ならの彩りさん!

三郷町【大門ダムお花見広場】

山と水辺を彩る美しい花づくりを

三郷町【大門ダムお花見広場】

三郷町役場 環境整備部
ものづくり振興課 課長
水口 洋司さん

大門ダムエリアでの取り組み内容をお聞かせください。

大門ダムが完成したのが平成24年の春。奈良県としても大きな事業で、ダムだけではなく周辺に公園をつくって整備しようという計画が持ち上がりました。公園の周辺に桜やカエデの木を植樹し、ダムの水辺と美しい花の彩りが一緒に楽しめる空間づくりを行うことになったのです。ちょうどその時期に、奈良県の植栽計画がスタートし、大門ダムエリアが計画に含まれていたことから、三郷町も地元として協力したいので公園内に花壇を設けて欲しいと要望し、ダムの右岸側に整備していただいたのが始まりです。花壇の花植えや水やりなど日常の管理は地元業者様に委託し行っています。
当初は植樹する計画しかなかったので、桜を植えたとしても見頃は春の1週間程度。三郷町としては、年間を通して観光客の方に来ていただきたいと考え、それなら花壇をつくって四季折々の花を植えよう、ということになりました。現在、奈良県、そして地元の方々と協力し、花壇を含めた公園周辺の整備・管理を行っています。

  • 大門ダムを渡った先に広がるお花見広場(ルピナスの花 5月)

  • 取組を説明いただいた水口さん

  • 大門ダムサイト入口から信貴山大橋を望む

  • 秋はコキアが楽しめる

  • 広場からは大和平野の眺望を楽しめる

花壇の整備に生ゴミのリサイクルを活用されているそうですね。

信貴山地区で出る生ゴミを集めて、その生ゴミから抽出した液体を、花を育てる液肥として利用できないかと考え、平成27年から試験的に取り組んでいます。成功すれば、ゴミの減量にもつながりますし、ゴミを焼却処理する時の燃料費の節約にもなります。
液肥づくりも花壇の管理を委託している地元業者様に協力していただき、三郷町役場もできる限りのサポートを行いながら取り組んでいます。
まだ試験段階ですので、具体的な成果が得られるようになるまでにはまだ時間がかかりそうですね。課題は、抽出される液肥が一定ではないことです。元は生ゴミですから、ゴミの種類や成分によってバラツキがあり、花の苗に与えた時の効果に差が生まれるのです。リサイクル事業の一つとしても重要なプロジェクトですので、充分な効果があると実証できるまで、今後も地道に取り組んでいきたいと思っています。

生ゴミ処理施設

委託している地元業者様について教えてください。

手探りだった育苗も今では販売まで/のどか村平井さん

果樹園の運営や農産物の直売、加工品販売、そして農業体験施設も持つ「 ㈱農業公園信貴山のどか村」様です。花壇に植える花の苗の生産をはじめ、花の植え付け、日常の水やりなどの管理もお願いしています。先ほどの、生ゴミから液肥をつくるプロジェクトにも協力いただいています。
のどか村様では、敷地内にハウスを設けて苗を種から育て、花壇に季節ごとの花を植えていただいています。一年中、花壇の花を絶やさないよう年間計画を立てて管理するようお願いし、植える花についても三郷町からある程度の要望を出しています。春はルピナス、夏から秋にかけてはコキアというように、これだけは取り入れて欲しいという花だけは指定しました。皆さんの努力のお陰で、花壇に美しい花が咲き誇り、ダム周辺の景観を華やかなに彩ってくれています。たくさんの観光客の方が信貴山を訪れ、大門ダムや公園の美しい景観を楽しんでいただけるよう、のどか村様と力を合わせて取り組んでいきたいです。

★のどか村様にもお話を伺いました…。

この事業は、三郷町の「観光と福祉の連携プロジェクト」の一つとしてスタートしましたが、総務省の「地域経済循環創造事業」に採択されたのをきっかけに、三郷町役場と協力して大門ダムの花壇整備のお手伝いをさせていただいています。交付金で設置したハウスや建屋で花の苗を育て、花壇に植えたり、ほかにも三郷町の駅前や信貴山のバス停に花のプランターを置いたり。素人ばかりで当初は手探り状態でしたが、いまでは地元の方をはじめ、県外からも花の苗を買いにわざわざ足を運んでくださる方もいらっしゃいますね。そして、嬉しいことに以前ここに研修に来ていた養護学校の学生さんの就職が決まり、4月から一緒に働くことになりました。
生ゴミをリサイクルして液肥をつくるプロジェクトは、信貴山の旅館業の方や住民の方々に協力いただき、専用のゴミ箱を20箇所に設置。集めた生ゴミをバイオ式の生ゴミ処理機に入れて、液肥を抽出しています。液肥を使って苗を育てたり、大門ダムの花壇にも使用していますが、まだ試験的な段階で実用化には至っていません。液肥を原液だけでなく、5倍、10倍、20倍に薄めて、苗の育成に試してみたりもしましたが、まだ試行錯誤しています。でも、エコや環境保護に貢献できる事業ですから、できる限り協力し、お役に立ちたいと思っています。それにしても、生ゴミから液肥がつくれるなんて、本当に不思議ですね(笑)。
(のどか村/山崎みどりさん)

のどか村の山崎さん

信貴山をあげての生ゴミリサイクル

生ゴミが形も無くなり液肥に変わるのが不思議

<工程>
(1)生ゴミを収集。月、木曜日は清掃センターが収集、それ以外の日はのどか村担当者が軽トラを運転して収集する。
(2)生ゴミを処理機の中に投入(毎朝)。ナイロンや紙など生ゴミ以外のものは手作業で取り除く。
(3)機械の中で生ゴミが菌と一緒に撹拌されて液体になり、配管を通ってタンクに送られる。
(4)必要に応じてタンクの中から液肥を取り出し、花の苗や花壇に与える。
(5)液肥以外の残留物は、業者の人がメンテナンスの時に取り除いてくれる。
<苦労すること>
◎回収するゴミ箱は1つで約60kg。運ぶだけでも大変!
◎投入する時に生ゴミが飛び散るのでゴーグルが必須。
◎1回に集まる生ゴミは400~500kg。作業は力仕事。
◎生ゴミとその他のゴミを分別するのが一苦労。
<その他>
◎当初は設備が整っていなかったので、必要と思ったモノを順次、揃えていった。
◎作業着も作業にあわせて自前で工夫してきた。

※インタビュー記事の内容は取材時のものです。
[取材日]平成29年9月14日

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  • 大門ダムから望む美しい信貴山大橋