レポート/インタビュー記事

2018.10.18

六本木ヒルズで体感するアイウエアブランドJINSの新業態に訊く、吉野ヒノキの魅力と空間に込められた思い。

すべての人に最適なメガネを。その思想のもと、数多くのメガネを届けてきたアイウエアブランドJINSが新たに手がける、ハイエンド層向けの新業態『J of JINS』第1号店が今年7月20日(金)、東京・六本木ヒルズにオープンしました。

『J of JINS』はこれまでJINSが培ってきたアイウエアに対する知見を集結した新業態。“真価を見抜く、目を持つ人へ。”をコンセプトに、贅沢なかけ心地を追求したJ of JINS独自のラインアップを展開しています。

レポート:J of JINS 六本木ヒルズ店

店舗の内装には、吉野ヒノキを全面に使用。設計は、JIA日本建築大賞など数々の受賞歴を持つ「MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO(マウントフジアーキテクツスタジオ)」が手がけました。一人ひとりに合わせた細やかな調整が可能なオリジナル-定番-シリーズ、工芸品のように職人の手から生み出される木工シリーズ、希少なデッドストックのメガネ生地を使用して生産されたシリアルナンバー入りのヴィンテージシリーズなど、ここでしか手にすることのできないメガネが吉野ヒノキを使用した陳列スペースに美しく並べられていました。

正倉院宝物殿などにも使用される釘を使わない日本の伝統建築様式「校倉(あぜくら)造り」や左官仕上げの壁を取り入れるなど、日本の歴史が培ってきた伝統技術がふんだんに使用されており、 “JAPAN”の意味も込められた『J of JINS』のアイデンティティを体現する空間を演出していました。

インタビュー:株式会社ジンズ × MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO

JINSが手がける新業態『J of JINS』に吉野ヒノキを使用した理由とその魅力について、株式会社ジンズ店舗開発室設計チームリーダーの萩原祐子さん、「MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO」の原田真宏さんと原田麻魚さんに話をうかがいました。

「吉野ヒノキの店舗と共に、J of JINSも良い形で成長していきたい」

株式会社ジンズ店舗開発室設計チームリーダー 萩原祐子さん

「J of JINSには“JINSの中のJINS”、“JAPAN”といった意味が込められていて、我々JINSの知見を結集した新業態となっています。MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIOのお二人がそのコンセプトを汲み取って下さり、ヒノキを使用した空間をご提案いただきました。メガネの背景としての奥ゆかしさがありながらも、凛とした存在感を放ち、我々の目指すブランドの方向性に通じると感じ、初回のご提案で即決しました。内装に使用する木材を選ぶため、今年3月には奈良県吉野町の製材所・坂本林業さんを訪問したのですが、そこで実際に目の当たりにした木の迫力や手触り、香りには鳥肌が立つくらい感動しました。坂本林業さんのご自宅で吉野の木の経年変化についても見せていただいて、木が生きているんだということも実感しました。この店舗はまだ新しいですが、これから時間を重ねることでどう変化していくのか、とても楽しみです。お客さまや吉野ヒノキの店舗と共に、J of JINSも良い形で成長していけたら、と考えています。」

「吉野の“木”が蓄積してきた解像度の高い文化を使えば、永続性のある空間をつくることができる」

MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 原田真宏さん

「刹那の商業主義ではなく、時間とともに残っていくモノをつくっていきたいというJ of JINSのコンセプトを聞いて、生育に長い年月をかけて時間が染み込んだ吉野の木が思い浮かびました。吉野の“木” が蓄積してきた解像度の高い文化を使えば、永続性のある空間をつくることができると考えたんですね。それが東大寺の正倉院のような、大切なものを永く保管する空間というイメージとも一筋に繋がっていきました。実際に私も坂本林業さんを訪れたのですが、吉野の地は空気が細かく、透明な感じがしたんです。木材だけではなく、木材をつくってきた人たちの暮らしも含めて永続的な文化に接続している。木目が真っすぐに伸び、全く狂いのない吉野ヒノキを材料として使用することで、木にまつわる長い文化的背景も表現できるのではないか。また、吉野ヒノキは文化的な意味だけでなく、耐久性があるという性能も備えていますから、私たちにとってもJ of JINSにとっても、とても良い出会いでした。」

「奥まで本物であること。形やデザインの奥にある背景にまで訴求していくような物語を残したかったんです。」

MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 原田麻魚さん

「私たちがこだわったのは、通常の商業店舗のように表層だけ取り繕うのではなく、奥まで本物であること。木材の断面から見える厚みまでを高い技術で丁寧につくり上げることで、形やデザインの奥にある背景にまで訴求していくような物語を残したかったんです。それはJ of JINSのコンセプト“真価を見抜く、目を持つ人へ。”にも通じるものだと思います。通常の商業店舗というのは、とにかく派手に目立つようなサインを入れていくデザインが多いですが、今回のデザインでは逆に徹底して記号を排除した空間をつくりました。そうすることで、吉野ヒノキ自体が持つ微細で繊細なメッセージを表現できると考えたんです。吉野の林業に携わる人たちは、木を通して、森や山を見てるんですよね。鬱蒼と生い茂った木々に靄がかかった森や山の全部を守って、それを一本の木にメッセージとして託している。森や自然と共にある生活を感じたいと思っている人は、都市の中にも多いはずですが、実際にそれを感じられる場所は限られています。でも、この店舗はそういったものに繋がることができる空間になっていると思います。六本木ヒルズで体験できる森のような存在として、訪れる人々が木の持つ哲学を感じてくれれば良いですね。」

“真価を見抜く、目を持つ人へ。”をコンセプトに、新たに立ち上げられた『J of JINS』。そのコンセプトを体現した六本木ヒルズの空間には、吉野ヒノキに対する設計者の思いや新業態へのこだわりが詰まっていました。奈良の木の魅力を都心で感じられるJ of JINS六本木ヒルズ店に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

INFORMATION

J of JINS 六本木ヒルズ店

住所 東京都港区六本木6-10-1
六本木ヒルズ ウエストウォーク4階
電話 03-3497-0227

取材・文 : 青山晃大
写真:大石隼土

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