植栽ワンポイントサポート

馬見丘陵公園ワークショップの内容から、植栽や園芸に関するQ&Aや花壇の手入れの仕方などの情報を抜粋してまとめました。

ポット苗の植え付けについて

花壇やコンテナで植物を育てる場合、種から育てるか苗を買ってきて植え付けるかになると思います。ここではポット苗を花壇やコンテナに植え付ける考え方を紹介します。

ポット苗を植え付ける際、根鉢を崩すかそのままが良いか?

植え付ける植物の種類によって、根鉢を崩した方がその後の生育が良いものと、崩すとその後の生育に支障があるものがあります。根鉢を崩すことによって、細根を多く出し、多くの水分や肥料分を吸収します。基本的にはポットの中の根がパンパンになっていたら、根は崩したら良いですが、あまり根が張っていなければ崩す必要はありせん。根が張っていなければ、逆に土を両手でコンパクトにして細かい根を密着させてから植えると良いです。(ハンギングバスケットも同様にすると良いです。)また、植え付け時期がその植物の成長期かどうかも確認しましょう。生育期は植物が大きくなろうとしている時期で回復力があるので、根鉢を多少崩してもかまいませんが、真夏や真冬など植物にとって過酷な時期には植え付けを避け、植え付ける際にも根鉢を崩さずにそのまま植え付けた方が良いでしょう。

根崩しをしない方が良い植物は?

針葉樹

針葉樹は、細長い針のような葉を持ちます。さまざまな樹形と豊富な色があり、園芸用語ではコニファーと呼ばれ、最近ではゴールドクレスト(モントレーサイプレス)など、クリスマスツリーの木としても使われています。 針葉樹の根は粗く、地表の浅いところでネット状に横へ広がります。(アカマツ、クロマツ、モミなど「深根性」の針葉樹もあります)

ゴールドクレスト

直根性の植物

貯蔵根や支持根、気根等の特殊な機能を除くと、植物の根は大まかに「主根型」と「ひげ根型」の2つに分けられます。主根型の根の中で、横から出る側根が小さく、主根が垂直にのびて肥大した根のことを直根と言い、(ダイコンやゴボウなど)これらを直根性の植物と言います。直根を傷つけると植物へのダメージが大きいため、植替えはあまりお勧めしません。以下に代表的な直根性の植物を紹介します。

ケシ科の植物

ヒナゲシやクサノオウなどのケシ科の植物は、1000~2000個の種を飛ばすので、道端で実生で増えていることが多いです。
ちなみに、ポピーとは広くケシ科のものを指し、オニゲシも栽培禁止植物であるアツミゲシもポピーです。

ヒナゲシ

マメ科の植物

スイートピー、レンゲソウ、クローバー、フジなどのマメ科の植物は、つる性のものが多く、文字通り豆状の果実と種子を作ります。マメ科の根に寄生する根粒菌が空気中の窒素を植物内に固定する働きがあるため、レンゲソウなどは肥料として使われることもあります。

レンゲソウ

ケイトウ等

夏~秋にかけて花壇でよく見られ、ノゲイトウや羽毛ケイトウなど様々な形があります。ケイトウは鮮やかな花色で秋の花壇を彩り、古くから親しまれているなじみのある花です。花房の先がニワトリのトサカに似ていることから「鶏頭」と呼ばれています。

ノゲイトウ

植木鉢やポットの中の根の張り方

植物を地植えする場合、障害になるものがないので植物はのびのびと根を張りますが、植木鉢やポットに植えられている植物は、限られた空間で根を張らなければいけないので鉢の中でぐるぐると根を巻きます。以下に植木鉢やポット(以下、「鉢」という)の中の一般的な根の生長を示します。


  • 植木鉢やポットに苗を植えたばかりでは、まだ根は張っていません。


  • 鉢の中で、根はまず横方向に伸びはじめます。


  • 鉢の横方向に広がりきると、根は下に向かって伸びます。


  • 鉢の下方向まで伸びきると、今度は鉢の中央に向かって根が回り込みます。


  • 鉢の下まで回り込んで行き場をなくした根は、鉢の中心の上方向に伸びはじめます。

根鉢の崩し方

※太い根を切ってしまったり、根を切り過ぎると植物が弱ってしまうので、鉢の中に根が回っている時にだけこの作業を行ってください。

鉢の中で、根の先端は左図の赤枠の部分に集まっています。

植物の根は、

  1. 重力方向に伸びる
  2. 水分や肥料分のある方向に伸びる
  3. 先端ほど成長する

という性質があるため、放っておくと、赤枠の部分の根の密度がどんどん高くなります。鉢から植え替えする場合は、新しい根が生えやすいように、根の先端部分を解してやります。

鉢の下部分の根をスコップやナイフを使って切り離します。この時、根にばかり注意が行き過ぎて、苗上部の花や枝が折れたりしないように気をつけます。

小さな花苗のポットの場合は、手で解します。根をちぎるよりも、解すことを意識します。

下部分の根がカットできたら、中央の根を掻き出します。既に切り離されているので、この部分に残っている根は死んでいます。残っていても特に害は無いので、土が硬い場合、この作業を無理矢理する必要はありません。