インタビュー記事

2019.09.04

お箸一膳から始める、大人の嗜み。
高山 都が考える豊かな暮らし。

日本人の“食”になくてはならない、お箸。その歴史は一説には飛鳥時代にまで遡ると言われ、食べる=生きるために必要な道具として大切に扱われてきました。今回は、私たちが日頃何気なく使っているお箸にスポットを当て、奈良の魅力を発信する東京・白金台のショップ&レストラン「ときのもり」にて、奈良の木に触れていただく企画を実施。料理や旅、ファッション、ランニングと多角的かつ感度の高いライフスタイルで大きな注目と支持を集めているモデル・女優の高山 都さんに、吉野スギのお箸で大和野菜を使ったお料理を召し上がっていただきながら、奈良の木の魅力を感じてもらうとともに、ご自身が暮らしの中で大事にしていることについてお聞きしました。

インタビュー:モデル・女優 高山都

――各地へ旅をしていらっしゃる高山さんですが、奈良に行かれたことは?

出身が大阪なので、小さいころに祖母と奈良の山に行ったり、母と奈良公園に遊びに行ったりしていました。小学校の遠足も奈良でしたね。ただ、大人になってからはあまり行く機会がなくて。今行くなら、神社とかお寺を巡ってみたいです。あまり旅の目的を決めすぎないタイプなので、現地の方におすすめを聞いたりしながら歩いてみたいですね。

――今回は吉野スギのお箸を使って、お料理を召し上がっていただきました。使い心地はいかがでしたか?

手触りも口あたりもすごく軽いし、旬の素材を使ったお料理に吉野スギの爽やかな香りが加わって、すごく涼を感じました。天然のアロマと料理とのペアリングみたいで楽しいですよね。食事やお皿から季節感を感じられるって、とても素敵だなと思います。

――ご自身のお料理や器へのこだわりについて、さまざまなところで発信されていますが、木のアイテムだと普段どんなものを使っていらっしゃいますか?

先日、ヒバのまな板を買ったんです。これまで木の魅力を感じたことはあまりなかったんですけど、実際に使ってみると、天然の木の香りってこんなにいい香りなんだ!って気づいて、それからはお料理する時間がさらに楽しくなりました。木の食器は抗菌作用も高いみたいですね。他には、熊本の作家さんに作っていただいたスギとヒノキのおひつも愛用しています。炊きたてのお米を炊飯器じゃなくておひつに入れて保温すると、木の香りがほんのちょっとご飯に移って冷めてもおいしいんです。お米って冷めると美味しくなくなるイメージがあるじゃないですか。だけど、おひつに入れておくと余分な水分を木が吸い取ってすごくツヤッと甘くなるんです。今までの冷やご飯のイメージが覆されちゃいました。

――炊きたても美味しいけど、わざわざ冷やご飯になるのを待ちたくなりますね。

そうなんです!普段、家では玄米を食べるんですけど、玄米って炊きたてよりもちょっと温度が下がったときのほうが旨味と栄養価が増すらしいので、おひつに移して少し待ってから食べるようにしています。

――木のおひつが新しいご飯の楽しみ方を教えてくれたんですね。高山さんはものを買うとき、どんなことを意識して選んでいますか?

まず、長く使えること。いくら流行っていたり憧れていても、使いこなせないものは買わないようにしています。そうじゃないと、それを作った人にも申し訳ないから。お会いしたことがある作家さんのものだと使っているときに顔が浮かんで愛着が湧くし、買って使うことにも一応責任があると思うんです。なので、本当に必要だと思ったときに買って、大切に使おうと思っていて。おひつもそういうタイミングで我が家に迎えました。使うたびに良さを体感できるし、長く使える相棒だなって感じています。

“無理せず、身の丈に合った生活をすること”

――では、もの選び以外で心地良い暮らしのために心がけていることは?

