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【室生寺】自然に包まれる女人高野を歩いて感じる四季と心の移ろい

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写真:室生寺の見どころ4

タイトル:室生寺の見どころ4:弥勒菩薩と釈迦如来が並ぶ弥勒堂

 「鎧坂」を登りきると、向かって右手に「天神社拝殿」、正面には「金堂」、左手には「弥勒堂」がある。「弥勒堂」は鎌倉時代の建築で、屋根はヒノキやサワラの木を薄く割って重ねた杮葺(こけらぶき)。周囲には縁をめぐらせている。内陣には「弥勒菩薩立像」や国宝「釈迦如来坐像」などが祀られており、屋根裏からは籾塔(もみとう) という木製の小塔が多数発見されている。


 「弥勒菩薩立像」は、室生寺の仏像の中で最も古い。奈良時代から平安時代にかけての仏像で、榧(かや)の一本造。本体はもちろん、蓮華座の上半分と両手・天衣・飾りまで含め、すべて一つの木材から彫り出されている。正面から見ると、腰のあたりを少しだけ曲げた姿勢をしているのも特長。

 国宝「釈迦如来坐像」は、平安時代前期に造られている。同時代前期の仏像彫刻の中でも、特に優れた仏像として有名。頭部には螺髪がなく、これは昔、この仏像が撫で仏として信仰されていたことによるという。大小の波が打ったような衣の表現も、翻波式衣文(ほんぱしきえもん)と呼ばれる特長的な技法をもって彫られている。

 

写真:室生寺の見どころ5

タイトル:室生寺の見どころ5:巨岩に彫られた10本腕の軍荼利明王

 「弥勒堂」の反対側に目を向けると、「天神社拝殿」がある。その脇には、大きな岩が。この岩に近づいてみると、軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)が彫られているのがわかる。軍荼利明王は、密教において宝生如来の教輪転身とされており、さまざまな災いを取り除いてくれるという。一般的には腕を8本に表現されることが多いが、この「軍荼利明王石仏」の腕は10本。


この場所に巨岩があること、また軍荼利明王が彫られていることについての詳細は不明だが、4年に一度、庚申の日に町の人々がこの「軍荼利明王石仏」を拝みに来ることが、この地域の習わしになっているという。

サブ写真:室生寺の見どころ5

「軍荼利明王石仏」は、「天神社拝殿」の脇にある巨岩に彫られている。

サブ写真:室生寺の見どころ5

拝殿の奥には天神社が見える。


 

写真:室生寺の見どころ6

タイトル:室生寺の見どころ6:見る角度で表情が変わる、増築された金堂

 「鎧坂」から正面に見えるお堂は、国宝に指定されている「金堂」だ。平安時代初期の建築だが、江戸時代に増築もされている。「金堂」の屋根を、横から見ると、内陣に安置された仏像を拝むためのスペースが追加されていることがよく分かる。


この後に見る「五重塔」とともに、平安初期の山寺の仏堂としては日本唯一のもので、非常に貴重な建築物として高く評価されている。なお、蛙股には薬壷が刻まれてることから、ここはもともと薬師堂であったと考えられ、また内陣に安置されている釈迦如来立像(本尊)も、もとは薬師如来であったことが分かる。

 内陣には、向かって右から地蔵菩薩立像、薬師如来立像、釈迦如来立像(本尊)、文殊菩薩立像、十一面観音菩薩立像の五尊像が並び、その手前には十二神将が安置されている。五尊像はそれぞれに大きさや作風が違うことから、本来このお堂には、本尊の釈迦如来、地蔵菩薩、十一面観音菩薩の三体が安置されており、神様の本当の姿は仏様であるという「本地垂迹説」に基づいて、文殊菩薩と薬師如来が追加されたのではないかと言われている。ゆえに五尊像が並ぶには窮屈に見えるが、これもまた迫力がありおもしろい。五尊像のそれぞれが、珍しい板光背をつけていることも特長であり、室生寺特有の貴重な作例として知られている。なお、本尊・釈迦如来立像の背後の板壁には、帝釈天曼荼羅の板絵が隠れている。

サブ写真:室生寺の見どころ6
「金堂」がもとは「薬師堂」であったことを示す、蛙股に刻まれた薬壷。

サブ写真:室生寺の見どころ6
「金堂」の屋根を横から見ると、増築された部分の角度に違いが見られる。


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五重塔 本堂(潅頂堂) 金堂 軍荼利明王石仏 鎧坂 弥勒堂 仁王門 常燈堂 御影堂 七重石塔 表門 太鼓橋 御供所
見どころ1 見どころ1 表門 見どころ1 太鼓橋 見どころ2 見どころ2 パン字池 見どころ2 仁王門 見どころ3 見どころ4 見どころ5 見どころ6 見どころ7 見どころ8 見どころ9

歩く際の楽しみ方

歩く際の楽しみ方

室生寺は、女人禁制の高野山に対し、古くから女性の参拝が許されていたことから「女人高野」として親しまれています。
現在でも女性からの人気は高く、それは春の桜やシャクナゲ、秋の紅葉、さらに屋外では日本最小の五重塔や、やわらかな表情の仏像など、女性の気持ちをなごませてくれるポイントが多いから。いつもではないけれど、参道の途中に散った花びらや落ち葉が、ハート型に集められているなどの遊びごころも。カメラを持って、自然と建築物との調和や、ハート型の花びら・落ち葉を探して、写真に収めながら歩くのもきっと楽しい!

※仏像をカメラで撮影することは禁止されています。境内の建築物や植物、景観以外を撮影することは絶対に行わないでください。


- 室生寺情報 -

近鉄室生口大野駅から室生寺行きバス終点下車徒歩5分
※バスの本数が少ないため、運行情報につきましては必ず奈良交通のホームページをご確認ください。

奈良県宇陀市室生78 TEL:0745-93-2003

8:30~17:00/4月1日~11月30日、9:00~16:00/12月1日~3月31日

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