レポート記事

2020.03.26

奈良県と早稲田大学によるセルフビルドプロジェクト、コミュニティ施設「笑屋」が完成

奈良県庁農林部奈良の木ブランド課では、2010年から早稲田大学創造理工学部建築学科の古谷誠章教授との連携事業に取り組んできました。これまでは「吉野材を活かした木質空間デザインの提案」として、2019年に東京・丸の内KITTEで開催した<奈良の木∞すこやかな暮らし>など、首都圏中心のイベント等で奈良の木の魅力を発信してきました。

そして、2019年7月、奈良県吉野町上市地区に新しいコミュニティスペースを完成させるための「蔵改修プロジェクト」が始動。「笑屋」と名付けられたそのコミュニティ施設は、2020年3月、たった5日間という短い期間で早稲田大学の学生と地域住民によるセルフビルドで完成しました。

取り組みのはじまりは、学生と地域住民による、県主催のワークショップから。2019年7月、8月、11月と3回開催し、意見交換会からデザインの提案、そしてプレゼンテーションと回を重ねるたびに想いと仕上がりのイメージを共有し、ついに今年2020年3月3日から改修がスタートしました。

舞台となったのは、奈良県吉野町上市地区にある「島田商店」の5年前に使われなくなった“蔵風“の建物。ここは老舗醤油店でありながら、夕日を見ながら語らえる場所としても地域住民に親しまれてきた場所です。

一歩入ると、木の香りが漂い、正面には美しさを引き立たせるように配置された吉野スギの棚がつくられています。段々になった左下の組木は、吉野の山のシルエットをモチーフにしたそう。そして、向かって左側の壁面には、吉野ヒノキで組まれたベンチが設けられています。

  • 正面 吉野スギの棚
  • 左側 吉野ヒノキのベンチ
  • 格子状に組まれた下地
  • 吉野スギと吉野ヒノキを交互に使ったベンチの座面

ワークショップでは、リノベーション後の使用目的について話し合い、地域住民からは、イベントなどの打ち上げ、パブリックビューイング、ライブ会場などのリクエストが挙げられました。これを受けた9名の学生たちは、地域住民の方々が思い思いの様々な用途で使用できるようにという想いを込めて、中央部に空間をつくり、広く見せるデザインを提案。

  • 早稲田大学 大学院 創造理工学研究科 1年生 木村一暁さん

今回のプロジェクトリーダーを務めた早稲田大学院生の木村一暁さんは「吉野の山々と製材所 に積まれている木材の風景をモチーフにしたデザインにすることで、地元のみなさんに愛着を持って使っていただけるといいなと思っています。実際に吉野材を扱って自分たちの手で空間を仕上げるということも初めてですし、普段は、模型やCGでデザインを考えるので、原寸大のものを作る大変さも感じることができました」と、語りました。

  • 早稲田大学 創造理工学部建築学科 教授 古谷誠章氏

指導された古谷誠章教授は「五感に働きかけてくるような空間ができました。まず一歩入れば木の香りがします。この香りや木目が緊密で真っすぐなことや節の少ない柾目の美しさに、さまざまな文化が加わった吉野材の素晴らしさを知ることができる場所になりました」とのこと。

  • 上市笑転会 中谷義輝さん

地元を代表して上市地区自治協議会「上市笑転会」の中谷義輝さんが「吉野材の素晴らしさを情報発信していける場所、吉野で吉野の良さを発信できればと思います」と話してくださいました。

奈良県吉野町上市地区の地域住民に愛されてきた老舗醤油店に、新たな息吹が吹きこまれて完成したコミュニティスペース、その名も『笑屋』は、この土地の文化や地域を語らえる場として、そして、これからもより親交が深まる場所として、また人々が集うようになりました。

INFORMATION

笑屋

住所 〒639-3112 奈良県吉野郡吉野町大字立野
URL https://www.facebook.com/kamiichishoutenkai/

取材・文:土井淑子
写真:鈴木誠一/根本友樹

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