無理せず、身の丈に合った生活をすること。最近は、「丁寧な生活が素敵」って言われているけれど、いきなり全部変えてもそれが続かなかったら意味がなくて。私は“続ける”ということに対してすごく価値や意味を感じているので、料理もランニングも、決してそれが苦にならないペースでやっていきたいなと思っています。都会で暮らしているとエコな生活も難しかったりするけど、ペットボトルを買う回数を減らすとか繰り返し使えるものを選ぶとか、それぐらいの意識を少しずつ膨らませていくといいのかなって。

――そういった姿勢もあってか、いろんなことをとても自然体で楽しんでいらっしゃいますよね。

料理にしても走ることにしてもそうなんですけど、私はわりと一人の時間を大事にしたいなと思っていて。誰かと一緒にいることが心地良いときもあるけど、私の場合は一人で過ごすことで頭の中がリセットされて思考がクリアになるんです。外を走っていると匂いや陽の傾き方で季節を感じたりするし、そういうちょっとした五感を使っているといろんなことに敏感になれる気がして。今日だったら木のお箸の香りにもちゃんと気付けたり、いただいたお料理から次にやってみたいことのヒントをもらったり。それも全部インプットとアウトプットだし、すべての物事はつながっているなって思いますね。

――「すべての物事はつながっている」というのは、ひとつの大切なキーワードだと思いますし、暮らしに向き合っている高山さんだからこその視点だなって思います。

食事にしても日常で使うものにしても、すべてつながっていると思っています。作られた背景を知って使うようになれば、モノとの向き合い方も少しずつ変わってきますよね。いっぱいある工程のひとつだけでも知れば簡単に捨てられなくなるし、そこからつながって食品ロスとか環境問題にも自然と目が向けられるようになるのかなって。もちろん私もファストファッションの服を買ったりもするし、まだまだ無知でどれだけ実践出来ているかわからないけど、ほんの小さな意識を持つことは大事にしようと思っています。

――その小さな意識が木の年輪のように層になって、美しい暮らしにつながっていくんですね。まずは食事など身近なことからつなげていけるといいですよね。

私、食いしん坊だから1回1回の食事を大事にしようと思っていて。健康でご飯が食べられることって一番素晴らしいしありがたいことだなって、歳を重ねるごとに感じるし、大人になってようやくおいしいものを食べる意味などもわかってくるじゃないですか。自分で働いたお金でおいしいものを食べられて幸せだなあとか。そういう時にお気に入りのお箸や器があると、ちゃんと「いただきます」っていう気持ちで食事出来るし、所作もきれいになる気がします。いいものを使うって、無駄遣いではなくて大人の嗜みなのかなって思えるようになりました。

――大人の嗜み、素敵です。

ちゃんと良いものを買えるようになってわかったんですけど、やっぱり銘品と言われるものには理由があるし、お手入れをすればずっと使えるんだなって。長く使えるからこその楽しみもあるし。木のお箸や器は落としてもすぐに割れないので、お子さんが居る家庭だったら食育にもつながりそうですよね。

――そういった毎日使うお箸や食器から無理なく続けられる嗜みを始められるとすごくいいですよね。

まだまだ私も入り口にやっと立てたくらいなんですけど、嗜もうという気持ちを持つだけで自分がどうなっていきたいかっていう姿勢も変わってくる気がするし、入り口はすごく浅くていいと思うんです。なにかいいことがあったときにちょっといいお箸を買い足していくとか、そういうのも楽しいですよね。素敵なお箸が一膳あるだけで、ご飯と梅干しだけでも立派なご馳走に感じられるみたいに、ものを多く持つのではなく少ない中に豊かさを感じられるというのが大人の嗜みなのかなって思います。

INFORMATION

ときのもり(一階リヴレ、二階 シエル エ ソル)

住所 〒108-0071
東京都港区白金台5-17-10
URL http://www.tokinomori-nara.jp/

取材・文:野中ミサキ(NaNo.works)
写真:大石隼土
ヘア・メイク:鎌倉真理子
協力:ときのもり(1F LIVRER/2F CIEL ET SOL)

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