(参考訳)

東アジア地方政府会合奈良憲章

前文

日本の首都、平城京が奈良に誕生して1300年に当たる西暦2010年に、古くから交流のあった我々東アジア地方政府の代表は奈良に集い、我々の間には多くの共通する文化的基盤の存することを改めて認識し、以下のとおり合意した。
グローバル化の進む国際環境の下で、東アジアの今後の安定した繁栄と発展のためには、東アジア各地域の歴史と文化にはぐくまれた多様性を尊重しつつ、相互の理解と協力・連携を深める必要がある。
多様な東アジアの相互理解を深めるには、多分野における不断の相互交流が必要である。
特に住民に身近な地方政府は、各地域の人々の実情や課題に直面しており、それらを率直に話し合うことで、真の相互理解が可能である。
そのため、東アジアの地域の実情を報告し合い、共通した課題について議論を行い、お互いの理解を深め合うとともに、協力の可能性を探究することを内容とする地方政府による定期的な会合が必要である。
そのような会合の継続的な開催は、各地方政府の知識を拡大し、行政能力を向上させるとともに、我々地方政府間の友好と信頼の関係を増進させ、さらには、国家間ひいては東アジア全体の安定的な発展に寄与できる。

第1条(東アジア地方政府会合の設立)

前文の趣旨を実現するため、「東アジア地方政府会合」(以下「地方政府会合」という。)を設立する。

第 2 条(目的)

「地方政府会合」の目的は、次のとおりとする。
(1)東アジアの地域が抱える諸課題(地域経済の振興、地域の生活水準の質的向上、環境問題、高齢者問題、文化遺産の保存と観光の振興、教育、次世代の交流拡大など)を率直に話し合い、相互理解を深めること
(2)「地方政府会合」の議論を通じて、参加者が地域の課題を解決する行政能力を向上させること

第 3 条(事業)

「地方政府会合」の事業は次のとおりとする。
(1)定期的な会合の開催
(2)「地方政府会合」参加者の相互理解と行政能力向上に資する情報の提供
(3)その他「地方政府会合」の目的を達成するために必要な事業

第 4 条(会員)

1 「地方政府会合」の会員は、本憲章に参加した地方政府(以下「憲章地方政府」という)及び次条により「地方政府会合」への加入が認められた地方政府とする。
2 各会員の代表者は、各地方政府の行政機関の長とする。
3 憲章地方政府は別表のとおりとする。

第 5 条(加入)

1 「地方政府会合」に加入しようとする地方政府は、既に加入している2以上の地方政府の推薦とともに、加入する意思を文書で事務局に提出するものとする。
2 加入の承認は、憲章地方政府全員の賛成をもって行う。
3 会員の資格は、承認の日から効力を有する。

第 6 条(脱退)

会員は、脱退する旨の文書を事務局に提出することにより、脱退することができる。

第 7 条 (会合の開催)

1 会合は、原則として1年に1回開催する。
2 会合は、会員の代表者が出席する。ただし、代表者が会合に出席できない場合は、権限を委任された代理人が会合に出席できる。
3 会合は、開催地方政府の代表者が招集する。
4 会合の議長は、開催地方政府の代表者が務める。

第 8 条 (幹事会)

1 「地方政府会合」の円滑な運営のため、幹事会を設ける。
2 幹事会のメンバーは憲章地方政府とする。
3 幹事会は、次のことを行う。
(1)「地方政府会合」の憲章の変更
(2)会員の加入の決定
(3)会合の開催地及び開催日の決定
(4)会合の議事の決定
(5)「地方政府会合」の特別会員の決定
(6)その他「地方政府会合」の円滑な運営に関する事項の決定
4 幹事会の議長は、互選とする。
5 幹事会は、原則として会合の開催に合わせて開催し、議長が必要に応じて招集する。
6 幹事会の定足数は、幹事の2分の1とする。
7 幹事会の議決は、第3項第1号、第2号を除き、過半数で決し、可否同数のときは、議長が決する。第3項第1号、第2号に関する議決は、当日欠席の幹事も含め全会一致とする。
8 前条第2項の規定は幹事会について準用する。

第 9 条(特別会員)

1 特別会員としての参加を求める団体、個人は、2以上の幹事会のメンバーの推薦とともに、事務局に文書で申請する。
2 特別会員資格を付与された団体、個人は、会合に参加し、発言することができる。
3 特別会員資格は、継続する。

第 10 条(ゲスト)

1 ゲストは、開催地方政府の代表者が推薦し、参加を要請する。
2 ゲストは、会合に参加し、要請されたテーマについて発表することができる。

第 11 条(経費)

会合開催にかかる経費及び会合出席代表団の宿泊費は、原則として開催の主体となる地方政府が負担し、会合出席にかかる渡航費を含む旅費を、出席地方政府が負担するものとする。ただし、開催地方政府が、その判断により宿泊費等を、出席地方政府に負担させることを妨げない。

第 12 条(報告書)

1 会合を開催した地方政府は、原則として会合終了後3ヶ月以内に実施報告書を会合参加地方政府に送付するものとする。
2 送付を受けた地方政府は、中央政府を含むその他の団体に対して報告書を送付し、公表することができる。

第 13 条(事務局)

1 「地方政府会合」の事務の円滑な実施のため、事務局を設ける。
2 事務局は奈良県におく。
3 事務局は、事務局長及びその他の職員によって運営される。
4 事務局の任務は、次のとおりとする。
(1)会員の加入及び脱退の文書の受付
(2)会合の運営に関する情報の保管及び提供
(3)開催地方政府に対する事務的な支援
(4)記録の保管及び広報
(5)その他「地方政府会合」の運営に関し必要な事項


附則  この憲章は、2010年10月7日から発効する。 


附則  この憲章は、2012年11月6日から発効する。


附則  この憲章は、2015年10月1日から発効する。



(別表)

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共和国
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奈良市
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(注)国名はアルファベット順です。