勾玉を知ろう、つくろう

    

古代の装身具であり祭祀(さいし)にも使われた勾玉(まがたま)は、アクセサリーとしての華やかさと神秘的なイメージをあわせ持つ考古遺物です。

   

その昔、石やガラスを使ってつくられた勾玉を、現代の身近な材料で『再現』するワークショップ「クリアソープで子持ち勾玉をつくろう」(奈良県立橿原考古学研究所監修)に参加しました。

子持ち勾玉

材料を計量する参加者

 

子持ち勾玉

クリアソープでつくった「子持ち勾玉」(右手前の2つ)と「勾玉」

 

身近な材料で

 

この日、つくる勾玉は2つ。

 

大きな勾玉(親勾玉)に小さな突起(子勾玉)がいくつも付いた「子持ち勾玉」と、「勾玉」といえばまず頭に浮かぶ、アルファベットの「C」に似た形の2種類です。

 

材料はクリアソープと呼ばれる石鹸。電子レンジで溶かし、型に流し込んで固めることで簡単に成型できます。食紅など食品に使われる安全な着色料を加えれば着色も自由自在。カラフルな見本に、俄然、やる気がわきます!

 

子持ち勾玉

作業手順を説明するスタッフさん(左奥)

好きな色を選んで

 

 

最初のミッションは「子持ち勾玉」のもとになる形づくり。
2種類のシリコン型から気に入った型を選んだら、好きな色のクリアソープと白のクリアソープを一緒に溶かして流し込み、冷凍庫で冷やし固めます。

 

 

色付きのクリアソープはピンク、黄色、青や緑にオレンジ色などたくさん用意されていて、目移りしてしまうかも。香りを付けたい人はエッセンシャルオイルを、本来の素材である石の質感に近づけたい人は茶色の着色料や竹炭を、溶かしたクリアソープに適宜、加えます。

 

子持ち勾玉

溶かした材料を型に流し込む様子

勾玉を学ぶ

 

参加者全員のシリコン型を冷凍庫に入れて、固めている間は、手元の資料を見ながら「子持ち勾玉」についてのお話を聞きます。

 

「子持ち勾玉」が作られたのは古墳時代中期から飛鳥時代まで(4世紀末~8世紀初め)。玉が玉を産むような姿から多産や豊作を願ってつくられたとの説がある。

 

奈良県では桜井市の三輪山周辺でたくさん見つかっている。カミをまつる祭祀に使われたと考えられるが、詳しいことは分からない。

 

「クリアソープがちょうど良い硬さに固まったら、資料に載っている実物の写真を参考にして彫ってみましょうね」

 

テキパキと明るく、温かい雰囲気のスタッフさんの説明、とっても分かりやすいです。

子持ち勾玉

古代の勾玉のレプリカも見せてもらいました

2つ目をつくります

     

「子持ち勾玉」が固まるのを待つ間に、もうひとつの勾玉をつくります。

2色のクリアソープを選んだら、それぞれ紙コップに入れて溶かし、型の両端から同時に流し込むと…

 

おおっ! 不器用な筆者でも、ちょっと良い感じの色合いに!!

 

「いいね、いいね」

「ワンダフルや!」

 

クリアソープを流し込んだ型を互いにのぞき込んで、みなさん和気あいあい。

この勾玉は「子持ち勾玉」より小ぶりなので、そのまま机の上に置いて固まるのを待ちます。

子持ち勾玉

型に流し込む時こぼさないよう、クリアソープを入れた紙コップに「くちばし」を作ります

 

子持ち勾玉

型に流し込んだら固まるのを待つばかり 

真剣に削ります

 

さあ、いよいよ大詰めです。「子持ち勾玉」をシリコン型から取り出したら、粘土ベラなどの道具で自由に削り、思い思いの形に仕上げていきます。

子持ち勾玉

シリコン型の中の「子持ち勾玉」

子持ち勾玉型から取りだして、思い思いに削ります

 

2色の勾玉で盛り上がった会場が一気に静かになり、みんな、真剣な顔。

 

背面の出っ張りに切り込みを入れて「子勾玉」の感じを出したり、硬いストロー状の道具で表面に「〇」の模様を押したり…。

 

思い切りの良い子どもたちや、かなり「凝り性」とお見受けする方々ほどではないけれど、不器用な筆者も、それなりの形に仕上げることができて大満足です。

 

出来上がった勾玉は自宅で飾るも良し、石鹸として使うも良し。

 

「今日も楽しく、順調に進みました」と笑顔で話すスタッフさんに感謝して、「世界に1つ(2つ?)」の勾玉を持ち帰りました。

 

子持ち勾玉

 

子持ち勾玉

斬新な「子持ち勾玉」は子どもの作品(上)   ○の模様が効いてます(下)

子持ち勾玉

 ちょっとシンプルかな