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宮田さんは神職の勉強を始められた時に『古事記』と出会われたと伺いましたが、その時のことを教えていただけますでしょうか。 |
宮田 |
『古事記』については、神職の勉強をする以前は学校の授業で712年に書かれたことを知っていた程度で、あとは、大学の一般教養で漫談のような講義をする先生の話を聴いたくらいでした。もちろん「因幡の素兎」や「天の岩屋」などの神話は断片的に子どものころから知っていましたが、それを体系的に、ましてや原文で読むなど、神主になろうとしなければあり得なかったと思います。
それが、実際に読んで親しむようになると、書かれていることが様々に解釈できて、「古代人はどういう意図でこのように書いたのか」と分析したり、想像したりするのが面白くなりました。最近の若い人流に言うと『古事記』に“ハマって” いったわけです。
そういう視点で考えますと、今の日本人は、本当に自分の国のことを知らないと思います。歌舞伎や大相撲をどれくらい説明できるでしょうか。ギリシャ神話を知っているという人はいますが、やはり日本の神話も知っておかなければならないと思います。ですから、奈良県が『古事記』『日本書紀』を題材にしてこういう活動をされるのはとても良いことだと思います。ぜひ、記紀のふるさととしての奈良県には頑張っていただきたいと期待しています。 |
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『古事記』はどのようなテキストで勉強されたのですか。 |
宮田 |
漢字だけの原文に自分でふりがなをつけて、意味を書き出しながら読みました。国語の読解の勉強と同じです。『古事記』を読んで理解するという、この勉強は神主になるには必須です。『日本書紀』はあまり扱いません。『古事記』が中心で、「神典購読」という授業があるのですが、神典=『古事記』です。上巻がほとんどで中巻も一部読みました。 |
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上巻の中でお好きなのはどこですか。 |
宮田 |
どの話も面白いのですが、やはり興味深いのは、イザナギノミコト・イザナミノミコトの話でしょうか。国家の歴史書に「みとのまぐわい」などの表現があるというのも考えると面白いですね。天岩戸のアメノウズメノミコトの話も、要するにストリップダンスをするわけですし、オロチ退治も何を意味しているのかと考えると興味深いですね。とにかくわくわくしながら読みました。 |