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認定NPO法人日本グッド・トイ委員会
「東京おもちゃ美術館」
副館長 馬場清氏
新宿区四谷四丁目の路地裏を歩くと、閉校になった小学校の建物から元気な子どもたちの声が聞こえてきました。実はこの施設の一部が、現在は「東京おもちゃ美術館」として運営されており、かつては小学生たちが教科書を広げていた各教室に、世界中のおもちゃがテーマごとに展示されています。来館した親子はそのおもちゃに自由に触れて遊ぶことができるのです。たとえば「ゲームの部屋」には世界のアナログゲームが大集合。「おもちゃのまち きいろ」には知的好奇心を刺激する科学おもちゃが、「おもちゃのまち あか」には日本の伝統的なおもちゃが並びます。どの部屋をのぞいてみても、子どもたちが夢中になって一生懸命遊んでいました。しかし、おもちゃにはいろんな素材を使ったものがありますが、ここにはプラスチックやブリキ、紙などのおもちゃは比較的少なく、「木のおもちゃ」が目につきます。何か理由があるのでしょうか。「最初はとくに木のおもちゃを意識していたわけではないんです。ただ新宿の街中に木で遊べるスペースがあったら面白いんじゃないかと、館内の一角に“おもちゃのもり”をつくったのが始まりですね」と語るのは、副館長を務める馬場さん。「おもちゃのもり」とは、鳥かごをイメージしてつくられた格子状の木の遊具や20,000個以上の木のボールを敷き詰めた「木の砂場」などで遊べる、森の香りが漂うスペース。この「おもちゃのもり」が開館以来大人気となり、馬場さんたちは木と触れる遊び場がこんなにも求められていたのかと驚いたそうです。そこから美術館の方向性をあらため、林野庁と組んで「木育」を推進する美術館へと舵を切りました。