しみでなりません。


    ■活動予定・滞在制作期間
    リサーチ期間    9月12日(火)~10月10日(火)29日間
    制作・成果発表期間 11月10日(金)~12月10日(日)31日間    

    ▼詳細はこちらから
    https://www3.pref.nara.jp/bunkamura/air/

    イベント概要

    • 日時

      リサーチ期間    9月12日(火)~10月10日(火)29日間
      制作・成果発表期間 11月10日(金)~12月10日(日)31日間 

    • 時間(詳細)

      成果発表展
      ●第1会場 なら歴史芸術文化村 芸術文化体験棟3F交流ラウンジ
      12月1日(金)~12月10日(日) 時間/9:00~17:00
      ●第2会場 山の辺みずえ画廊
      12月7日(木)~12月9日(土) 時間/12:00~15:00

  • なら歴史芸術文化村滞在アーティスト誘致交流事業「文化村AIR」

    開催期間

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    ▶滞在アーティストが決定しました
    なら歴史芸術文化村では、奈良の豊かな歴史・芸術・文化を体験し、新しい視点と切り口で表現する国内在住アーティスト2名(組)の募集を行い、選考の結果以下2名の招聘作家が決定いたしました。来村者や地域の人々と交流を図り、自然や歴史など地域の文化資源を掘り起こし、ジャンルを超えて歴史と現代を繋ぐ新しい芸術表現を試みようとする、意欲あるアーティストの滞在中の活動にご期待ください。


    前期  中尾 美園   なかお みえん (京都府)
    後期 大西 健太郎   おおにし けんたろう氏(東京都)


    ■滞在期間
    前期 2022年8月2日(火)~2022年9月26日(月) 56日間
    後期 2022年10月1日(土)~2022年12月18日(日) 79日間

    ■制作場所 なら歴史芸術文化村 芸術文化体験棟3F スタジオ303

    ■中尾 美園
    略歴
    1980年大阪府生まれ。
    京都市 立芸術大学大学院美術研究科保存修復専攻で模写を通して東洋絵画を学ぶ。
    2016年 アッセンブリッジ・ナゴヤ2016現代美術展、 「パノラマ庭園 一動的生態系にしるすー」(ボタンギャラリー、愛知)
    2018年 「うつす、うつる、」(GalleryPARC、京都)
    2019年 「SEIAN ARTS ATTENTION 12 Roots Routes Travelers」 (成安造形大学、 滋賀)
    2021年 「ボイスオーバ ー 回って遊ぶ声」(滋賀県立美術館、滋賀)等。

    アーティストステイトメント
    モノや環境に将来起こりうる「うつろい」を想像し、個人や社会がどのように受け入れていくのか。また暮らしの中にあったなモノが社会の「宝物」に変わるのか、あるいは個人や一部の人間だけのモノでありつづけるのか。個人と社会、過去・現在・未来の時間をゆききしながら制作しています。
     表現方法は、リサーチ、映像、パフォーマンスなど様々ですが、主に伝統的な東洋の絵画技法を用いた制作を行っています。私の絵画の保存には長い年月で培われた修復の技術が適用されます。千年以上もの間繰り返されてきた絵画制作と保存修復をシステムとして利用することは、この先千年の「うつろい」を想起させます。

    文化村での提案
    もうすでに消失してしまった家をテーマに絵巻物を作成します。解体する前の知人の家の建材、内装材を採取しました。戦後すぐの頃に建てられた家で、この時期の家は文化財としての価値はなく、世代交代によって、売られたり、新しく建て替えられたり、新陳代謝を繰り返します。私は家を断片化して描き、絵巻物にもう一度つなぎ合わせ、整えることで宝物のように再構成します。奈良では昭和時代の一般住宅はほとんど振り返られることはないのではと考え、あえて昭和の家を取り扱い、過去の文化財とつながるものを見出します。


    ■大西 健太郎
    略歴
    1985年生まれ。 ダンサー。
    2008年 東京藝術大学 美術学部 先端芸術表現科 卒業。
    2010年 同 大学院 美術研究科 先端芸術表現専攻 修了。
    2011年 アートプロジェクトの企画運営を手がける一般社団法人〈谷中のおかって〉ディレクター 
    2016年 東京都によるオリンピック・パラリンピック文化事業「TURN」の参加アーティスト。
    以降国際展開の一環で、住民参加型パフォーマンスを公演など行う。

