古事記にまつわるQ&A

初級編/教えて!『古事記』はどんな書物?

Q1.「古事記」はどのような構成になっていますか?
A1.「古事記」は、「上つ巻」、「中つ巻」、「下つ巻」の三巻からなっています。「上つ巻」の冒頭には、「古事記」成立のいきさつなどを「上表文」のスタイルでまとめた「序」が添えられています。
Q2.それぞれの巻にはどのようなことが書かれていますか?
A2.「上つ巻」には、天地の始まりから鵜葺草葺不合命うかやふきあえずのみことまでの神様の時代(神代)の物語が書かれています。「中つ巻」には、神武天皇から応神天皇まで、「下つ巻」には仁徳天皇から推古天皇までのことが記されています。「中つ巻」、「下つ巻」には、人の時代(人代)の物語が書かれています。ただし、「中つ巻」では神様も多く登場します。これらの物語はすべて時代順に記されています。
Q3.「古事記」には、たくさんの神様や天皇が登場するそうですが、例えばどんな神様や天皇が出てくるのですか?
A3.「古事記」には、結婚して国生みをした伊耶那岐命いざなぎのみこと伊耶那美命いざなみのみこと、伊勢神宮にお祀りされている天照大御神あまてらすおおみかみ、出雲大社にお祀りされている大国主神おおくにぬしのかみ八俣の大蛇やまた おろち退治をした須佐之男命すさのおのみこと、海幸彦・山幸彦とも呼ばれる火照命ほでりのみこと火遠理命ほおりのみことなどたくさんの神様が登場します。主な神様だけでも60柱以上になります。ちなみに神様は一人二人ではなく、一はしら、二はしらと数えます。また、神武天皇から推古天皇まで33代の天皇について記されています。推古天皇は、日本初の女性天皇であり、聖徳太子が摂政をつとめたことでもおなじみですね。
Q4.「古事記」に興味が湧いてきました。子どもも一緒に読みたいのですがどんな本を選んだらよいですか?
A4.「古事記」は昔の言葉で書かれています。しかも原文は万葉仮名のように漢字ばかりで書かれていますので、とっつきにくい人がほとんどでしょう。原文を漢字と仮名に読み下したものも、漢字を連ねた神様の長い名前や今では使わない表現がたくさん出てくるので、最初からすらすらと読むのは苦労するかもしれません。でも、まずは読み下し文で書かれた「古事記」を一部でもよいので読んでみることをおすすめします。意味がわからなくても声に出してみて、心地良い調子の文章だということをぜひ体感してみてください。(小学館日本古典文学全集や岩波文庫などがあります)そのあと、マンガ化された作品や、子ども向けに書きなおされたダイジェスト版などを読んで、ストーリーを読み味わってみてはいかがでしょうか。古事記出版大賞の受賞作品もぜひ参考にしてください。
奈良県発行のガイドブック「なら記紀・万葉 名所図会」もどうぞごらんください。
Q5.「古事記」の舞台はどこですか?
A5.完成した「古事記」が時の元明天皇に献上された場所は、奈良の平城京だということははっきりしています。しかし、「古事記」に描かれた物語の舞台について、特に神話の部分については特定しにくいのが現状です。ただし、登場する地名と現在の地名などを重ね合わせるなどして、ここだったかもしれないという「ゆかりの地」が、宮崎県、大分県などの九州地方、奈良を中心とする近畿地方、関東地方、上越地方に至るまで日本全国に残っています。
古事記ゆかり地マップ」をぜひチェックしてみてくださいね。