インタビュー記事

2020.03.02

斉藤アリスと行くとらや 赤坂店、吉野ヒノキで魅せる伝統とモダニズム

室町時代の後期、京都で創業された和菓子の老舗・とらや。そのフラッグショップともいえる赤坂店がリニューアルオープンしたのは、2018年10月のこと。世界的にも有名な建築家・内藤 廣氏によって手掛けられた店内は、壁から天井に至るまで奈良県産の吉野ヒノキをふんだんに使用。細やかな木目と柔らかな色味がおりなす温かくも洗練された空間は、和菓子のもつ繊細な美しさがそのまま表されたかのような建築となっています。

  • 吉野ヒノキの香りが漂う店内
  • 2F・売場
  • 3F・虎屋菓寮

見た目に美しく、触れて心地よく、そして香しい店内。今回は、モデルでありカフェライターとしても活躍中の斉藤アリスさんに『とらや赤坂店』でのひとときを過ごしていただきました。

インタビュー:モデル・ライター 斉藤アリス

――こちらの赤坂店には今回初めて来店されたそうですが、とらやさんの和菓子を召し上がったことはありますか?

はい。とらやさんと言えば羊羹が有名ですが、葛切りやあんみつもすごく美味しいですよね。身体中に染み渡るような濃厚な甘さが本当に美味しくて。それから、私の地元・愛知県西尾市はお茶の名産地なんですけど、お茶づくりが盛んな土地には和菓子屋さんが多かったり、小学校でも茶道の授業があったり、和菓子は小さい頃からよく食べていましたね。

  • あんみつ(黒蜜)

――アリスさんにとって和菓子は馴染み深いものなんですね。では、今回は実際に赤坂店に来ていただきましたが、店内の雰囲気や内装など、どんな印象を持たれましたか?

陽の光がたくさん入る構造になっていたり、細い木を組むことで浮遊感のあるエアリーな空間になっていて、すごく気持ちがいいですね。それと、お店に入った瞬間にすごくいい香りがしました! 初めて来たのに居心地が良くて、木の奥深い香りがすごく落ち着きます。

以前、日本アロマ環境協会主催の「東京2020」をテーマにした香りを何百作品もの中から決めるというイベント(AEAJイメージフレグランスコンテスト)で審査員をさせていただいたことがあり、その作品の中にヒノキを使っているものがとても多かったんです。その時に、海外の方にとってもヒノキの香りはすごく日本を感じるものなんじゃないかなと思ったことがあって。日本の侘び寂びみたいなものを日本ならではの木の香りで感じてもらうのはとても素敵だなと思いました。とらやさんではこれだけたくさんの木を使っているので、わざわざ香りを焚かなくても本物のヒノキの香りが漂ってきますよね。

――都内でもここまでふんだんに木を使った建物は他に見られないのだとか。「簡素にして高雅」というコンセプトを基にデザインされたそうです。

確かに、シンプルで優雅ですね。“千本格子”や螺旋階段など、それ自体はクラシカルなものだけど、デザインはモダンで現代的。以前、東京ステーションホテルにある「TORAYA TOKYO」を取材させていただいたことがあるんですけど、そこも旧駅舎のレンガを残しつつも洗練されたモダンな空間で。昔からあるものを大切に残しながら、現代の感覚に取り入れているのが素晴らしいなと思いました。

  • 伝統的な組子を新たにデザインした千本格子
  • 売場から虎屋菓寮へ繋がる螺旋階段

――アリスさんは国内外のいろいろなカフェに訪れていらっしゃいますよね。どういったところにカフェ巡りの魅力を感じていますか?

カフェって食事をする場でもお酒を飲む場でもなく、時間を愉しむ場なのかなって私は思っています。もともとは建築が好きでカフェ巡りを始めたところもあって。たとえば東京には100年くらいの歴史がある建物をリノベーションしているカフェって結構あるんですよ。コーヒー1杯500円くらいで、その土地の昔と今を感じられるところが魅力だなって思います。それから、フランスにパリで一番古いと言われている「ル・プロコップ (Le Procope)」というカフェがあるんですけど、学生時代のナポレオンや思想家として有名なモンテスキューが通っていたというエピソードがあって。そのカフェでは、お代を払えなかったナポレオンが代わりに置いていったという帽子が今も飾られているんです。面白いですよね。

――すごくロマンがありますね。

ヴェネツィアにあるヨーロッパ最古のカフェ「フローリアン (Caffè Florian)」も17世紀を代表するアーティストたちがいくつかの部屋の装飾を手掛けていて。当時のカフェは誰もが来られるような場所ではなかったから、アーティストや政治家みたいに前衛的な人たちが交流する場でもあったんです。

  • これまでに訪れたカフェの写真

――カフェでの出会いから花開いた文化もきっとあったでしょうね。

そんな歴史のある建築をそのまま使っているところに、その時代の象徴を残していきたいっていう想いが感じられますよね。でも、私は古いものをまったく何も変えないままキープし続けることは文化を構築していることにはならないと思うんです。よき一時代をずっと留めていることになるので。もちろん中にはそういうものもあっていいと思うけれど、やっぱり日々進化し続けているし、時代に求められるものは変わっていくじゃないですか。とらや 赤坂店さんの建物にも受け継いできた伝統と今の日本らしさというメッセージがあるんじゃないかなと思いました。

――歴史あるとらやさんだからこそ打ち出せるもの、そしてそこに使われているのが、同じく伝統と歴史のある吉野ヒノキというところにも趣が感じられますね。

木って、切っても生きてるじゃないですか。私の実家も木を使っているんですけど、冬は暖房をつけなくても暖かいし、夏は涼しくて。それは、木が呼吸しているからで、変化しているからなんだろうなと。とらやさんの建物も本当に様々な想いを込めてこれまでの歴史や未来の姿を表されているんじゃないかなと思うんです。それに、これから国内外のいろんな方が東京に訪れることを見据えて建てられたはずなので、こういったかたちで今の日本らしさを打ち出すというところでもすごく意味があるし、きっと後世に残っていくものなんじゃないかなって思います。

  • 赤坂店限定商品
  • TORAYA CAFÉ 「あんペースト」の自動販売機
    (時期により商品が変わります)
INFORMATION

とらや 赤坂店

住所 東京都港区赤坂4-9-22
URL https://www.toraya-group.co.jp/toraya/shops/detail/?id=5

取材・文:野中ミサキ(NaNo.works)
写真:佐藤大輔
ヘア・メイク:つばきち

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