    アーティストステイトメント
    「まだわからない」ということと「まだわからない」を手放さずに対話することはできるだろうか。
     あるろう者の家族をもつ友人から聞いた。ろう者の家族には、そこで暮らす人の間でしか通じない「ホームサイン」というものがあるのだと言う。それ一つでは手話(言葉)としての意味を持たず、関連する他の手話と合わせて使うことで伝わるのだそうだ。言葉の領域ではアクセスできない世界にも「手」は触れることができるのだろうか。ある特定の文脈や言語によって体系が生まれる前、人の「手」を介して伝わってきたもう一つの「手のことば」へとつながる水脈を掘り起こしてみたい。

    文化村での提案
    手話をもとにした詩の朗読表現「サインポエム」に着想した〈手レよむダンス〉を中心に、「時間」「風景」「食」「作業」をモチーフとした踊りの「楽譜」(「手レ譜」と呼ぶ)を制作する。滞在期間中に描いた手レ譜をもとに構成したダンス パフォーマンス作品の公演を成果発表とする。


    ■審査評
    西尾 美也 (美術家/東京藝術大学 准教授)
    応募プランは多分野からの優れた魅力的なものが多く、これだけ多くの同時代の表現者の方が奈良に、文化村に関心を持ってくださっていることに、奈良で現代美術に携わる者として大変わくわくしました。2名に絞らなければいけないことがとても心苦しかったのですが、審査の結果、以下のお二人が選ばれました。
     中尾美園さんは、絵画制作や保存修復で培った技術で視覚的に完成度の高い作品を作っておられるだけでなく、その過程でリサーチを重視することで場と表現を結びつけ、さらに豊かな想像力で歴史と現在をつなげておられる、文化村にまさに歓迎すべきアーティストであると感じました。こうした親和性に加えて、今回の作品プランにおいては、奈良であえて昭和時代の一般住宅をテーマにするなど、意外な着眼点もまた期待を抱かせられました。
     大西健太郎さんは、自分自身の身体を場や環境、人にさらすことで、普段見えているけど意識していないもの、共有しているけど分断されているものに触れ、人の身体を、ひいては人々の関係をやわらかく造形されているように思いました。全国に例のない文化村という環境に大西さんが身を置くことで、ここでしか生まれえない表現と、文化村にとっての新しい関係の造形が生まれることを強く期待しています。お二人とも第一回にふさわしい方々で、滞在制作と成果を今から楽しみにしています。


    服部 滋樹(graf代表/京都芸術大学 教授)
    初回公募へ沢山の方々に参加頂けた事、嬉しく思っています。この施設をご覧になった方々ならば、他のAIRとは全く違った環境であることは一目です。奈良県の歴史的価値を支える、この場所で現代の価値を生み出す様々な作家やチームと共に走り出したいと思う。公募へ参加くださった皆様をネットワークし、ポストコロナのAIRをここから再構したいと思う。今まで無かった価値を生み出せる最も最適な場所であり、その可能性を引き出す奈良のフィールドは今も昔も持っている。


    松本 耕士(なら歴史芸術文化村 プログラムディレクター)
    まずは応募いただいた55組の皆様に感謝を申し上げます。想像をはるかに超える数の応募、さらにはその質も非常に高かったことが、審査後の実感です。今回の選考は、当施設の今後の展開へのメッセージになることも意識しながらの作業でした。前期の中尾美園さんと後期の大西健太郎さん、表現手法等は全く異なるにも関わらず、作品制作に対する考え方に何か共通しているものが想像できる、そのような人選になったと思います。開村したばかりの「なら歴史芸術文化村」において、二人のアーティストが大きな役割を果たしてもらえることを心より期待しています。 一方、残念ながら53組の方が落選となってしまいました。「今回はご縁の無かった方々と、今後も繋がりたい。どうすればよいのか?」そのような宿題をいただいたようにも感じた選考作業でした。

    ▼詳細はこちらから
    https://www3.pref.nara.jp/bunkamura/air/

    イベント概要

    • 日時

      前期 滞在期間 
      2022年8月2日(火)~2022年9月26日(月)56日間
      後期 滞在期間
       2022年10月1日(土)~2022年12月18日(日)79日間

    • 会場

      前期 成果発表展
       なら歴史芸術文化村 文化財修復展示棟地1F・
                芸術文化体験棟3Fスタジオ303

      後期 成果発表展 ダンスパフォーマンス公演 
       なら歴史芸術文化村 芸術文化体験棟3F交流ラウンジ
       天理本通り商店街 稲田酒造前