森下 |
その一方で、地元の皆さんが、この土地の魅力をあまり感じてない、よく知らないとうことは気になっています。たくさんの方々が来られたときに、
「どこに行ったらいいの」とかいろんな相談を受ける機会があると思うんですよ。 |
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旅をしたとき、地元の方との出会いがその土地の印象を左右しますものね。 |
森下 |
だから、深い歴史は語れなくてもいいけど、各スポットの魅力については、やっぱりみんなに知っておいてもらいたいと思うんです。
もしかしたらもうすぐ世界遺産になるかもしれない、そういうレベルにある土地なんですよということを、しっかり感じてもらいですね。
ただ、藤原宮跡も一見何も残ってないんですよね。
平城宮跡とは違って、大極殿も朱雀門も残っていませんし。
ただ、見渡せば大和三山は今もあるし、一見なにもないように見える野原でも、約1メートル下には1300年前のものが眠っています。
そういう目に見えない魅力を、観光客の方はもちろん、地元の皆さんにもしっかり感じてもらえるような工夫を、積極的にしていかないといけないと思っています。
手始めに、『なるほど!「藤原京」100のなぞ』(橿原市編さん・柳原出版)という本を、奈良県立橿原考古学研究所の協力で作りました。
中学生にも読んでもらえるよう、わかりやすい内容になっています。 |
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子どもさんがわかりやすいということは大人も分かりやすい。 |
森下 |
そうですね。
それから、藤原京というものが、独立してるという考えは我々にはないんです。
飛鳥地方の中の、飛鳥の宮と藤原京とは一体なんだと考えています。
古代、飛鳥からこっちへ遷都してきたというよりは、同じ一体の都のなかで中心だけは移動したというか。
遷都といっても、都がまるごと移った平城遷都のときとは、違うでしょうね。
ですから、現代の我々も、橿原市、明日香村も、飛鳥地方という一体化した中で、記紀・万葉の魅力発信をしていきたいなあと思っているんです。
ここのところ、とくに観光施策に関しては、市町村の枠にとらわれず、高取町や明日香村とも協力しながら取り組んでいますので、境目というか敷居は非常に低くなってきましたね。
いいことだと思います。 |
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なんだか記紀・万葉の時代に戻っていくみたいですね。
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