【宝山寺】荘厳な建築とノスタルジックな雰囲気を味わう
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聖天堂の奥にある階段を上がると、「文殊堂」「常楽殿」「観音堂」と続く。「文殊堂」の本尊・文殊菩薩騎獅像は、昭和の名仏師といわれた松久朋琳氏の作。凛としたお顔立ちが印象的だ。文殊の知恵を頂き、学力向上や困ったときのお知恵拝借を願う信者が多い。
「常楽殿」には如意輪観世音菩薩坐像、吉祥天女、毘沙門天の3体が安置されている。いずれも商売の神様で、歓喜天と同様に、こちらにも商売繁盛を祈願する人が多くいる。
「観音堂」に安置されている本尊は、十一面観音菩薩立像。室町時代に作られた仏像で、琵琶湖の東の湖東より、宝山寺へ来られたのではないかと言われている。慈悲を頂くのはもちろんのこと、良縁や安産を祈願する人が多い。
聖天堂の奥にある階段下から「文殊堂」を見ると、お堂の奥には文殊菩薩様が。
手前が「常楽殿」、奥が「観音堂」。
近代的な造りの「常楽殿」と、天保15年(1844年)に再建された「観音堂」には、時代ごとの建築方法の差を見て取れる。
「常楽殿」の前に立って振り向くと、本堂や聖天堂が建ち並ぶ境内の様子を見渡せる。
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山から引かれた「延命水」と呼ばれる湧き水は、いつも枯れることなく流れ、夏の時季も冷たくておいしい。飲めば健康長寿が得られるというが、おそば屋さんがこの水を汲んで帰り、そば打ちに使って商売がうまくいったという話もあるそう。
「延命水」の奥、「観音堂」の裏手には便所の不浄を清めてくださるという烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)の像が安置されている。“怨霊や悪魔の出入り口”という思想がある便所を、烏枢沙摩明王が炎を用いて清浄な場所にしてくれるという。さらに烏枢沙摩明王は下の病気にもご利益がある。また、産後の肥立ちが良くなるようにお願いしたり、男の子が生まれるように願う人も多い。観音堂で安産を祈願して、こちらで産後の赤ちゃんや自身の健康をお祈りすれば、よりご利益を得られそう。
烏枢沙摩明王は、その炎で下の不浄を清めてくれる。
山歩きとも言える宝山寺の参拝に疲れたら、こちらの「延命水」をいただこう。
溢れる「延命水」を飲む蜂を発見。やはり、ご利益を求めてのことだろう。
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「延命水」がある場所から「多宝塔」への道。左右には寄進されたお地蔵様が並ぶ。この辺りから、「多宝塔」や「奥の院」へと続く道は、葉の茂る木々に囲まれ日中でも日陰となることが多い。木々の香りや木漏れ日などを感じて歩くと、宝山寺が山岳に建てられた寺院であることをより強く実感することができる。
現在の「多宝塔」が建てられたのは、昭和32年(1957年)のこと。中興開山の湛海律師はこの場所にこそ「多宝塔」を建てるべきと考えたが、その時期は将来にゆだねていた。そのころよりおよそ300年という長い年月を経て、故実に基づき建てられたのが今の「多宝塔」である。
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ずらりと並ぶお地蔵様の中に、よく見ると観音菩薩様も。このような発見も歩く楽しみ。
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「多宝塔」の本尊は、清らかな愛の成就を祈る愛染明王像。
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歩く際の楽しみ方
歩く際の楽しみ方
宝山寺は、生駒山の中腹にある山岳寺院。そのため、境内の所々に奈良のまちの景色を見下ろせるスポットが存在する。歩き疲れたら、美しい景色を眺めながらひと休みするのもオススメ。そしてもう一つ、寺院内では「交差した大根」と「巾着袋」の柄に、さまざまな場所で出会う。これは、歓喜天の好物であるという大根と、手に持っている砂金袋を表したもの。ゆっくりと歩きながら、これらの柄を探してみよう!