ならの彩りさん!

森づくり奈良クラブ【矢田山遊びの森】

森を愛する人たちが生んだ「永遠(とわ)の森」

森づくり奈良クラブ【矢田山遊びの森】

<インタビュー>
NPO法人 森づくり奈良クラブ代表
鈴木 秀位さん

森づくり奈良クラブ様の設立の経緯をお聞かせください。

奈良県が平成8年に矢田山国有林を買収し、貴重な緑の保全を図るとともに、県民参加型の森林づくりを進めようと整備計画が始まったのが「矢田山遊びの森」で、森林ボランティア活動の入門の場としても位置づけられました。その翌年、森林や緑を守り育てる活動を通して森林に親しみ、人と自然の豊かな関係づくりを目的に立ち上がったのが、前身である「グリーンボランティアならクラブ」です(平成22年にNPO法人となり、森づくり奈良クラブに改称)。以来、安全第一、気軽に楽しくをモットーに、「矢田山遊びの森」を拠点として活動を続けてきました。草木が生い茂った棚田跡地を整備してさまざまな木を植樹することから始まり、スギ・ヒノキ林の間伐や竹林整備などを中心に森林づくりに取り組んできました。矢田山だけで、これまでに4000本以上の植樹を行っています。
設立当初は、森林づくりについては素人ばかりでしたので、奈良県林業研究グループに参加して技術の習得に努めるとともに、野迫川村や十津川村などの林業家の方々と交流を深めるなど、森林づくりのネットワークも広げてきました。平成13年に開催以来、以後各県持廻りでの紀伊半島三県森林ボランティア交流会(奈良県、和歌山県、三重県の三県)では、企画運営の主導的な役割を任され、私たちの活動実績についても大きな評価と信頼を得ました。他の森林ボランティアの方々と交流することは、情報交換だけでなく、お互いの技術の研鑽にもなりますし、刺激になりますね。

  • 矢田山遊びの森山頂展望台

  • 森づくり奈良クラブ代表の鈴木さん

  • 整備され生駒山の眺望が広がる永遠の森

  • 展望台からの眺望

  • 遊歩道の整備作業

現在のおもな活動内容を教えてください。

月に2回、定例活動として、森林の間伐や除伐、草刈りなどを中心に行っています。定例だけで既に500回を超えました。ほかにも、森林環境教育の一環として、多くの市民の方々に森林に親しみを持っていただこうと、クラフト体験や森林作業体験、出前講座なども行っています。平成15年には「子ども交流館」をはじめとする拠点施設が完成し、天候に左右されず、さまざまなイベントができるようになり、活動の幅もさらに広がりました。
現在、メンバーは35名。他府県に住む人もたくさんいます。山が好き、山歩きが好き、という動機で参加されている方がほとんどですが、たまたま矢田山に遊びに来た際に私たちの活動を見て興味を持ち、メンバーになったという人もいます。最近では、トレイルランニングやマウンテンバイクを趣味としてやっていて、山や森を愛する想いからクラブの活動に共感し、参加するようになった若いメンバーもおり、嬉しく感じています。でも、クラブの高齢化が進んでいることは確かで、草刈りだけでも大変な作業(笑)。若い人たちにもっともっと森林ボランティアに関心を持っていただき、クラブに参加していただけると良いですね。

手作りの永遠の森記念碑を囲んで

「永遠の森」が生まれたきっかけは?

永遠の森植樹祭

平成29年のクラブ設立20周年を記念して何かやろう!というのが始まりです。そんな時、奈良県の植栽計画で「なら四季彩の庭」という事業があり、矢田山も事業エリアに含まれていると聞き、私たちの力で矢田山遊びの森の新しい名所づくりをしたいと思いました。そこで考えついたのが、矢田山頂上の景観整備です。頂上には立派な展望台があるけれど、まわりの木々が育ち過ぎて眺望がきかず、これを確保するために高木を除伐、この跡地を整備することから、設立20周年記念事業として「永遠の森」づくりがスタート。平成28年11月に「環境大臣表彰」を受賞したことと併せて、翌年3月に植樹祭を行いました。
植樹祭には、奈良県庁関係者をはじめ、一般参加者の方々、そしてクラブのメンバーなど総勢80名が参加し、ソメイヨシノの記念植樹が行われました。展望台前の木々を伐採し、地拵えを終えた場所には、ソメイヨシノ、イロハカエデ、ヒラドツツジ各20本と、ミツバツツジ80本の計140本を参加者たちの手で植樹。こうして、活動が長く続くことを願って命名した「永遠の森」が誕生しました。植樹した木々が、毎年、同地を季節ごとの彩りに染め、たくさんの人たちに愛されるよう、この森を大切に育てていきます。春になって、美しいサクラの下でお花見が楽しめる日を心待ちにしています。

※インタビュー記事の内容は取材時のものです。
[取材日]平成29年9月20日

関連する方々の活動や景観・施設

  • 環境大臣表彰の式典にて

  • 活動の拠点「こども交流館」での打合せ

  • クラブ最高齢(90歳)の内山さん

  • 「永遠の森」の名付け親でもある岡本さん

  • 20周年事業のプロジェクトメンバー・奥村さん

  • 春のお花見が待ち遠しいと言う平武さん

  • 森林活動は健康維持にも役立つと語る辰巳さん

  • クラブの活動に感銘を受け入会した東條さん

  • 女性メンバーも活躍中

  • 永遠の森 草刈り前

  • 永遠の森 草刈り後

  • 刈った草を斜面を転がして一塊にする「巻き落とし」

  • 手作りの永遠の森記念碑はメンバーの誇り

  • 草刈り活動後の爽快感

  • 草刈り活動後の爽快感