記紀・万葉講座

「なら記紀・万葉プロジェクト」
2020集大成シンボルイベント ならの次代へ

日時:2020年11月29日(日)13:00~16:30
会場:桜井市民会館大ホール
主催:奈良県

プログラム
〈MC〉
辰巳琢郎 氏(俳優)/久保美智代 氏(フリーアナウンサー)

〈オープニングアクト〉
船引神楽(宮崎県)/古事記・万葉集朗唱

主催者挨拶 末光大毅 奈良県副知事
わが街自慢 記紀・万葉ゆかりの自治体によるわが街自慢プレゼンテーション
トークセッション「ならの次代へ」
〈モデレーター〉
三浦一夫氏(小学館「サライ」編集長)
〈パネリスト〉
羽田美智子氏(女優)
篠原ともえ氏(デザイナー/アーティスト)


オープニングアクト

船引神楽(宮崎県)

二演目①注連鬼神(しめきじん)②戸開鬼神(とびらききじん)
シンボルイベントの幕開けに上演されたのは船引神楽。春神楽とも呼ばれ、春に五穀豊穣、子孫繁栄を祈願して船引神社に奉納されています。優雅な舞や勇壮な舞、ユーモラスな舞があり、夜神楽(よかぐら)に対し、一番一番、笛や太鼓の調子が変わっていくのも特徴です。日本の伝統文化の素晴らしさを感じさせる演目で会場は魅了されました。

古事記 朗唱
飛鳥学院保育所園児による万葉集朗唱

万葉集 朗唱
飛鳥学院保育所園児による万葉集朗唱

わが街自慢



桜井市長 松井正剛氏による開催都市挨拶が行われ、記紀・万葉にゆかりのある県内10自治体の代表者が古代衣装に身を包み、わが街の歴史・文化にまつわる魅力をプレゼンテーションされました。奈良県のマスコットキャラクターせんとくんや桜井市のマスコットキャラクターひみこちゃんも登場し会場を沸かせました。

トークセッション「ならの次代へ」

<モデレーター>
三浦一夫氏(小学館「サライ」編集長)
<パネリスト>
羽田美智子氏(女優)
篠原ともえ氏(デザイナー/アーティスト)

●桜井市、中和地域の魅力について

三浦一夫氏
雑誌「サライ」では11月号で必ず奈良を特集してきました。また、読者の中心の層であるシニアの方々がいちばん行きたい場所は京都か奈良、好きなものは仏像というアンケートの結果が出ています。仏像というのは人によって見方や感じ方はそれぞれです。それが魅力なのだと思います。これからも奈良の文化や伝統、仏像、食を取り上げていきたいですね。私も取材で五社寺(大神神社・長谷寺・談山神社・安倍文殊院・聖林寺)を参拝させていただき、見上げるような長谷寺の本尊十一面観世音菩薩立像の神々しい画が得られて非常に良い撮影をさせていただきました。

羽田美智子氏
日本の始まりの場所であり、奥深くて知り尽くせない街。
大神神社の自然のご神体というのがすごく魅力的。昔の人は自然のものに畏敬の念を感じて参拝されていたことを改めて実感しました。

篠原ともえ氏
奈良のお寺をよく巡らせていただく機会があり、その中でたくさんの仏様を拝む側と造る側の学びを得ました。その世界にはまり、桜井市、宇陀市、天理市へと足を運んでいます。

縁あって東大寺の御朱印帳のデザインも手掛けました。奈良はインスピレーションの源だと思っています。今朝、三輪そうめんを頂きました。

●これからの奈良に何を求めるか

三浦一夫氏

奈良県外の方へアピールすることを考えがちなんですが、実は地元の方が“面白いね”って言われるものを作ることが私たちの役割じゃないのかなと思います。日常の中に古墳がある場所は日本にはそうはない所。9年がかりのプロジェクトを支えたのは、地域を大事にし、誇りに思い、文化として次代に受け継ごうと一生懸命努力をされている地元の方たちの力だと思います。

羽田美智子氏
心の拠り所、自分の魂の故郷に感じるので現代的に発展しすぎてしまったら、少し寂しい気持ちになります。変わらないことに価値がある。他の県が羨ましがるくらい宝物で溢れている県だと思います。

篠原ともえ氏
染色家の先生から「色を知りたいなら自然を見なさい」と教えていただいたことがあります。王朝の衣装の色味のお話で桜、撫子色はピンクなんだけれど、実はピンク色の芯のところに淡い紫が入っていて、昔の人はそういう色をきちんと観察されている。先ほどの自治体の方々の古代衣装の様子もそうですけど、奈良ってこの色彩が自然への賛歌に思えてならないと感じました。職人さんや芸術家の方々が奈良の魅力に魅せられてまた次の世代へと繋がっていく芸術の集まる場所だと思います。昨日のお月様もとても綺麗で、奈良の空、奈良の緑さえもすごく胸に響きました。奈良のスペシャルなフィルターがあり、県外からたくさんの方がいらっしゃっているのはその瞬間を楽しみに来ているのかなと思います。何度でも足を運びたくなる場所です。

久保美智代氏
これまで400か所以上の世界遺産を巡っています。飛鳥・藤原も世界遺産を目指しています。飛鳥藤原の地を巡った時に感じたことは”想像する楽しみがここにある“です。
日本の原風景がここに存在しているので色んな想像力を掻き立ててくれます。

辰巳琢郎氏
新しいものが増えていくのは必ずしも良いわけではなく、奈良ならではの地元に合った建造物が増えて欲しい。まだまだ魅力的なポテンシャルを秘めている場所です。それを再発見、再認識することが大切。いつまでも変わらない奈良であり続けて欲しいと思います。