インタビュー記事

2020.08.07

材木のエキスパート・丸十商店に聞く木の選び方・扱い方。DIYで快適なおうち時間。

おうち時間が増えた今こそお薦めしたい『』と『DIY』。身の回りの家具やインテリア、生活雑貨の自作、家や部屋のリフォームを自らの手で行う『DIY』ですが、DIYに最も適した材料の一つである木材には、ウイルスの感染力低下や抗菌作用など、健康・快適な暮らしに嬉しい効果がたくさん。ただ、DIY初心者の中には、木材といってもどのような種類があるのか、どのように手入れをすれば良いのか、よく分からないという人も少なくないはず。そこで、今回は木材を取り扱うエキスパートにお話をうかがいました。

答えてくれたのは、東京・新木場で材木問屋として吉野スギ・ヒノキを取り扱っている丸十商店の代表取締役・田野さんと鈴木さん。基本的な木材の種類・特徴から、意外なお手入れ方法、木の魅力まで、木材を生業としている職業人ならではの視点でお話しいただきました。

インタビュー:丸十商店 田野 巧・鈴木 幸雄

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    丸十商店 代表取締役・田野 巧(左)・鈴木 幸雄(右)

―― 一からDIYを始めようとすると、どのような木材を使えばいいのか分からない人も多いと思います。まずは木材の種類について教えてください。

田野 巧(以下、田野) 木材は大きく分けて、無垢材集成材合板の3種類があります。無垢材は原木から切り出したままの状態で使われる木材。集成材には加工した板材や角材をつないで接着した積層材と、外材等の芯材に桧・杉等の薄くスライスした単材を貼って作る化粧材があります。合板は薄い板材を貼り合わせた木材です。当店で取り扱っているのは、柱や梁といった建築物の構造に使われる無垢材と集成材の2種類ですね。

――無垢材は初心者にもイメージしやすい木材ですが、どのような特徴がありますか?

田野 一番良い特徴は、木の匂いや肌触りが感じられることですね。無垢材は素材そのままなので、乾燥や湿度の変化に影響を受けやすく、収縮したり割れたりすることもあります。そのためメンテナンスに気を付ける必要はありますが、匂いや質感は無垢材が断然良いですよ。長く使っていると木の油が出てきて、飴色に変わってくるので、経年変化の良さも味わえると思います。

――集成材というのはどのような特徴のある木材なのでしょうか?

田野 木の特徴を引きだすなら無垢材が一番ですが、無垢材はどうしても乾燥などの影響で反りが出やすいんです。そこで、反りが少なく割れにくい複数の木材を貼り合わせた集成材や積層材が使われるようにもなってきました。

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    無垢材(吉野ヒノキ)

鈴木 幸雄(以下、鈴木) ただ、無垢材と集成材に強度の違いがあるかの判断は難しいところです。例えば、法隆寺は無垢材を使って建築されていて、メンテナンスをしながらも、1000年以上の歴史を経ています。集成材が使われるようになったのは、今から約50年前ですが、集成材は接着剤の劣化がありますから、50年はもったとしてもそれ以上の年数になるとどうなるかは分かりません。

――丸十商店では、吉野スギ・ヒノキを取り扱っておられますが、スギとヒノキでは、木材としてどのような違いや特徴がありますか?

田野 スギは柔らかく温かみがあって良いという人が多いですね。それに比べ、ヒノキは少し硬いイメージ。どちらも香りは良いです。ただ、ヒノキの方が粘り気があるのか、ヒノキはスギよりも割れにくいです。

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    吉野ヒノキ(左) と 吉野スギ(右)

―― 一本の木の中でも部位によって異なる特徴があるそうですね。

田野 木の断面を見ると、外側は白くて中心に近づくほどピンク色になっているでしょう。外側の白い部分は白太、中心部のピンク色の部分は赤身といって、赤身の方が上質で、反りが出にくく長持ちします。

鈴木 要するに、白太の方が生きている細胞で、赤身は成長が止まった細胞になっています。虫は生きた細胞の方を食べるので、白太の方が虫にも弱く、赤身の方は高耐久です。部位によって強度、匂い、質感などが違うため腐りやすく、それぞれ使われる用途も違ってきます。

――吉野スギ・ヒノキと他府県産の木材には、どのような違いがありますか?

