橿原市が世界遺産の暫定登録リストにも入っており、大和三山はその構成資産にも含まれています。そうした面でもさまざまな配慮が求められ、入念な事前調整が必要でした。整備を進めるにあたり、森として自然のままに育てていくべきという意見や、「名勝」指定という側面では藤原宮跡から見たそれぞれの山のかたちが剪定・伐採によって変わってしまってはならない、という声も大きかったのです。それらの意見を汲み入れながら、話し合いを繰り返し、実際に事業がスタートしたのは平成24年でした。
最初に着手したのが香久山と畝傍山で、その後は三つの山をローテーションで順に剪定・伐採していくという計画が立てられました。眺望確保については、山頂から他の二つの山が見えること、そして藤原宮跡が見えるようすることが重要なポイントです。
ほかには、いま問題になっているナラ枯れ対策です。以前も大和三山がマツクイムシの被害にあったことがあり、その時にナラやカシの木が植栽されて現在の状態になったのですが、維持管理が難しく、最近またナラ枯れが広がっています。剪定・伐採や植栽と並行して、取り組んでいかなければならないと思っています。