「記紀」のふるさと・奈良で、「記紀」が語る物語の舞台に加え、その編さんのドラマもたどります。神倭伊波礼毘古命(かむやまといわれびこのみこと・神武天皇)が「秋津洲」と称した美しさを今もたたえる葛城や、「記紀」始まりの地・飛鳥、さらには『古事記』撰録者のゆかりの地も訪ねます。
「記紀・万葉集」の舞台のひとつ、葛城は、古代の有力豪族・葛城族の根拠地として栄えた場所。一言主大神(ひとことぬしのおおかみ)、葛城曽都毘古(かづらきのそつびこ)、石之日売命(いわのひめのみこと)など、「記紀」に登場する神々や人物ゆかりの地です。大和三山を見下ろす雄大な風景も、葛城族の気分で味わえば、いっそう心に迫ってくるのでは。
高天彦神社たかまひこじんじゃ
記紀に登場する「高天原」と伝えられる場所。参道の両側には杉の大木が並び、荘厳な雰囲気がただよっています。
◆御所市高天
葛城一言主神社かつらぎひとことぬしじんじゃ
一言主大神(ひとことぬしのおおかみ)は、あらゆる願いを一言だけかなえてくれる神として親しまれています。『古事記』では、大長谷若建命(おおはつせわかたけのみこと・雄略天皇)が葛城山に登ったとき、一行と同じ姿で天皇の前に現れたと記されています。
◆御所市森脇432
高鴨神社たかかもじんじゃ
古代豪族・鴨の一族発祥の地で、京都の上賀茂、下鴨神社をはじめとする全国の賀茂社の惣社にあたります。
◆御所市鴨神1110
葛城市相撲館かつらぎしすもうかん
日本初の天覧相撲を行った當麻蹴速(たいまのけはや)にちなんで建てられました。
◆葛城市當麻83-1
二上山・當麻寺夕景にじょうざん・たいまでらゆうけい
大津皇子(おおつのみこ)の墓がある二上山と、奈良時代の塔が残る當麻寺の夕景をゆっくりと楽しめるスポット。
◆葛城市當麻
『古事記』は712年、『日本書紀』は720年にそれぞれ完成しますが、飛鳥に宮があった時代に天渟中原瀛真人天皇(あまのぬなはらおきのまひとのすめらみこと・天武天皇)によって着手されました。「記紀」始まりの地・飛鳥から、『古事記』撰録者・太安萬侶(おおのやすまろ)ゆかりの多(おお)神社、『古事記』の語り部・稗田阿礼(ひえだのあれ)ゆかりの賣太(めた)神社をへて、「記紀」が完成した平城京まで、その編さんのドラマをたどります。
明日香村周辺あすかむらしゅうへん
早朝の明日香村を散策。万葉の時代と同じ風を感じて歩けば、気分は万葉人。伝飛鳥板蓋宮跡(飛鳥浄御原宮跡)・飛鳥寺・川原寺・橘寺・万葉文化館などをめぐり、記紀・万葉の世界をめぐりましょう。
◆高市郡明日香村
藤原宮跡ふじわらきゅうせき
高天原広野姫天皇(たかまのはらひろのひめのすめらみこと・持統天皇)が造った日本初の本格的な都城、藤原宮の跡。畝傍山、耳成山、香具山の大和三山に囲まれています。美しい都として『万葉集』の藤原宮御井の歌に詠われています。
◆橿原市醍醐町
多神社おおじんじゃ多坐彌志理都比古神社(おおにいますみしりつひこじんじゃ)
周辺は太安萬侶(おおのやすまろ)らが属した古代氏族・多氏が住んでいたといいます。境内の神社には『古事記』の撰録者・太安萬侶(おおのやすまろ)が祀られています。
◆磯城郡田原本町多
賣太神社めたじんじゃ
『古事記』編さんに大きく関わった稗田阿礼(ひえだのあれ)を祀ります。稗田阿礼(ひえだのあれ)は記憶力に優れていたことから、学問の神様として親しまれています。周辺の稗田環濠集落は、中世の環濠集落がほぼそのまま残っていて、堀がめぐらされ水が流れる様は風情があります。
◆大和郡山市稗田町319
平城宮跡へいじょうきゅうせき
奈良の都・平城京の中枢。政治や儀式の中心で、天皇の暮らす内裏や様々な役所、庭園等がありました。この地で太安萬侶(おおのやすまろ)から元明天皇に『古事記』が献上されました。
◆奈良市佐紀町
奈良県立橿原考古学研究所附属博物館ならけんりつ かしはらこうこがくけんきゅうしょ ふぞくはくぶつかん
奈良県内の遺跡から出土した貴重な資料の数々を展示。『古事記』を編さんした太安萬侶(おおのやすまろ)の墓誌は見逃せません。
◆橿原市畝傍町50-2
平城京羅城門跡へいじょうきょう らじょうもんあと
平城京朱雀大路の南端に位置する、平城京の表玄関。真北に平城京朱雀門や大極殿があります。
◆大和郡山市観音寺町
葛城山麓と、記紀編さんの道をたどる、1泊2日のコースです。記紀のふるさと・奈良でしかなし得ない「記紀」満喫の2日間です。