鈴木 一番の違いは人の手がかかった回数ですね。通常は2mごとに植林していくのを、吉野ではもっと密に植えるんです。それから枝打ちをこまめに繰り返すことで、他府県よりも長い年月をかけて成長させていく。そうして真っ直ぐ上に伸ばしていくと、節が出にくく、上質な油が入った材が出来上がるんです。

田野 あとは間伐という伝統も大きいと思いますよ。他の産地では、伐る時は全て伐ってしまうやり方ですが、吉野では密集して植えて間伐を繰り返すというやり方を今もやっている。だから、吉野には「残し木」という樹齢何百年も経った太い木が残っています。

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    吉野ヒノキの木目

――丸十商店で取り扱われている木材は、どのような用途で使われることが多いのでしょうか?

田野 ほとんど建築資材ですね。和室の敷居・鴨居とか、台所のカウンターなどがメインです。DIYに使うのであれば、椅子だったり棚だったり、色んなモノに使ってもらえると思います。当社にも、手先が器用で木の小物を作るのが好きな社員がいて、椅子や写真立て、ティッシュケースなどを作ったりしていますよ。

鈴木 当社でも、DIYに使用できる「木っ端(こっぱ)」と呼ばれる材を格安で販売しています。接客対応はできない時もありますが、新木場の本社に、営業時間内に取りに来られる方であれば、建築資材としては使えない端材を選んでもらうことができます。DIYに利用される場合、造りたい物の図面を書き、寸法を算出してから見に来ていただければ、適材に出会えると思います。

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    丸十商店の社員が吉野材で作ったイスや小物
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    建築資材としては使えない木っ端
    一般の方向けに格安で販売している

――木を使った製品のお手入れは、どのようにすればいいのでしょうか?

鈴木 一番良いのは乾拭きですね。昔、埼玉にある築200年くらいのお家を取り壊すというので見に行ったところ、家の中全部がワックスをかけたくらい輝いていました。そこのお婆さんに話を聞くと、先代から毎月欠かさず、一部屋ずつ丁寧に乾拭きし続けてきたって言うんです。

――他におすすめの手入れ方法はありますか?

鈴木 汚れたり乾燥したりしてきた場合は、豆乳をお湯で薄めたものを含ませた布巾などで拭くのが良いです。木材の油をうまく保湿してあげるのが大事ですね。私の知っているお寿司屋さんでは、オープン前に牛乳を使って拭いて仕上げることで、醤油も染みることのない綺麗なカウンターになると言ってました。ただ、牛乳だとどうしても匂いが気になると思うので、一般の方には豆乳を使うのがおすすめです。

――最後に、日々木材に触れているお2人にとっての木の魅力を教えてください。

田野 一番は心地良さですよね。触った時の温もりや匂い。無垢材を使った部屋で感じる安らぎは、やっぱり他の素材とは全然違いますよ。

鈴木 木質化した学校ではインフルエンザの蔓延率が下がるという効果が出ているそうなんです。他にもブルーライトカットで目に優しいとか、塗装されていない無垢材を使うことで体に良い効果がたくさんあります。

田野 今はコロナ禍の状況なので、今まで以上に皆が健康・体に気を使っていると思います。抗菌作用をはじめとして健康に良い作用がたくさんある木の良さを、今だからこそ知ってもらえれば良いですね。

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INFORMATION

丸十商店 本社

住所 〒136-0082 東京都江東区新木場3-7-18
電話番号 03-3521-5585
URL https://www.marujyusyouten.jp/

取材・文:青山 晃大
写真:佐藤 大輔

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