レポート記事

2019.11.18

木という素材のサスティナビリティ「フェラガモ×春日杉」DESIGNART TOKYO2019レポート

日本最大級のデザイン&アートの祭典<DESIGNART TOKYO 2019>が、10月18日(金)〜10月27日(日)の10日間、表参道・外苑前、原宿・明治神宮前、渋谷・恵比寿、代官山・中目黒、六本木、新宿、銀座の東京11エリアで開催されました。

  • Photo by Nacása&Partners

<DESIGNART TOKYO>は、東京の街を舞台に世界中のアートやインテリア、ファッションなどの展示作品が集結するデザイン&アートフェスティバル。今年は100箇所以上の会場で開催され、高級ウォッチブランド「グランドセイコー(Grand Seiko)」の「ミラノデザインウィーク2019」で発表したインスタレーションの再現や、日本最古の画廊「資生堂ギャラリー」の100周年を記念した展示会、<DESIGNART TOKYO 2019>のパートナーカントリーであるイスラエルの「エルサレム・デザイン・ウィーク」の10組以上の参加アーティストによる作品が展示されるなど、国内外の多種多様なアート作品が発表されました。

今回、国内最大級の旗艦店「サルヴァトーレ フェラガモ 銀座本店」では、建築家の佐野文彦氏による春日杉を使ったインスタレーション作品を展示。「奈良の木のこと」では、展示会場で佐野さんに直接お話を伺い、「一生変化し続けるもの、定まらないもの」をテーマに作品を作り上げたと語る佐野さんが手がけた作品について、春日杉を使用したポイントと展示の様子をご紹介します。

木材本来の姿を見せる「唯一無二の存在」

佐野さんが今回使用した木材は樹齢100年以上の春日杉。これは春日山付近に実際に生えていた枯木を使用しており、同じ奈良県産材である吉野スギや吉野ヒノキといった手間暇をかけて育てられた木材とはまた違った特徴があります。原生林は、枝打ちや間伐など人の手が入ること無く育つので、削ってみると節が大きく出ているものや木目が歪んでいるものがあります。しかし、今回はその特徴を生かして「素材そのものと向きあい、素材に対して最小限に手を加えた」と佐野さんは言います。

「木という素材は、芽を生やし育つまでに100年以上かかるものが多くあります。その100年以上かけた時間と同じように、ひとつひとつが持つ表情は唯一無二のものであり、今回はその自然に生まれた素材を使用したいと思い、春日杉を使用しました。木が本来持っているシェイプを活かし、断面を切り出すことで、普段見えない素材の内側を露わにし、素材本来の姿を見せています。」

木という素材のサスティナビリティ

木材は時が経つと香りが薄くなったり、色味が濃く茶色になったりと変化しますが、再び表面を削ることによって良い香りが立ち上がり、真っさらな綺麗な色味の表面に生まれ変わります。佐野さんはこのプロセスを、フェラガモが創業当時から大切にしている“サスティナビリティ”と通ずるものがあると言います。

「雨で傷んでしまったり、傷がついてしまった木材でも、削れば再び綺麗な面が出て生き返る。全く同じものではないですが、削ることで繰り返し使用できる、一生変化し蘇り続けられるものとして、木材はフェラガモがサスティナブルな素材を使用する姿勢とマッチしていると思いました。」

一本の春日杉から作られた、5つのオブジェクト

店内に飾られた春日杉のオブジェクトは、もともと4メートル以上の一本の大樹だったそうです。イタリアの邸宅をイメージして作られたという店内に飾られた作品を見た来場者からは「木材の色味や雰囲気が店内のイメージとすごくマッチしている」「木の良い香りがする」といった声が多く聞かれました。

  • 立ち枯れにより、空いてしまった穴や傷に詰められたロウ
    ※立ち枯れ…森林の樹木が外的要因などにより倒れずそのまま枯れてしまう現象のこと
  • ロウを上にのせ何層にもなったマーブル状の作品
  • 断面を切り落としたことによって表に出てきた春日杉の節

奈良県内の製材会社協力の元、木材本来の姿を生かした今回のインスタレーション作品は、奈良の木のみならず様々な地域が育てる木材の価値や新たな形を知り、考えるきっかけになったのではないでしょうか?

奈良の木のことでは、今回取材させていただいた建築家・佐野文彦氏の「ビズリーチ CPO 兼 CTO×建築家 佐野文彦が語る、オフィス空間の未来。」インタビュー記事も公開中。ぜひあわせて読んでみてください。

写真・文:「奈良の木のこと」編集部
協力:DESIGNART TOKYO 2019

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